フレックスタイム制とは?そのルールと注意点を徹底解説

フレックスタイム制とは?そのルールと注意点を徹底解説

少子高齢化の加速や新型コロナウィルスの流行による影響から、企業の働き方にも大きな変化が見られるようになっています。 また、働き方を改善するとともに、労働者の意欲や能力を引き出せる環境をつくることも求められています。 そのような環境づくりに適した制度として注目を集めているのが「フレックスタイム制」です。 「フレックスタイム制」は、比較的歴史の古い制度ですが、2018年の「働き方改革関連法」による改正で、新しい仕組みとなって導入が進んでいます。 そこで本記事では、「フレックスタイム制」のルールやおもな注意点について、徹底解説したいと思います。


少子高齢化の加速や新型コロナウィルスの流行による影響から、企業の働き方にも大きな変化が見られるようになっています。
また、働き方を改善するとともに、労働者の意欲や能力を引き出せる環境をつくることも求められています。

そのような環境づくりに適した制度として注目を集めているのが「フレックスタイム制」です。
「フレックスタイム制」は、比較的歴史の古い制度ですが、2018年の「働き方改革関連法」による改正で、新しい仕組みとなって導入が進んでいます。

そこで本記事では、「フレックスタイム制」のルールやおもな注意点について、徹底解説したいと思います。

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、一定の期間において総労働時間を定め、その範囲内で労働者が自身の始業および終業時間を自由に決定して働ける制度のことをいいます。

多くの企業では、始業時間と終業時間が定められており、その時間帯で労働しなくてはならないルールとなっています。
しかし、フレックスタイム制は、決まった時間に縛られる必要がないことから、きわめて柔軟な働き方が可能となるわけです。

フレックスタイム制のルールについて

フレックスタイム制は、一定のルールが定められており、そのルールの範囲で自由な働き方が可能となる制度です。
フレックスタイム制のおもなルールについて、以下に解説いたします。

時間帯のルール

フレックスタイム制では、労働の時間帯について、大きく「コアタイム」と「フレキシブルタイム」に分けて考えます。
「コアタイム」とは、必ず勤務しなければならない時間帯のことで、「フレキシブルタイム」とは、いつでも出社および退社ができる時間帯のことです。

「コアタイム」は、必ず設定しなくてはならないものではありませんが、設定された場合はその時間帯については出勤が必須となります。

厚⽣労働省:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

労働時間のルール

フレックスタイム制では、一定期間のなかで必ず働かなければならない時間である「総労働時間」をあらかじめ定めて運用することになります。
この一定期間のことを「清算期間」といい、最長3ヶ月とし、1週間単位で決定します。

例えば、「清算期間」を1ヶ月(31日)とした場合、1週40時間が上限となるため「総労働時間」は以下の計算となります。

  • 31日÷7日×40時間=171.1時間

つまり、「総労働時間」は171.1時間を上限として設定し、労働者は「清算期間」内で、定められた「総労働時間」を達成する必要があるということです。

また、「総労働時間」は、必ず法定労働時間内で定めなめればなりません。
法定労働時は、「1日8時間 および 1週40時間」が上限となっており、使用者がこれを超えて労働させる場合は、労働者と「36協定」の締結が必要となります。

なお、「36協定」に関する詳しい内容は、「【改正労働基準法】建設業の時間外労働規制「36協定」はどう変わる?」の記事を参考にしてください。

残業のルール

フレックスタイム制では、定められた「総労働時間」を超えた時間が残業として扱われます。
これは、1日当たりに働いた時間は考慮しないということであり、「清算期間」内で「総労働時間」を超えた時間について残業代が支給されるという仕組みです。

一方、「清算期間」内で「総労働時間」が達成されなかった場合は、労働時間の不足となるため、翌月への繰り越しや賃金の調整などの措置がとられることになります。

フレックスタイム制の注意点

フレックスタイム制は、柔軟な働き方ができるため、仕事とプライベートを調整することで、効果的に心身の負担を軽減できます。
しかし、一方で注意点もあります。
フレックスタイム制のおもな注意点とは、以下の通りです。

  • 自己管理が必要
  • 仕事相手に配慮してもらえるとは限らない

自己管理が必要

フレックスタイム制は、勤務時間を自由に設定できますが、自己管理は必須となります。
「コアタイム」が設定されているなら、その時間に出勤しなくてはならないことはもちろんのこと、設定した「総労働時間」を達成できるよう、調整が必要です。

「総労働時間」に不足する場合は減給となる可能性もあるため、後半になって慌てて帳尻を合わせるのではなく、計画的に取り組むことが重要になるでしょう。

仕事相手に配慮してもらえるとは限らない

フレックスタイム制は、勤務時間が不定期になることがありますが、取引先など仕事相手に配慮してもらえるとは限りません。
そのため、勤務外の時間に電話がかかってくることなどもあり、その場合は通常の仕事として対応しなくてはならないケースもあるでしょう。

まとめ

フレックスタイム制は、通勤ラッシュを避けられたり、またリフレッシュできる時間を設けられたりなど、メリットの多い働き方といえます。

ただし、導入している企業は、一部に限られます。
転職活動中であれば、企業のフレックスタイム制導入についても注目してみるとよいでしょう。

関連するキーワード


働き方

関連する投稿


職業選択の自由とはどういう意味?同業他社への転職の制約は有効?

職業選択の自由とはどういう意味?同業他社への転職の制約は有効?

転職や就職を考えるとき、わたしたちは、基本的にどのような職業でも選べますが、これは、日本国憲法により「職業選択の自由」が保障されていることが大きな理由です。 では、「職業選択の自由」とは具体的にどのようなことをいうのでしょうか? また、会社によっては、いわゆる「競業避止義務」を労働契約のなかに含め、同業他社への転職に制約を課しているケースも見られます。 このような労働契約は、会社側の利益を守る措置ともとれますが、「職業選択の自由」に反する行為でもあることは疑問が残る点です。 そこで本記事では、そもそも「職業選択の自由」とはどのような意味があるのか、また同業他社への転職を禁止するような契約は有効なのか、解説したいと思います。


副業で有利な資格【5選】

副業で有利な資格【5選】

近年、副業を解禁する会社は増加傾向にあり、実際に取り組んでいる人も多いのではないでしょうか? 副業の魅力といえば、これまで以上に収入が増えるということです。 とはいえ、副業を始めれば誰でも収入を増やせるのかというと、それほど簡単ではなく、やはり一定のスキルが必要となります。 そのスキルといえば、なんといっても資格を取得することです。 そこで本記事では、副業で有利となる資格について、とくに収入を得やすい5つをご紹介したいと思います。


株主総会とはなに?決めるための方法や種類など徹底解説

株主総会とはなに?決めるための方法や種類など徹底解説

日本国内で最もポピュラーな会社形態といえば、株式会社です。 そして、会社法では、株式会社に必ず置かなければならない機関が定められています。 その機関とは、「取締役」と、そして「株主総会」です。 「株主総会」といえば、株式投資をしている人にとってはなじみのある言葉かもしれません。 しかし、具体的にどのような内容で、またどれだけ重要な意味を持つものかよくわからない人も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、株式会社にとってきわめて重要な機関である「株主総会」について、どのように決議するのか、また「株主総会」にはどのような種類があるのかなど徹底解説したいと思います。


【ビジネスマンは知っておきたい】アンガーマネジメントとはなに?

【ビジネスマンは知っておきたい】アンガーマネジメントとはなに?

ビジネスにおいて思い通りにいかないことは多く、イライラしたり、あるいは他人や物にあたったりした経験がある人も多いのではないでしょうか? ところが、怒りの感情をダイレクトに表現してしまうと、周囲との距離ができてしまい、マイナスに働くことも少なくありません。 そんな怒りの感情をうまくコントロールする方法が「アンガーマネジメント」です。 また、「アンガーマネジメント」を身に付けると、ビジネスだけでなく、日常生活でも活かせるとして、多くの人が参考にしています。 そこで本記事では、ビジネスマンがぜひ参考にしたい「アンガーマネジメント」について、その内容や方法などをご紹介したいと思います。


【転職活動の基礎知識】退職する際に知っておきたい5つのポイント

【転職活動の基礎知識】退職する際に知っておきたい5つのポイント

転職を決意したら、退職するまでの間にさまざまな手続きが必要となります。 とはいえ、会社によっては強い引き留めにあったり、あるいは理由をつけてなかなか辞めさせてもらえなかったりなど、思い通りにいかないケースも少なくありません。 しかし、退職は、労働者の意思により自由に行えることが認められており、決意したのであれば粛々と進めることが重要です。 そこで本記事では、会社を退職するときの手続きを、スムーズに進めるために知っておきたい5つのポイントをご紹介したいと思います。


最新の投稿


住宅営業で、無理をしすぎず、長く働くコツ

住宅営業で、無理をしすぎず、長く働くコツ

 住宅営業はお客様に数千万円のお買い物をしていただき、様々な提案を行い、お客様と一緒に住宅を作り上げていく責任感のある仕事です。そしてお客様からも満足していただいたときには感謝してもらえる非常にやりがいのある仕事です。しかし、営業職は売上を上げなければいけないというプレッシャーから長続きすることが比較的難しく、離職率の高い職種でもあります。そこで、無理をしすぎず長く働くコツについてご紹介致します。


【志望動機】住宅業界への転職を成功させよう!具体的な例まとめ

【志望動機】住宅業界への転職を成功させよう!具体的な例まとめ

 住宅業界への転職の際、志望動機をどう書けば良いのか、採用されるためにはどのように書けば良いのか、ネットで調べてみても、自分の体験がいまいち無いという方も多いかと思います。そこで、ありきたりな定型分のようにならずに自分の良さをアピールし、選考通過する確率の高い志望動機を伝えられるようヒントをお伝えいたします!


住宅営業で信頼されるために身につけたい知識まとめ

住宅営業で信頼されるために身につけたい知識まとめ

 住宅営業では、営業としての行動量を多くしながらも、お客様一人一人に対して数千万円の取引をするために丁寧な接客が求められます。また、丁寧なだけでなく、お客様から信頼されなければ大きな金額の契約をいただくことは難しいです。信頼されるためには、住宅に関する知識を蓄え、お客様に安心感や満足感を与えることが必要です。この記事では、住宅営業が身につけておくべき知識についてご紹介致します。


大工になるにはどうすればよい?必要な資格や仕事内容は?

大工になるにはどうすればよい?必要な資格や仕事内容は?

住宅建築の施工において中心となる職種といえば「大工」です。 とくに完成品質に最も大きな影響を与えるのは「大工」の技術といっても過言ではありません。 また現場監督も「大工」と調整しないとスムーズな進行は難しいことからも、現場での存在は非常に大きいといえるでしょう。 では、「大工」にはどうすればなれるのでしょうか? また、「大工」になるために何らかの資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、「大工」になるにはどうすればよいのか、また資格は必要なのか、そしておもな仕事内容についてなどをご紹介したいと思います。


お客様と信頼関係を築ける住宅営業マンの特徴まとめ

お客様と信頼関係を築ける住宅営業マンの特徴まとめ

 営業マンにとってお客様と信頼関係を築くことが目的でありながら、その方法は曖昧なもので新人営業マンにとって非常に難しいニュアンスのものです。お客様を友達に対してするようなサービスを提供するなどの例えを聞いたこともあるかと思います。しかし、具体的に初めて会ったお客様に対して何をどうしたら良いのかわからないのではないでしょうか。この記事では少しでも信頼関係を築くための参考になれば幸いです。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 建設 転職 職人 営業 風水 現場監理