ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

ホームインスペクターとはどんな仕事?資格は必要?

住宅業界では、さまざまな業種があり、それぞれの専門業者が担当する工事を行います。 そのなかで、住宅の売買や新築の際、劣化状況や不具合の有無などを診断する、いわゆる「ホームインスペクション(住宅診断)」と呼ばれる職種があります。 そして、この「ホームインスペクション」を実施する人が「ホームインスペクター」です。 では、「ホームインスペクター」は、具体的にどのような内容の仕事を行うのでしょうか? また、資格は必要なのでしょうか? そこで本記事では、「ホームインスペクター」の仕事内容や必要となる資格などについてご紹介したいと思います。


住宅業界では、さまざまな業種があり、それぞれの専門業者が担当する工事を行います。

そのなかで、住宅の売買や新築の際、劣化状況や不具合の有無などを診断する、いわゆる「ホームインスペクション(住宅診断)」と呼ばれる職種があります。
そして、この「ホームインスペクション」を実施する人が「ホームインスペクター」です。

では、「ホームインスペクター」は、具体的にどのような内容の仕事を行うのでしょうか?
また、資格は必要なのでしょうか?
そこで本記事では、「ホームインスペクター」の仕事内容や必要となる資格などについてご紹介したいと思います。

ホームインスペクターとはどんな仕事?

ホームインスペクターとは、既存住宅や新築住宅において、劣化状況の調査や建築中の検査などを依頼に応じて行う人をいいます。
また、これら住宅診断や検査のことを一般的にホームインスペクションと呼びます。

ホームインスペクションの内容について

ホームインスペクションの仕事は、住宅建築の専門的な見地から客観的な診断を行い、その結果についてアドバイスを行います。
ホームインスペクションは、既存住宅および新築住宅が対象となります。

その業務内容は、例えば、既存住宅であればコンディション診断を、新築工事であれば施工検査や完成検査を行うなどさまざまです。
また、依頼者は、不動産会社や住宅会社、あるいは住宅を購入する個人などになります。

ホームインスペクションのおもな目的について

ホームインスペクションを実施するおもな目的とは以下の通りです。

  • 中古住宅を購入したい人が判断するときの参考とするため
  • 顧客の安心を得るための不動産会社のサービスとして
  • 新築工事で引き渡し後の不具合や欠陥を防止するため

ホームインスペクションの実施は義務?

宅地建物取引業法では、宅建業者に対して、中古住宅を売買するときに行わなくてはならないホームインスペクションに関する以下の3つを定めています。

・買主に対しホームインスペクション業者を斡旋できるか説明すること
・ホームインスペクションを実施済みの場合は買主に対し内容を説明すること
・建物状況について売主と買主の双方が書面で確認すること

つまり、不動産業者は、ホームインスペクションに関してしっかりと説明する義務があるということです。
ただし、ホームインスペクションを実施しなくてはならないという義務ではありません。

ホームインスペクターになるには資格が必要?

ホームインスペクションを実施するうえで、一部業務については必ず取得しなくてはならない資格があります。
その業務とは、宅地建物取引業法に定められているホームインスペクションに関する義務の一部についてです。

宅建業者には、中古住宅を売買するときに「ホームインスペクションを実施済みの場合は買主に対し内容を説明すること」と定められていますが、このときに実施するホームインスペクションは有資格者である必要があります。
そして、その資格とは「既存住宅状況調査技術者」になります。

既存住宅状況調査技術者の概要について

既存住宅状況調査技術者になるには、「一般社団法人日本建築士事務所協会連合会」が実施する「既存住宅状況調査技術者講習」を受講し、修了考査に合格しなくてはなりません。

ただし、「既存住宅状況調査技術者講習」を受講できるのは「建築士」国家資格を有していることが要件となります。
つまり、「既存住宅状況調査技術者」は、誰にでもなれるわけではないということです。

また、この講習には、「新規講習」と「更新講習」の2種類があります。
資格の有効期間が資格を取得した年度の3年後の年度末までとなっており、有効期間が終了するまでに「更新講習」を修了すれば継続的に資格が保持できるようになっています。

新規講習の受講対象者

・一級建築士
・二級建築士
・木造建築士

更新講習の受講対象者

・既存住宅状況調査技術者

その他の資格について

ホームインスペクションの仕事は幅広く、既存住宅状況調査技術者でしかできない業務以外にも多くあります。
しかし、この仕事はきわめて専門的な知識が求められることから、いくつかの民間資格が用意されています。
ホームインスペクターに関する、おもな資格とは以下の通りです。

・特定非営利活動法人日本ホームインスペクターズ協会:JSHI公認ホームインスペクター

日本ホームインスペクターズ協会 -

https://www.jshi.org/

ホームインスペクションを行う全国の住宅診断士(ホームインスペクター)が検索できます。

・一般社団法人住宅長期支援センター:住宅インスペクター

・一般社団法人住宅管理・ストック推進協会:ホームインスペクター

ホームインスペクター - 一般社団法人住宅管理ストック推進協会

https://www.jyukan.org/home.php

ホームインスペクター - 一般社団法人住宅管理ストック推進協会(住管協)。今、日本に必要とされることを形にして住宅所有者に伝えていくことを目的とした団体です。住宅所有者、地域工務店・地域不動産店への住宅管理及び住宅維持についてのアドバイスを行っています。

・一般社団法人全日本ハウスインスペクター協会:ハウスインスペクター

まとめ

近年、ホームインスペクターの仕事は消費者ニーズが高く、住宅業界でも注目を集めています。
しかし、その仕事内容はきわめて専門的な知識が求められることから、一定の経験は必要といえます。
ホームインスペクションを行う会社も多くあるため、転職して経験を積むのもよいでしょう。

関連するキーワード


資格 転職

関連する投稿


文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

住宅建築に関わる仕事といえば、理系の人が適しているというイメージを持っている人が多いかもしれません。 とくに施工管理の仕事は、工事の責任者となるだけに専門的な知識が必要です。 では実際のところ、施工管理の仕事は文系出身の人でもできるのでしょうか? 結論として、もちろん可能であり、さらには未経験でも問題ありません。 また、実務経験を積み重ねスキルアップすることで、文系や理系に関係なく昇進や昇給のチャンスがあります。 そこで本記事では、文系出身でも施工管理の仕事が問題なく行える理由について解説したいと思います。


建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。 とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。 国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。 「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。 そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。


【転職活動の基礎知識】試用期間とはなに?

【転職活動の基礎知識】試用期間とはなに?

転職活動中にわからないことや気になることなどはよくありますが、なかでも「試用期間」とはどのような意味を持っているのか理解できていない人も多いようです。 例えば、「試用期間」で採用が取り消しになったり、あるいは期間中は残業代が認められなかったりすることはあるのでしょうか? その答えは、基本的に「試用期間」であっても正社員と大きくかけ離れた待遇を受けることはありません。 しかし、一方で気を付けなければいけない点があることも理解しておく必要があります。 そこで本記事では、転職活動における「試用期間」とはいったい何なのか、また注意しなくてはいけない点についても解説したいと思います。


【転職に有利】電気工事士資格の概要や取得するとできる仕事とは?

【転職に有利】電気工事士資格の概要や取得するとできる仕事とは?

わたしたちの生活には電気が欠かせません。 そのため、住宅建築において電気工事は必ず必要になります。 しかし、電気工事は感電や漏電による火災などの危険がともなうことから、法律によって有資格者にしか工事は認められていません。 そして、その電気工事を行うときに必要な資格が「電気工事士」になります。 つまり「電気工事士」は、きわめてニーズの高い資格であり職業なのです。 そこで本記事では、「電気工事士」資格の概要と取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


30代未経験でも施工管理の転職はできる?

30代未経験でも施工管理の転職はできる?

30代での転職は、今や当たり前となっています。 しかし、施工管理への転職を未経験で検討している場合、「実際、やっていけるの?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。 施工管理の仕事は、覚えることが多く、またさまざまなスキルが求められる仕事ですが、30代未経験でも十分に活躍できる可能性があります。 むしろ、30代のほうがうまく機能するシーンもあるため、臆することなくチャレンジしてみるとよいでしょう。 そこで本記事では、30代未経験でも施工管理への転職が可能な理由についてご紹介したいと思います。


最新の投稿


文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

住宅建築に関わる仕事といえば、理系の人が適しているというイメージを持っている人が多いかもしれません。 とくに施工管理の仕事は、工事の責任者となるだけに専門的な知識が必要です。 では実際のところ、施工管理の仕事は文系出身の人でもできるのでしょうか? 結論として、もちろん可能であり、さらには未経験でも問題ありません。 また、実務経験を積み重ねスキルアップすることで、文系や理系に関係なく昇進や昇給のチャンスがあります。 そこで本記事では、文系出身でも施工管理の仕事が問題なく行える理由について解説したいと思います。


スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

スケルトン・インフィル住宅は、長期優良住宅で何世代も住みやすい間取りの実現に最適

 スケルトン・インフィル(SI)住宅というものが注目され始めています。長期優良住宅という70~100年以上、住み続けられる構造上の耐久性が高い住宅が、国からも推奨されています。しかし、100年住み続ける場合にも、2世代、3世代と世帯主も代わり、世帯人数も変わることが予想されます。世帯人数に合わせた間取り設計が必要になりますが、従来の構法では自由に間取りを変えることなどが困難でした。それを解消できるのがSI住宅になります。


戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

戸建て住宅の需要が20~30代で増加|コロナの影響で生活スタイルの変化が要因

 戸建て住宅の需要が若者世代で増加傾向にあるようです。新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどが浸透したことにより、都心部などで勤務する必要性が薄まってきたことが要因になります。また、地方で住宅を購入すれば、都心部でワンルームの家賃を払うよりもお得だと考えている方も多いのではないでしょうか。


建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。 とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。 国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。 「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。 そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。


【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

【超重要】現場監督が行う原価管理の仕事

現場監督の仕事は幅広く、現場で起こるあらゆることに取り組まなくてはいけません。 また、工事を進めるうえでムダを抑え、会社の財務健全性を保つために必要な仕事となるのが「原価管理」です。 「原価管理」は、「現場監督よりも経理の仕事では?」と思う人がいるかもしれません。 しかし、建設業界における「原価管理」は、現場監督が行うその他の管理業務との関連性も強いため、一元的に実行していくことが必要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「原価管理」の仕事について、その詳しい内容をご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 風水 現場監理 働き方改革