住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。
しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。
「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか?
そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。
【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?
現場監督がよく使う「斫り」とは、既存するコンクリートの一部をなんらかの工具を用いて削り落とす作業のことをいいます。
「斫り」を行うのは、例えば施工を阻害する部位を取り除いたり、あるいは形を整えたりすることなど、目的はさまざまです。
また、斫り作業は、電動ハンマーのような電動工具を使うことが一般的ですが、場合によってはハンマーやノミなどによる手作業で行われるケースもあります。
建設業における斫り工事について
ひとつの建物を建設するとき、多くの専門工事業者がそれぞれ担当する工事を行いますが、斫り工事もそのひとつです。
斫り工事を行うのは、専門に請け負う業者であったり、あるいは解体工事と兼務で行っていたりするケースなどがあります。
なお、斫り工事の建設業法における工事業種区分は、「とび・土工・コンクリート工事」になります。
■斫り工事と解体工事の違い
斫り工事と解体工事は、内容が似ている部分もありますが、基本的に別の工事です。
斫り工事が部分的に形を整えるために削り落とす工事であることに対し、解体工事は建物そのものを壊す比較的規模の大きな工事となります。
また、斫り工事はなんらかの工具は使用するものの手作業による部分が多く、一方、解体工事は専用の重機を使って行われます。
■現場監督が行うこともある斫り作業について
工事中に斫り工事が必要となった場合、専門業者ではなく現場監督が行うケースもあります。
例えば、コンクリートを高く打ち過ぎてしまいドア枠と接触してしまって納まらないケースなどです。
この場合は、枠が納まるまで干渉部分を電動ハンマーなどで削り落とす必要があります。
以上のような、コンクリート打設後に若干の寸法誤差が生じるケースは、それほど珍しいことではありません。
このような場合は斫り作業を行って納める必要がありますが、小規模な斫り工事まで業者に依頼をしていたら原価アップとなり利益を減らす原因になってしまいます。
しかし、原価管理も現場監督の重要な業務のひとつであるため、ムダを削減する意味でも現場監督自ら行うことがあるのです。
斫り工事で現場監督が注意しておきたいこと
現場監督は、斫り工事を行う際に注意しておきたいことがあります。
おもな注意点とは以下の2つです。
- 騒音
- 斫り過ぎ
■騒音
斫り工事中は、非常に大きな音を発するため、騒音により近隣トラブルの原因になるケースがあります。
よって、トラブルに発展する恐れがある場合などは、あらかじめ騒音が出る工事を行うことを近隣へお知らせしておく必要があります。
工事中に最も多いクレームといえば騒音に関することです。
工事中の騒音については法律や条例によってルールが定められており、また近隣への配慮が欠けると工事を進めるうえで大きなマイナスとなります。
現場監督として、騒音については万全の対策を講じておくことが重要です。
なお、工事中のクレームに関する詳しいことは「【現場監督なら対応必至】工事現場でよくあるクレーム3選」の記事を参考にしてください。
■斫り過ぎ
工事中には、斫りを行わないと納まらないケースもありますが、ただ納まればよいというわけではなく、斫り過ぎないよう注意しなくてはなりません。
というのもコンクリート構造物は強度計算に基づき配合や鉄筋径などが決められており、これらに影響が及ぶと十分な強度が得られない可能性があるためです。
不要な部分のみを削り落とせるよう事前に範囲を決定し、過度に斫り過ぎないよう注意して行うことが重要になります。
まとめ
現場監督の業務のなかで「斫り」というワードはよく使われます。
ムダな作業といった側面もありますが、仕上がり品質を向上させるために必要な作業ともいえます。
また、斫り工事を行うときには、注意点に配慮しながら行うことが重要です。