建設業界へ転職したい人にとって、業界を取り巻く現状や将来に向けて課題となっていることなどは大いに気になる部分ではないでしょうか?
新型コロナウィルスの世界的な流行によって多大な影響を受けていることは否めませんが、建設業界が日本の基幹産業であることに変わりありません。
また、「アフターコロナ」を見据えた働き方改革も期待されるところで、転職をするのであれば魅力ある環境で働きたいと誰もが思うことでしょう。
そこで本記事では、転職する前に知っておきたい建設業界の現状と課題についてご紹介したいと思います。
建設業界の現状について
建設業界の現状についていくつかの視点から見ていきたいと思います。
■建設投資は増加傾向もコロナの影響は避けられない
国土交通省によると、建設投資は1992年(平成4年)の約84兆円をピークとし、2010年(平成22年)には約41兆円とピーク時の半分にまで落ち込んでいます。
その後は、東日本大震災の復興需要や東京オリンピックの開催決定などの影響から徐々に持ち直し、2019年(令和元年)には61兆円まで回復する見込みです。
ところが、2020年(令和2年)は新型コロナウィルスの大流行もあって建設投資は前年よりも減少する見通しとの発表がありました。
とはいえ、建設業界の市場規模は大きく、日本経済をけん引する存在であることは間違いありません。
建設産業の現状と課題:国土交通省
■建設業就業者数は横ばい
建設業就業者は、1997年(平成9年)の約685万人をピークとし、2010年(平成22年)には約498万人まで落ち込みます。
その後の10年間は、約500万人程度を横ばいで推移しています。
建設投資が増加傾向にありながら就業者が変わらないということは、つまり人手不足の状況にあることが伺えるデータといえるでしょう。
建設産業の現状と課題:国土交通省
また、さらに深刻なのは高齢化が著しく進行していることです。
建設就業者の約3割は55歳以上で、一方で29歳以下は約1割と他の産業と比較しても高齢化が顕著となっています。
建設産業の現状と課題:国土交通省
■今後の建設需要
今後の建設需要は、大阪万博やIRの誘致、そしてリニア中央新幹線など大型のプロジェクトが多く予定されていることもあってますます拡大していくことが予想されます。
また社会インフラの老朽化が著しく進行しており、これらの維持管理の需要が加速度的に増加します。
また、住宅建設においては、人口減少の影響から新築需要は限られるものの、リフォームやリノベーションなどの新たな需要へと転換し、拡大していくでしょう。
なお、住宅業界の今後については「【要注目】住宅業界の今後はどうなる?」の記事を参考にしてください。
建設業界の課題について
建設業界の今後の課題について解説したいと思います。
■業務の効率化
建設業界は、他の業界と比べてデジタル化が遅れているといわれています。
図面やその他さまざまな書類などは、まだまだアナログに頼っている部分も多く、デジタル化することで作業員の負担を軽減する効率化が重要になります。
近年では、スマホやタブレットなどの活用も増え徐々に業務効率化が図られていますが、さらに加速していくことが求められるでしょう。
また、建設業界では難しいとされるテレワーク化についても検討は不可避といえます。
現場作業は難しくても設計や事務作業などは可能であり、またミーティングなどはオンラインで実施することも有効です。
■次世代の担い手の獲得と技術継承
建設業界の最大の課題といえば、人材不足を解消し、いち早く戦力として活躍できるよう技術を伝えていくことでしょう。
建設就業者の約3割は55歳以上となっており、10年後にはその大半が引退することになります。
一方で29歳以下は約1割ときわめて少なく、この傾向が続くと10年後はますます人手が足りない状態となることは確実です。
そのため中長期的な担い手を確保することは喫緊の課題であり、優先的に取り組まなければなりません。
このような背景から、国として働き方改革を強く推し進め、次世代の担い手確保に躍起になっています。
まとめ
建設業界は、新型コロナウィルスの影響を大きく受けたものの、今後の見通しは底堅いといえます。
とはいえ、人材不足は深刻な課題となっているため、就業する人が働きやすい環境づくりが進んでいくことが予想されます。
建設業界で転職したいという人は、待遇などをしっかり調査し、よりよい環境で働けるよう転職活動に取り組みましょう。
※この記事はリバイバル記事です。