住宅の新築工事などの工事現場では、「工事看板」を設置していることが一般的です。
「工事看板」とは、建築基準法による確認済の工事であることを示す表示板のことを指していいます。
では、この「工事看板」は、設置義務があるのでしょうか?
また、設置を怠ると罰則を受けるのでしょうか?
結論として、設置は法律によって定められている義務であり、これに違反すると罰則を受ける可能性があります。
そこで本記事では、住宅の新築工事における「工事看板」の設置義務や罰則など、その詳しい内容について徹底解説したいと思います。
工事現場の看板設置は義務?
工事現場では、工事期間中の看板設置が義務となっています。
住宅の新築工事などの工事現場では、建築基準法による確認済であることを示す「建築確認表示板」を工事期間中は必ず設置しなくてはなりません。
この「建築確認表示板」の設置義務は、建築基準法により以下の通り定められています。
(工事現場における確認の表示等)
建築基準法 第89条
第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない
■工事看板を設置する意味について
工事看板を設置するのは、行われている工事が建築基準法による確認を受けた適法なものであることを対外的に証明する必要があるためです。
また、工事の責任を明確にすることで、近隣住民に対しても一定の安心を与えられます。
■工事看板の設置が必要な建築物について
工事看板の設置が必要な建築物については、建築基準法第89条の条文に「第6条第1項の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事」とあります。
これは、新築、増築、改築、移転などの建築工事、そして大規模修繕工事、大規模模様替え工事、特殊建築物への用途変更など非常に幅広い建築物が対象です。
これらには住宅工事などももちろん含まれます。
■工事看板の設置の時期について
工事看板の設置の時期は、着工から完工までの期間中となります。
つまり、着工時には設置されている必要があるということであり、仮に工事が始まったにもかかわらず未設置の状態であれば、それは違法です。
そのため、着工前のタイミングで仮囲いと一緒に設置されるケースが多く見られます。
ちなみに仮囲いとは、工事期間中に現場敷地内の外周に設置する囲いのことをいい、これも建築基準法によって設置基準が定められています。
なお、仮囲いの詳しい内容については「【施工管理なら知っておきたい】工事現場に仮囲いをする目的とは?」の記事を参考にしてください。
■工事看板の設置位置について
工事看板の設置位置については、建築基準法第89条の条文に「当該工事現場の見易い場所」とあります。
これは、公衆が公道から確認できる場所に設置することが一般的です。
見えにくい位置に設置した場合、第三者により通報されたり、また行政から指導を受けたりすることなども考えられます。
なお、住宅工事では、外構工事など外部での工事が始まると、工事看板を含めた仮囲いを撤去しなくてはならないケースもあります。
そのようなやむを得ない事情がある場合は、最低限の義務となる「建築確認表示板」を掲示するだけでも基本的に問題ありません。
例えば、A3程度の紙へ必要な内容を印刷し、ラミネート加工して適切な場所に貼っておくなどの措置をとることで差し支えないとされています。
工事現場の看板設置義務に違反したときの罰則は?
工事現場の看板設置は、建築基準法に定められている義務となっています。
そして、この看板設置義務に違反した場合、建築基準法第103条により罰則の規定が設けられています。
その内容とは以下の通りです。
・50万円以下の罰金に処する
つまり、工事看板の設置を怠ることがあると、最高50万円の罰金が科せられる可能性があるということです。
まとめ
工事看板は、法律によって定められている義務であるため、必ず設置しなくてはなりません。
しかも、工事期間中は掲示しておく必要があるものです。
看板がない状態で工事が始まってしまうと、違法となり、罰則を受ける可能性もあります。
よって、工事責任者は、工事が問題なく始められるよう、早めに準備しておくことが重要です。