人手不足の拡大が問題に!
住宅業界では、特に働き手の人数が不足してきていることが問題になってきています。末端の職人だけでなく、施工管理職などの中間人材などが不足しています。これらの人材が不足することで、業界としての規模も小さくなりますし、人材がいなければ売上も当然落ちます。それにより国のGDPも落ちることとなってしまいます。
国としても対策を講じているところで、人手不足は非常に大きな問題となっています。人材が不足している原因として、
・労働人口の減少
・若手の離職問題
・ベテランの引退
が挙げられます。
■労働人口の減少
少子高齢化と言われているように、労働人口が年々減少してきています。これから労働人口は減る一方で増える見込みはほとんどありません。
そこで国の対策としては、労働環境の改善を促し、働き手が離職しないようにすることや、女性の社会進出を進めることで労働人口を確保しようとしています。また、外国人労働者の採用なども積極的に行なっているところもあります。
このように人口そのものは減少していますが、労働人口の減少幅を少なくするための施策をいくつか行なっています。後述するIT導入なども労働力が少なくても、同等以上の成果を出すための施策と言えます。
■若手の離職問題
若手の3年目離職率が平均38%と言われています。非常に多くの若手が建設業界から離職していることがわかります。建設業界は、3K(キツイ、汚い、危険)、新3K(きつい、厳しい、帰れない)と言われ、労働環境として良いと思われていないことも原因です。
■ベテランの引退
建設業では、55歳以上の人口が30%を超えていて、29歳以下は約10%ほどです。圧倒的にベテランの方が人数が多いのですが、10年後には引退してしまうため人手不足が慢性化しています。
また、ベテランの方々は資格保有者も多いため特に専門性の高い労働人口が減少すると言えます。
■働き方改革が、人手不足の解消につながる
建設業界では、働き方改革も進められています。人手不足の解消につながることが期待されています。
具体的な内容としては、
・週休二日制
・残業時間の制限
などがあります。
いわゆるブラックな環境で働くのであれば、ホワイト企業で少し給与が低かったとしてもホワイト企業で働きたいという方が多いです。このように他業種に流れてしまうことも業界として防ごうとしています。
また、工事現場では、トラブルも多く、施工管理者が1人しかついていない場合、その人材はいついかなるときも、現場対応しなければならない状況でした。このように、1人に負担が多くなり、業務が回らなくなるという状況などを解消するための法令緩和なども行われています。
IT技術の導入が急速に進んでいる!
IT技術を導入することで、建設業の業務効率化を図り、労働者が少なくても効率的に業務を行えるようにする動きがあります。
・ICT技術
・AI
・ドローン
などで代表されるIT技術は、現在の建設業で導入が急速に進んできています。今までアナログでしか行われていなかった業務が、IT化されることで効率的になっています。
■ICT技術の導入
i-Construction(アイ・コンストラクション)は、2015年に国土交通省が促進している「魅力ある建設現場を目指す取り組み」として、以下の項目を掲げています。
・1人1人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
・賃金水準向上などにより、建設現場の魅力UP
・現場死亡事故ゼロ
・「きつい、汚い、危険」から「給与、休暇、希望」を目指す
ICT(情報通信技術)とは、コンピュータを用いて人と人・システムを繋げる技術です。施工管理アプリなども開発され、1つの現場についての情報を全て一元化することができます。書類などのデータも一括で管理できる上、複数の関係各所に一つのメッセージで情報共有ができるなどのメリットがあります。
■AIの活用
AI技術は、業務の効率化を行うものとして注目されており、建設業界全般においても国土交通省もその開発を推進しています。
写真による解析や、施工計画の組み立て、重機の操作、工事生産性の解析などについてAIを導入することで業務効率化が行えます。
住宅建設においては、規模が大きくないためあまり活用はまだされていませんが、重機の遠隔AI捜査などの技術はすでにインフラ工事などで活用されています。住宅現場でも近い将来活用されることが期待されます。
■ドローン技術の導入
ドローンは、無人飛行が可能な航空機の総称です。建設業界では一般的に、小型のドローンにカメラを搭載したものが導入されています。
点検調査などにおいて、人が立ち入ることのできない場所や、高所においてドローンを用いることで、安全に安価に目的を達成することができます。
また、広範囲の撮影においても人が歩いて撮るより効率的で、工事を行っている最中でも空撮のため現場を邪魔せずに行うことができます。従来の撮影方法よりも安価で済むことも多く、ドローンは比較的安価であるため、導入が急速に進んでいます。
以上のように、様々な人手不足解消のための施作が行われています。労働人口の減少を解消する方法や、そもそも労働人口が減っても従来以上のパフォーマンスを発揮できるようIT技術の導入などが進んでいます。