工事請負契約書の「請負」とは?
「請負」とは、受注者が仕事を完成させることを約束して、発注側がその成果に対して報酬を支払うことを約束することです。
金額に応じて、仕事を行い報酬が発生するという、非常に単純な構造ですが、実は様々なケースがあり、それらについて実は細かく法律上決められています。一部抜粋してご紹介いたします。
受注者は、下請負人を雇うこともできますが、下請負人の故意過失があった際には、どちらの責任になるでしょうか?実は、受注者(元請負人)の責任になります。
また、注文者による過失があった場合には、受注者へ損害を賠償する必要もあります。どのようなトラブルにより金銭負担があるのかなどを、前例などについて知っておきましょう。
■建設業で、契約書の締結は義務付けられている
契約は、口約束でも成立いたします。しかし、建設業では契約書の締結が義務付けられています。建設業許可を受けていない企業も、建設業の工事をすることもできる場合もあり、その場合にも契約書の締結が義務付けられています。
契約書に記載が義務付けられている14項目
・工事内容(工事名、住所等)
・請負代金
・着手、完成時期(完成時期が遅れた場合、遅延金が発生することもあります)
・支払い方法、時期
・工事延期、中止などの際の損害の費用負担方法
・災害時の工期変更、損害負担方法
・物価変動に伴う金額変更方法、工事内容変更方法
・発注者の提供物に関する取り決め
・発注者の工事確認時期、方法、引渡し時期の取り決め
・引き渡し後の代金支払い期限
・補償保険契約の内容
・契約不履行等による遅延損害金等
・紛争の解決方法
以上のように、契約書は、購入の意思確認というためだけではなく、様々なトラブルなどにどのように対応するかを、発注者と受注者で共有するために締結するものです。
特に、トラブルが発生した際に、注文者が負担しなければならない項目については、注意喚起情報として、契約の際に通知しておく必要があります。契約書は、ただ署名をもらうという行為ですが、その行為にどれだけの意味が含まれているのかをしっかりと理解しておきましょう。
工事請負契約書によるトラブル回避
工事請負契約書は、契約におけるトラブルをなるべく回避するために取り交わすものになります。契約は、商品を購入する消費者側が不利であるため、クーリングオフなどの制度もあります。しかし、実際には発注者側の方が有利であることもあり、契約は対等な関係を維持するために行われます。
例えば、受注者側が不利な場面というのは、代金の支払い時期が不明、発注者側の変更し時に対する損害額の請求ができない、発注者の都合でのキャンセルによる損害額の補償が無いなどがあります。このような対等な立場で契約が行われない際、トラブルが発生すると訴訟により解決するしかないこともあります。どちらかが事前に通知し、どちらに否があるかを事前に知っておくことも必要です。
クロージングは、工事請負契約書を熟知しよう
営業クロージングを行う際に、工事請負契約書の説明を行います。新人営業などは、工事におけるトラブルについての可能性を、お客様に説明することで、お客様が不安になり、契約がされないのではないかと不安になり、説明を疎かにしてしまう方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、お客様は契約書を締結するにあたり、多少の不安を抱えています。そこで営業がすることは、トラブルの可能性、その対処方法について細かく説明することで、お客様を安心させることです。営業が「これを話したら契約してくれなくなるかも」という思いを持ちながら、お客様に説明することは、お客様をより不安にさせるものです。
お客様は、トラブルがあった場合に、その営業マンもしくは会社が真摯に対応してくれるかどうかも、信頼できるかの判断基準とします。そのため、どのようなトラブルがあるのか、その際に会社としてどのような対応をするのか、お客様自身もトラブルを起こさないために何に注意しなければならないのかについて、通知しておきましょう。このような対応がトラブルを事前に回避するだけでなく、お客様からの信頼を得るのにも必要なことです。