宅地建物取引士は、不動産取引の専門家として欠かせない国家資格で、略称として「宅建士」とも呼ばれます。
この宅地建物取引士は、不動産業界に携わる人にとって必須ともいえる資格ですが、建設業界でも活かせるとして注目されています。
では宅地建物取引士資格は、建設業界でどのように役立つのでしょうか?
そこで本記事では、そもそも宅地建物取引士とはどのような資格なのか、また建設業界で働く人が取得することによりどのように役立つのかその理由について解説したいと思います。
宅地建物取引士とはどんな資格?
宅地建物取引士とは、不動産取引に関する専門的な知識を有していることを証明する資格です。
不動産取引においては、法的な制約が多く、また取引金額も大きくなりやすいことから、専門家が関与し一般消費者が損害を負わないようにしなくてはなりません。
その専門家として公正な取引が行えるよう仲介する役割を担うのが宅地建物取引士です。
■宅地建物取引士の仕事内容
宅地建物取引士のおもな仕事内容は、公正に不動産取引が成立するよう進めることですが、注目しておきたいのは3つの独占業務です。
以下の3つの独占業務は、宅地建物取引士にしか行えない点できわめて重要な意味を持ちます。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書類への記名押印
- 契約書への記名押印
重要事項の説明
不動産取引は金額が大きくなりやすく、トラブルが生じると損害が大きくなる場合もあります。
宅地建物取引士は、不動産取引におけるトラブルを防ぐため、契約前に重要事項を説明する義務を負っています。
重要事項は、売買や賃貸など、ケースによって内容も変わりますが、説明するべきことは多岐に渡ることが一般的です。
また、ただ読み上げるのではなく、消費者が内容を理解できるようしっかりと説明しなくてはなりません。
重要事項説明書類への記名押印
重要事項の説明が適切に行えたことを証明するため、重要事項説明書へ宅地建物取引士による記名と押印が必要となります。
これは、重要事項の説明に関して責任の所在を明確にする意味でも重要な手続きとなります。
契約書への記名押印
契約書を締結することで、契約内容を明確化し、またトラブルを防ぐうえでも重要な役割を果たします。
宅地建物取引士により契約内容に間違いないことを確認して記名押印することが定められています。
宅地建物取引士の資格が建設業でも有利な理由
宅地建物取引士の資格は、不動産業だけでなく建設業界で働く人にとっても有利です。
とくに営業職で活躍する人は、取得しておくことで仕事の幅が広がりキャリアアップや転職などで大いに活かせるでしょう。
建設業界で宅地建物取引士資格が活かせるのは、おもに自社で建設した戸建て住宅やマンションなどを販売するケースが挙げられます。
このように、事業として宅地や建物などを売買するには宅地建物取引業免許が必要です。
そうなると、独占業務を行える宅地建物取引士の有資格者は、当然ながら活躍の場も多くなるでしょう。
また、宅地建物取引業を営む場合、従業者の5人に1人は宅地建物取引士を設置しなければならないことが宅地建物取引業法に定められています。
つまり、会社としても宅地建物取引士の有資格者は貴重な存在なのです。
宅地建物取引士資格試験の概要
宅地建物取引士資格試験の概要について簡単にご紹介いたします。
■受験資格
宅地建物取引士資格試験を受験するために、年齢や性別、学歴などの制約はなく、誰でも受験が可能です。
■試験方法
・筆記試験:四肢択一式
■資格登録
試験に合格し、宅地建物取引士として業務に従事するには受験した試験地の都道府県の登録を受ける必要があります。
ただし資格登録には一定の条件を満たさなくてはなりません。
資格登録に必要な条件とは以下の通りです。
・宅地建物取引業の実務の経験が2年以上ある者
・国土交通大臣の登録を受けた宅地又は建物の取引に関する実務についての講習を修了した者
・国、地方公共団体又はこれらの出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者
なお、実務についての講習とは、宅地建物取引士資格試験の合格者を対象に登録実務講習機関で行われる講習のことをいいます。
まとめ
宅地建物取引士は、建設業界における、とくに営業職で活躍を目指す人にはおすすめの資格です。
取得すると、仕事の幅が広がったり、あるいは収入がアップしたりなど、有利になることは間違いないでしょう。
また、宅地建物取引士のほか、建築士やファイナンシャルプランナーなども、建設業の営業職には有利な資格となります。