現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。
「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。
また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。
このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。
しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか?
そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。
【空き家問題】放置するリスクとは
空き家を放置すると、所有者だけでなく近隣にとってもリスクとなります。
空き家を放置することで考えられるおもなリスクとは以下の通りです。
- 犯罪や災害のリスク
- 劣化を加速させるリスク
- 法的なリスク
■犯罪や災害のリスク
空き家が放置された状態にあると、犯罪や災害のリスクが高まります。
例えば、不法侵入や不法投棄、また放火や建物の倒壊などがあれば周辺への影響も考えられます。
つまり、所有者だけでなく周辺環境を損なうリスクもあるわけです。
■劣化を加速させるリスク
空き家の状態は、人が生活をしているよりも劣化は著しく進行します。
例えば、換気が行われないため結露などで湿気がこもりカビや害虫が発生しやすくなったり、また水道配管は使用しなくなると錆びたりすることなどです。
また、構造部分を傷めてしまうようなら、耐久性を損ね建物寿命にも影響を及ぼしてしまうでしょう。
■法的なリスク
空き家問題の深刻化を背景に、「空き家対策特別措置法」という法律が2015年に施工されました。
おもな概要は、保安上危険となる恐れがある、また著しく衛生上有害となる恐れがあるなど、一定の要件に合致する空き家を「特定空家等」に指定し、さまざまな措置がとれるようにするものです。
さまざまな措置とは、自治体による撤去や修繕などの勧告をすること、また改善が見られない場合は強制的に解体をすることなどです。
その他にも「特定空家等」は、税制面でも優遇措置が受けられません。
以上のことから、空き家の所有者は「特定空家等」に指定されることのないようにすることが重要になります。
【空き家問題】空き家の活用方法とは
空き家を放置することはリスクにつながるため、なんらか方法で対応することを検討する必要があります。
空き家をどう活用するのかという点は、おもに以下の3つが考えられます。
- 空き家のまま管理する
- 賃貸する
- 売却する
■空き家のまま管理する
空き家のまま保有するにしても、「特定空家等」に指定されることのないようしっかりと管理する必要があります。
個人で管理するなら、定期的に換気や掃除を行い、また設備のメンテナンスなども実施しなくてはなりません。
管理業者に依頼することも可能ですが、コストがかかってしまいます。
また、当然ですが固定資産税も必要です。
よって、将来的に誰かが暮らす予定がないなら、その他の方法を検討するほうがよいかもしれません。
■賃貸する
空き家を賃貸して家賃収入を得ることは活用方法のひとつとなります。
毎月の家賃が得られれば、固定資産税に充てられるなど生活の安定化が図れるうえ、資産として保有し続けことが可能となります。
ただし、賃貸物件として活用するには、リフォームを行うなど一定程度の投資をしなくてはなりません。
またあらゆる管理業務が生じること、そして入居者が確保できない場合は状態を維持するための管理コストがかかることなど、リスクもある点では注意が必要です。
■売却する
空き家に居住する予定がないのであれば、売却を検討することも効果的です。
空き家を保有するには固定資産税や管理費などのコストがかかりますが、売却してしまえば必要ではなくなります。
ただし長期的な視点では、今後ますます空き家が増えることが予想されるため、いざ売りたいと思ったときには飽和状態になっているかもしれません。
また劣化が進むと価値は下がり売却も難しくなります。
よって、売却するのであれば、早めに実行するほど有利になるでしょう。
まとめ
空き家をどのように取り扱うのかという点は、所有者にとって最もメリットを得られる方法を検討することが重要です。
しかし、空き家を放置することは、所有者だけでなく周辺環境への大きなリスクとなる可能性があるため、できるだけ避ける必要があります。
とくに時間の経過とともにリスクは拡大することから、早めの対応がポイントとなるでしょう。