転職活動をしているとき、希望する企業がどのような雇用形態で募集を行っているのかという点は、重要な要素となります。
雇用形態は、企業によって異なりますが、大きく「正社員」を意味する「正規雇用」と、それ以外の「非正規雇用」に分類できます。
また、「非正規雇用」はさらにいくつかの種類に分かれ、そのうちのひとつが「契約社員」です。
では、「正社員」と「契約社員」はどのような違いがあるのでしょうか?
そこで本記事では、「契約社員」はどのような雇用形態をいうのか、また「正社員」との違いや「契約社員」として働くときに注意しておきたいことなどを徹底解説したいと思います。
そもそも契約社員とはなに?
契約社員とは、あらかじめ雇用期間を定めた契約である「有期労働契約」を結んだ有期契約社員のことです。
「有期労働契約」は、労働基準法により原則3年までと定められており、期間満了時に更新あるいは終了の決定が行われることになります。
一方、正社員は、雇用期間の定めがなくフルタイムで職務に従事する社員のことであり、この点が契約社員と大きく異なる部分です。
また、契約社員が含まれる非正規雇用は、おもに以下のような種類があります。
- パート・アルバイト
- 契約社員
- 派遣社員
- 臨時社員
- 嘱託社員
- その他
ちなみに、働く人の雇用形態で最も多いのは正社員です。
次いで多いのは「パート・アルバイト」、その後に「契約社員」が続きます。
契約社員と正社員との違い
契約社員と正社員では、多くの違いが見られます。
どのような違いがあるのか、いくつかの点で比較してみたいと思います。
■雇用期間の違い
契約社員の雇用期間については、有期労働契約により定められた期間となります。
最長で3年ですが、満了時に「更新」か「終了」のいずれかを双方の合意のもとに決定します。
一方、正社員は、雇用期間の定めのない無期労働契約です。
■給与制度の違い
契約社員の給与制度については、一般的に月給制が多く、正社員と大きな違いはないとされています。
しかし、契約社員の賞与は、支給の対象とされていないケースもあるなど、企業によって異なる部分となります。
一方、正社員は、給与のほかに賞与についても支給されることが一般的です。
■労働時間の違い
契約社員の労働時間については、基本的に正社員と同様にフルタイムであることが多い傾向にあります。
ただし、企業によっては、労働時間や勤務日数などを限定して契約を結んでいるケースもあります。
一方、正社員は、基本的に会社の定めた労働時間で職務に従事するフルタイム勤務です。
■評価制度の違い
契約社員の評価制度については、有期労働契約であることから、契約期間中の昇給や昇進などは原則ありません。
一方、正社員は、勤続年数や実力、資格などを考慮した査定が定期的に行われ、評価に応じて昇給や昇進が期待できます。
■転勤制度の違い
契約社員の転勤制度については、基本的に勤務地の移動はありません。
一方、正社員は、近年廃止する企業も増えてはいるものの、場合によっては転勤の可能性があります。
■福利厚生の違い
契約社員の福利厚生については、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」などの法定福利に正社員と大きな違いはありません。
しかし、「資格手当」や「家族手当」などの法定外福利は、支給の対象とならないケースもあります。
一方、正社員は、企業によって内容は異なりますが、いずれも支給対象となることが一般的です。
ただし、残業手当については、雇用形態に関わらず、所定労働時間を超えた労働について支払われなければならないことが法律によって定められています。
よって、残業手当が適正に支払われない場合は、当然に違法です。
契約社員の注意点「5年ルール」とは?
契約社員が注意しなくてはならないことに、2012年の労働契約法改正によって定められた「5年ルール」があります。
契約社員は、有期労働契約ですが、契約期間が通算で5年を超える場合、労働者本人が希望すればその後の契約を無期有期労働契約にできるようになりました。
そして、企業側は、その申し出があった場合は断れないということも定められています。
ただし、「5年ルール」を適用したい場合、必ず労働者からの申し出が必要です。
仮に、労働者からの申し出がない場合でも、企業側からの通知義務はありません。
よって、5年を超える契約満了時に無期有期労働契約を希望する場合は、労働者本人が申し出ることが重要なポイントとなります。
しかし、さらに注意しておきたいことは、無期有期労働契約となったとしても、正社員に必ずなれるわけではないということです。
雇用形態をどうするのかという点は、あくまでも企業側に決定権があることを理解しておく必要があるでしょう。
まとめ
契約社員とは、正社員ではない非正規雇用の分類となります。
正社員とは違うメリットやデメリットがありますが、自身の生活スタイルに合った働き方を選択するとよいでしょう。
また、企業によっては正社員になれる道筋もあるため、まずは契約社員から始めてみるのもよいかもしれません。