野丁場、町場の意味
野丁場、町場というのは、工事現場の種類のような者で、規模の大きさによって言い方が変わります。
野丁場は、公共工事や大規模工事を行うゼネコンが扱う現場のことを指します。民間のショッピングモールの建設なども野丁場と言われます。
町場というのは、主に住宅工事などを指します。一般的な個人のお客様の新築住宅や、住宅リフォーム工事などを言います。一般の方が見ている職人というのは、町場の職人ということになります。
さて、これらの呼び方の違いはどうして生まれたのでしょうか。
■昔は蔑称として用いられていた
昔は職人というと、住宅の建築を手がけている棟梁というイメージがあり、元請け会社として機能しているところがほとんどでした。
しかし、ハウスメーカーや大規模なゼネコン会社が大きくなってきたことと、競争に負け、住宅の仕事を取れない地域の職人というのも出てくるようになりました。そこで、大手の会社の下請け職人としてしか仕事がなくなってしまった職人のことを野丁場の職人と言うようになったそうです。
つまり、町場の職人のレベルの方が高く、仕事も元請けとして請け負えるレベルだったということです。しかし今では野丁場も町場もレベルはほとんど変わらないか、むしろ野丁場の方がレベルが高いと言えるかもしれません。そのため昔のような蔑視を込めた意味では用いられないです。
野丁場、町場での仕事内容の違い
野丁場、町場での実際の仕事内容にはどのような違いがあるのでしょうか。職種ごとに違いますので、ここでは内装職人、大工、屋根屋それぞれについて簡単にご紹介いたします。
■内装職人
内装職人といっても、石膏ボードを貼っていくボード屋や、断熱材をいれる業者、クロス職人などさまざまです。
野丁場の職人は、完全分業されており、予め工程表で決められた日程に現場に向かい、現場に準備されている材料を用いての施工になります。図面、設計書に応じて正しく施工していくことになります。
町場の職人は、新築の場合は野丁場のように現場で準備されている材料を用いて施工することが多いです。一方でリフォームなどの工事では、材料発注から施工までを一貫して行う場合が多いです。また、住居人がいる状態で施工を行うので、家具移動や養生作業が発生します。また、既存のものを撤去処分する作業もあります。
ほとんどの建設作業がそうですが、新しい現場より、既存の建築物に対してリフォームをする方が作業は大変です。内装の仕事は、町場の職人は撤去処分作業や、家具移動、養生、お客様との対話などの仕事が必要です。
■大工
大工という職業も実は幅広く、型枠大工から町大工、造作大工などがいます。簡単にいうと、建物の基礎を作る大工、リフォームを手がける大工、家具を作る大工などの意味になります。
野丁場の大工は、ほとんど型枠大工になります。大規模な工事の場合、鉄骨造の建造物が大半を占めるので、あまり家具を作ったり、リフォームといった工事では無いです。
町場の大工は、ほとんどが町大工、造作大工になります。リフォームにおいては、木工事の全般全てを引き受けることが多く、解体から下地作成、仕上がりまでを行います。家具を手がける大工は、家具だけの工事を請け負っている場合が多いです。
大工の中の地位では、宮大工(神社仏閣などを手がける)、型枠大工が一番高いです。そのため給与もゼネコンの型枠大工などは高くなっています。ハウスメーカーなどの大工は比較的給与が低い場合も多いです。
■屋根屋
屋根屋は、野丁場の場合あまり仕事は多くありません。理由は大規模な建造物の場合、屋根は防水施工となるため、防水屋が行います。近年ではおしゃれなショッピングモールなどで室内に屋根の衣装を施すなどもあるようです。
町場の屋根屋は、住宅の屋根を施工します。瓦やスレート、シングル屋根などを扱い、新築物件からリフォームなども行います。
リフォームでは屋根の葺き替えやカバー工法などを主に行います。
まとめ
以上、野丁場、町場の意味の違い、職人の違いでした。
野丁場は、ゼネコンなどの仕事をしている職人。
町場は、一般住宅などの仕事をしている職人。
に対してそれぞれ用いる言葉です。
請け負っている工事種によって全く働く環境も仕事内容も違います。野丁場の仕事は、決められた工事を正確に行い、町場の仕事は、幅広く多能工のような業態とも言えますね。
※この記事はリバイバル記事です。