パワハラで労災になることがあるって本当?認定の条件とは

パワハラで労災になることがあるって本当?認定の条件とは

仕事中や通勤中に労働者がケガや病気をした場合、その補償を受けられる制度が「労災保険」となります。 そして、ケガや病気の原因が「パワハラ(パワーハラスメント)」である場合でも、「労災保険」が認められ、補償が受けられる可能性があります。 これは、2020年の「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」の施工にともない、労災認定基準に「パワハラ」の項目が追加されたことに端を発します。 では、「パワハラ」が労災認定されるには。どのような条件を満たす必要があるのでしょうか? そこで本記事では、「パワハラ」が労災認定されるための条件について、詳しく解説したいと思います。


仕事中や通勤中に労働者がケガや病気をした場合、その補償を受けられる制度が「労災保険」となります。
そして、ケガや病気の原因が「パワハラ(パワーハラスメント)」である場合でも、「労災保険」が認められ、補償が受けられる可能性があります。

これは、2020年の「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」の施工にともない、労災認定基準に「パワハラ」の項目が追加されたことに端を発します。
では、「パワハラ」が労災認定されるには。どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?

そこで本記事では、「パワハラ」が労災認定されるための条件について、詳しく解説したいと思います。

労災保険とは

労災保険とは、労働者が仕事中や通勤中での事由によりケガや病気をした場合に補償してくれる保険のことで、正式には「労働者災害補償保険」といいます。
労災保険は、業務上の事由によるケガや病気などを補償する「業務災害」と、通勤中の事由によるケガや病気などを補償する「通勤災害」があります。

労災保険は、事業者が労働者を1人でも雇っている場合、原則として加入しなければならないものです。

パワハラの定義とは

パワハラとは「パワーハラスメント」の略語であり、厚生労働省により以下の通り定義付けされています。

職場のパワーハラスメントとは、職場において以下の3つの要素をすべて満たす行為のこと
・優越的な関係を背景とした言動
・業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
・労働者の就業環境が害される

さらに厚生労働省では、職場におけるパワハラについて、代表的な言動の類型を挙げています。
その類型とは、以下の6つです。

  • 身体的な攻撃
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • 個の侵害

なお、これら類型に関する内容は「【建設業のパワハラ】転職先でパワハラを受けたらどうする?」の記事を参考にしてください。

パワハラが労災認定されるための条件とは

2020年6月より「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が施工され、企業は、職場のパワハラ防止のために必要な措置をとらなければならないことが義務化されました。
そのことを踏まえ、厚生労働省では「精神障害の労災認定」の認定基準にパワハラの項目が追加されています。

そして、パワハラを原因とする労災の補償を受けるには、定められている認定基準を満たし、労働基準監督署に認められなくてはなりません。
「精神障害の労災認定」の認定基準とは、以下の3つをいずれも満たすことです。

  • 認定基準の対象となる精神障害を発病している
  • 精神障害発病前のおおむね6ヶ月間に業務による強い心理的負荷が認められる
  • 業務以外の心理的負荷により発病したとはいえない


認定基準の対象となる精神障害を発病している

まず、認定基準の対象となる精神障害を発病していることが1つ目の基準です。
精神障害は、個人差があるものの、仕事などのストレスが原因となることも少なくありません。
そのため、業務中のパワハラが原因となって発病することもあります。

パワハラが原因による精神障害について、代表的な例として挙げられるのは「うつ病」「適応障害」「急性ストレス反応」などです。
また、その他にも認定基準の対象となる精神障害が挙げられていますが、専門医により発病の診断を受けることが重要になります。

精神障害発病前のおおむね6ヶ月間に業務による強い心理的負荷が認められる

精神障害発病前のおおむね6ヶ月間に業務による強い心理的負荷が認められることが2つ目の基準です。
心理的負荷については、厚生労働省が示す「業務による心理的負荷評価表」を基に判断します。
「業務による心理的負荷評価表」は、心理的負荷の強度を3段階で評価するものです。

おもに以下のようなパワハラを受けた場合は、労災認定を受けられる可能性が高くなります。

・上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
・上司等から、暴行等の身体的攻撃を繰り返し受けた場合
・上司等による下記のような精神的攻撃が執拗に行われた場合

業務以外の心理的負荷により発病したとはいえない

業務以外の心理的負荷により発病したとはいえないことが3つ目の基準です。
精神障害を発病していたとしても、その原因が業務以外のことであれば労災認定は受けられません。

この点は「業務以外の心理的負荷評価表」を用いて、業務以外の出来事について心理的負荷の強度を評価して判断します。

まとめ

パワハラ防止法に基づき、企業は、職場のパワハラ防止のために必要な措置を講じなければなりません。
万が一、パワハラの被害を受けて精神障害を発病してしまった場合は、労災保険により補償を受けられる可能性があります。
その場合は、労働基準監督署へ申請し、認定を受ける必要があります。

また、パワハラを受けた場合、第三者へ相談することも有効な方法です。
おもな相談先とは、然るべき上司や会社の相談窓口、あるいは外部の相談機関などがあります。

これら相談先についても、「【建設業のパワハラ】転職先でパワハラを受けたらどうする?」の記事を参考にしてください。

関連するキーワード


働き方 転職

関連する投稿


【工事現場の労災事故】冬に多い労災対策とは?

【工事現場の労災事故】冬に多い労災対策とは?

工事現場での労災事故は年間を通じて起こりますが、冬には、この季節特有の労災事故が多くみられます。 そのため、寒冷な現場環境では、季節に応じた対策をしっかりと講じなくてはなりません。 また、冬特有のリスクといえば気温低下による環境の変化になりますが、寒さを解消することだけにとらわれると安全が疎かになってしまうケースもあります。 よって、寒さ対策と安全対策は平行して検討することが重要なのです。 そこで本記事では、とくに冬に多い労災事故について、その内容と対策をご紹介したいと思います。


ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

住宅業界では、さまざまな業種があり、それぞれの専門業者が担当する工事を行います。 そのなかで、住宅の売買や新築の際、劣化状況や不具合の有無などを診断する、いわゆる「ホームインスペクション(住宅診断)」と呼ばれる職種があります。 そして、この「ホームインスペクション」を実施する人が「ホームインスペクター」です。 では、「ホームインスペクター」は、具体的にどのような内容の仕事を行うのでしょうか? また、資格は必要なのでしょうか? そこで本記事では、「ホームインスペクター」の仕事内容や必要となる資格などについてご紹介したいと思います。


工事現場で行う効果的な防寒対策とは?

工事現場で行う効果的な防寒対策とは?

冬季は、寒さの影響によって工事現場でのパフォーマンスが低下するとともに、この季節特有の労災事故が起こりやすくなります。 そのため、冬の工事現場は防寒対策が必須となるのはいうまでもありません。 しかし、ただ重ね着をすればよいというわけではなく、効果を十分に発揮させるにはコツがあります。 そこで本記事では、冬の工事現場の重要テーマである防寒対策について、そのコツをご紹介したいと思います。


建設業界で働く女性の実態と活躍しやすい職種をご紹介

建設業界で働く女性の実態と活躍しやすい職種をご紹介

近年では、男女の性別に関係なく、個人の能力が十分に発揮できる職場環境づくりが進んでいます。 以前の建設業界は、長く「男性社会」という風潮があったことから、女性を受け入れる環境が整備されていない傾向にありました。 しかし、人手不足という状況もあり、建設業界でも女性の活躍の場を増やすための取り組みが加速しています。 では、実際のところ、建設業界で働く女性の実態はどのようになっているのでしょうか? そこで本記事では、建設業界で働く女性の実態について、また建設業界において女性が活躍しやすい職種などもご紹介したいと思います。


【転職活動の基礎知識】退職届はいつまでに提出すればよい?

【転職活動の基礎知識】退職届はいつまでに提出すればよい?

転職したいと決意したら、勤務先を退職するための手続きが必要となります。 日本では、憲法により「職業選択の自由」が保障されているため、勤務先に退職届を提出するなど何らかの意思表示をすることで退職できます。 とはいえ、意思表示をすればいつでも辞められるのかといえば、必ずしもそうではありません。 では、希望する退職日のどれくらい前に意思表示をする必要があるのでしょうか? そこで本記事では、勤務先へは退職を希望する何日前に意思表示を行えばよいのか、またどのような方法で申し入れるとよいのか解説したいと思います。


最新の投稿


【難しくない!】1つだけ守れば良い。現場監督のコミュニケーション

【難しくない!】1つだけ守れば良い。現場監督のコミュニケーション

現場監督は、よくコミュニケーション能力が必要で、発注者(もしくは施工会社)とお客様、職人と板挟みになってしまう、と聞きます。現場監督は、工事現場の一種の連絡ツールです。そのため、この連絡ツールとなっている現場監督がうまくコミュニケーションを取れないと、予期せぬトラブルに発展することもあります。しかし、いわゆる「話がうまい」「誰とでも仲良くなれる」といったようなコミュニケーションスキルは必ずしも必要ではありません。この記事では、1つだけ守れば、現場監督としてのコミュニケーションが上手くいく方法をご紹介いたします。


【工事現場の労災事故】冬に多い労災対策とは?

【工事現場の労災事故】冬に多い労災対策とは?

工事現場での労災事故は年間を通じて起こりますが、冬には、この季節特有の労災事故が多くみられます。 そのため、寒冷な現場環境では、季節に応じた対策をしっかりと講じなくてはなりません。 また、冬特有のリスクといえば気温低下による環境の変化になりますが、寒さを解消することだけにとらわれると安全が疎かになってしまうケースもあります。 よって、寒さ対策と安全対策は平行して検討することが重要なのです。 そこで本記事では、とくに冬に多い労災事故について、その内容と対策をご紹介したいと思います。


ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

住宅業界では、さまざまな業種があり、それぞれの専門業者が担当する工事を行います。 そのなかで、住宅の売買や新築の際、劣化状況や不具合の有無などを診断する、いわゆる「ホームインスペクション(住宅診断)」と呼ばれる職種があります。 そして、この「ホームインスペクション」を実施する人が「ホームインスペクター」です。 では、「ホームインスペクター」は、具体的にどのような内容の仕事を行うのでしょうか? また、資格は必要なのでしょうか? そこで本記事では、「ホームインスペクター」の仕事内容や必要となる資格などについてご紹介したいと思います。


【現場監督がよく使う建設用語】鉄筋の「かぶり」とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】鉄筋の「かぶり」とはなに?

現場監督は、専門工事業者による多くの管理を同時に進めていかなければなりませんが、その際に求められるのはしっかりとコミュニケーションを図ることです。 そして、工事現場でコミュニケーションを図るには、建設業界で使われる専門用語、いわゆる「建設用語」を一定程度理解しておく必要があります。 また、住宅建築のなかでも、とくに重要となる基礎工事には、「かぶり」という「建設用語」があります。 「かぶり」とは基礎工事の鉄筋に関わる内容であり、建物の強度を左右する重要な要素となるため、現場監督が必ずチェックしなくてはならないポイントのひとつです。 そこで本記事では、基礎工事における鉄筋の「かぶり」について、その内容を詳しく解説したいと思います。


働き方改革!施工管理者の残業を減らそう

働き方改革!施工管理者の残業を減らそう

働き方改革が進んでいますが、施工管理の慢性的な長時間労働は、まだ改善の余地があります。会社によっては、全く変わらない状況のところもあります。長時間労働は、労働者を疲弊させるだけでなく、業界としても人手をすり減らしていくことは、長期的にデメリットしかありません。ではなぜ、施工管理は残業時間が多くなってしまうのでしょうか?業務を効率化させる方法は、何か、なぜ浸透していないのかについてご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 営業 利益 職人 資格 転職