新型コロナウィルスの世界的な流行により、経済へのダメージは大きくその深刻さは計り知れません。
もちろん住宅業界への影響も大きく、今後どうなっていくのかという点は多くの人が注目するところでしょう。
また、少子高齢化とともに住まいのあり方にも変化が見られ、ニーズも多様化していることから、新たな可能性にも期待が高まっています。
そこで本記事では、住宅業界は今後どうなっていくのか、またとくに拡大が期待される新たな需要についてもご紹介したいと思います。
住宅業界の現状について
まずは住宅業界の現状について解説いたします。
国土交通省から発表される新設住宅着工戸数によると、2009年度にリーマンショックの影響から78万戸まで下がりましたが、2013年度には99万戸まで回復しました。
その後は、ほぼ横ばいに推移しながら2019年度には88万戸となり、2020年度はリーマンショックのときよりもさらに悪い73万戸まで落ち込むといわれています。
新型コロナウィルスによる影響とはいえ、その深刻さがよくわかるデータといえるでしょう。
また既存住宅は、築年数が古く耐震性や断熱性、バリアフリーなどの対応が十分でないなど、品質に課題のある建物が多く残っている状況です。
中古住宅の流通量も欧米諸国と比べて低い水準にあり、さらに空き家も増加傾向にあるなど社会問題化していますが、これらはこれまでの新築住宅の過剰建設が原因といえます。
品質のよい住宅を次の世代に承継するための取り組みや、中古住宅市場の活性化などは住宅業界の大きな課題となっています。
住宅業界の今後はどうなる?
今後の住宅業界は、少子高齢化が進むとともに新築需要は緩やかに減少するといわれています。
一方で、住み継ぐことを目的としたリフォームやリノベーション、そしてメンテナンスなどの需要は増加傾向にあります。
機能向上により長寿命を図り、同時にライフスタイルの変化に合わせて住まいも変えていくなど、ニーズの多様化は今後も加速していくでしょう。
また中古住宅市場も国の政策方針として活性化に向けた取り組みが進んでいます。
もともと住宅業界は巨大な市場であり、多くの技術やノウハウの蓄積があります。
消費者ニーズの多様化とともに新たな需要も生まれているなど、住宅業界は今後も成長が期待できるでしょう。
住宅業界の新たな需要について
ここからは今後の住宅業界を支える新たな需要についてご紹介したいと思います。
■リフォーム・リノベーション・メンテナンス
リフォーム・リノベーション・メンテナンスなどは、今後ますます拡大していくことが予想される市場です。
とくにライフスタイルの変化や家族構成の増減に合わせて住まいを変えていくなど、住まい手のニーズが顕在化していくことは大いに期待されます。
そして建物の長寿命を図り次世代へと承継するためにはメンテナンス体制の構築が重要であり、住宅業界の取り組みとして確立していくものと思われます。
また、これまでの新築優遇からの転換により中古住宅市場の活性化が図られると、住宅ストックの活用や住み替えなどの需要も高まるでしょう。
■バリアフリー化
高齢化の加速により、住宅のバリアフリー化は大きな課題です。
高齢者の家庭内事故は非常に多く、住宅のなかに存在する危険を取り除き行動をサポートするための対策が必要な家庭は増えてくるでしょう。
とくに介護が必要な家族がいる場合は、介護受ける側の快適性に配慮することはもちろん、介護をする側の負担を軽減するような住まいづくりも必要になります。
■省エネ化
住宅の省エネ対策は健康で快適な生活を送るうえで欠かせません。
新築では、断熱性能を高めて熱損失を減らす「省エネ」の向上や、太陽光発電システムや家庭用燃料電池などを設置してエネルギーをつくる「創エネ」への取り組みも進んでいます。
なお、つくるエネルギー量が消費するエネルギー量と同じか上回る住宅のことを「ZEH(ゼッチ)」といい、2030年までに新築住宅の平均になることを政策目標として推進しています。
また既存住宅の7割以上は旧省エネ基準かそれ以前に建てられたものになりますが、これら住宅の断熱リフォームなど省エネに対する取り組みも重要です。
まとめ
住宅業界は、これまで中心となっていた新築需要からリフォームやリノベーションなど既存住宅に対する需要へと転換していくことになるでしょう。
また新たな需要についても、今回ご紹介したものだけでなく、地震国でありながらまだまだ十分ではない「耐震化」や、住宅会社の「海外展開」などの盛り上がりも期待されます。
しかし、住宅業界は深刻な人手不足にあることから、優秀な人材の確保は急務となっています。
今後も伸びることが期待される住宅業界を活躍の場として検討してみてはいかがでしょうか。
※この記事はリバイバル記事です。