建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

建設業界の働き方が変わる!建設キャリアアップシステムとは

人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。 とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。 国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。 「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。 そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。


人口減少と高齢化の加速にともない、建設業界の働き方も大きく変わろうとしています。
とくに次世代を担う人材が不足しているという点は深刻な問題であり、若い世代が働きたいと魅力を感じる環境づくりは急務となっています。

国としても、建設業の働き方改革を加速化させるいくつかの取り組みを策定していますが、そのひとつが「建設キャリアアップシステム」です。
「建設キャリアアップシステム」とは、建設業に携わる技能士のキャリアなどを見える化し、適正な評価のもとに待遇向上を目指すものになります。

そこで本記事では、「建設キャリアアップシステム」の取り組みについて、その内容をくわしく解説したいと思います。

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムとは、建設業で働く技能者の有している資格や社会保険加入状況、また現場の就業履歴などのデータを登録および蓄積する仕組みのことです。
そのデータをもとに、技能者の能力を適正な評価につなげ待遇の向上を図ること、そして建設事業者の業務負担と軽減することなどの狙いがあります。

建設キャリアアップシステムの必要性について

建設キャリアアップシステムは、建設業界の大きな課題である人手不足と高齢化の解消に向けた取り組みの一環です。
今後、団塊世代の大量離職が見込まれているなか、若い人材の獲得は急務となっています。

ところが、建設業界といえばいわゆる3K(きつい・きたない・危険)といったイメージも強く、他業界へと若い人材が流れてしまうケースも見られます。
そのため、業界全体の取り組みとして働き方の見直しを図り、魅力ある環境づくりを強く推し進める必要があるのです。

このような背景から、国土交通省の主導で建設業界の働き方の指針となる「建設業働き方改革加速化プログラム」が発表されています。
「建設業働き方改革加速化プログラム」では、以下の通り大きく3つの柱が掲げられています。

  • 長時間労働の是正
  • 給与・社会保険
  • 生産性向上

そして、建設キャリアアップシステムは、3本の柱のうち「給与・社会保険」に関する環境を整備するための取り組みのひとつになります。
つまり、働き方改革を強く進め、若い世代にとって魅力ある環境づくりをする必要性からこのシステムが構築されたというわけです。

なお、「建設業働き方改革加速化プログラム」に関する詳しい内容は、「【建設業界の働き方改革】残業が減るって本当?」の記事を参考にしてください。

建設キャリアアップシステムの概要について

建設キャリアアップシステムの概要について、簡単にご紹介いたします。

技能者情報等の登録

まずは建設キャリアアップシステムに技能者の情報を登録する必要があります。
技能者情報とは例えば以下のような内容です。

  • 事業者情報(商号、所在地、建設業許可など)
  • 技能者情報(本人情報、保有資格、社会保険加入状況など)
  • 現場情報(現場名、工事の内容など)

カードの交付・現場での読取

建設キャリアアップシステムに登録すると、技能者には建設キャリアアップカードが交付されます。
そして現場に入場するときには、そのカードをカードリーダーに読み取らせます。
なおカードリーダーは、元請け事業者によって導入しておくことが必要です。

システムによる就業履歴の蓄積

現場入場時の読み取りごとに技能者の就業履歴がデータとして蓄積されます。
システム上では、就業履歴のほか資格や社会保険の加入状況なども確認することが可能になります。

技能者の能力評価について

建設キャリアアップシステムのおもな目的は、システムに登録および蓄積された情報を活用することで技能者の待遇の向上が図られる環境を整備することです。
蓄積されたあらゆるデータから、カードの色分けなど客観的に判断できるよう基準を設けるなど能力の見える化が行われる計画となっています。

技能者にとってのメリット

技能者にとっては評価基準が明確になり、収入アップなど能力に見合った待遇を受けられる可能性が高まります。
また、経験の蓄積やスキルアップが見える形で評価につながるため、モチベーションにもなるでしょう。

事業者にとってのメリット

事業者にとっては、レベルの高い技能者を多く育成することにより、社外からの評価を高め受注の増加につなげることが可能です。
そして、建設キャリアアップシステムに基づく給与体制を整備しているなど、人材獲得に向けたアピール要素になります。
また、所属する技能者の就業管理が簡素化できるため、業務の効率化を図れます。

まとめ

建設業界の働き方改革は少しずつですが確実に進んでいます。
これまでの3Kといった悪いイメージを払拭し、若い世代にとって魅力ある業界になる日も近いかもしれません。
ただし、会社選びは慎重に行いましょう。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


転職 働き方改革 職人

関連する投稿


【建設業で有利】宅地建物取引士の資格とは?

【建設業で有利】宅地建物取引士の資格とは?

宅地建物取引士は、不動産取引の専門家として欠かせない国家資格で、略称として「宅建士」とも呼ばれます。 この宅地建物取引士は、不動産業界に携わる人にとって必須ともいえる資格ですが、建設業界でも活かせるとして注目されています。 では宅地建物取引士資格は、建設業界でどのように役立つのでしょうか? そこで本記事では、そもそも宅地建物取引士とはどのような資格なのか、また建設業界で働く人が取得することによりどのように役立つのかその理由について解説したいと思います。


【コンクリート技士・診断士】仕事内容や資格試験などを解説

【コンクリート技士・診断士】仕事内容や資格試験などを解説

建物をつくるうえで欠かせない材料のひとつにコンクリートがあります。 コンクリートは、建物の強度を左右する重要な役割を担うため、十分な品質を確保しなくてはなりません。 そのため、コンクリートを取り扱う業務では、高度な専門知識を有する人の存在が求められることが多くなっています。 建設関連の資格は非常に多くありますが、なかでも「コンクリート技士」および「コンクリート診断士」は、コンクリートのスペシャリストとして活躍できる注目の資格です。 そこで本記事では、「コンクリート技士・診断士」の資格を取得することで行える仕事内容や、資格試験の概要についてご紹介したいと思います。


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


最新の投稿


【働き方指南】新人住宅設計士は独立を目指して働こう!

【働き方指南】新人住宅設計士は独立を目指して働こう!

新人住宅設計士は、全く設計の仕事ができないと言っても過言ではありません。設計自体は先輩社員が基本的には行い、新人はそれの補佐から始まります。もっと設計に関わりたい!もっと案を出したい!と思っても、ほとんどできない状況が続くでしょう。小規模の設計事務所では、新人は電話対応やお客様対応などに時間を割かなければなりません。そこで、違う会社に転職しようとしたり、先輩の文句を言う前に、まずは自分が独立したときに困らない知識や経験を最低限つけてみましょう!


住宅営業の仕方でトラブルに!?クロージングを急ぎすぎてはいけない

住宅営業の仕方でトラブルに!?クロージングを急ぎすぎてはいけない

営業は月末になると、その月の売上をなんとしてでも作ろうとします。どの営業でもそうですが、この際にお客様にメリットになるクロージングトークをしかけます。しかし、このとき営業が急すぎ、後々の工事になった時にトラブルになってしまった経験をしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?この記事では、工事請負契約書を交わす際に注意しなければならない点についてご紹介いたします。


【営業で勝つために】住宅メーカーの研究をしよう!一挙にまとめてご紹介

【営業で勝つために】住宅メーカーの研究をしよう!一挙にまとめてご紹介

営業にとって、一番嫌なのが、他の会社にお客様を取られてしまうことではないでしょうか?住宅購入をしている方を見つけることが大変な営業です。せっかく購入意思が固いお客様にアプローチできたにも関わらず、今一歩のところで他社にしましたとなったときの落胆は、誰しもが経験したことがあるはずです。他社の住宅メーカーがどのような提案を行なっているのか簡単にご紹介いたします。


【営業も知っておくべき】住宅購入に使える補助金まとめ

【営業も知っておくべき】住宅購入に使える補助金まとめ

住宅購入は費用も多くかかり、なかなか踏み切れない方も多いです。しかし、日本経済を潤すために住宅の売買については、国も様々な施策を行っています。そこで、お客様に補助金制度を勧めることで購買意欲を高めることができます。多くの制度があり、条件も細かく設定されているものもあります。お客様が調べても、購入する住宅がその制度の条件にあっているかなどがわからない場合もあります。営業はしっかりとそれぞれの制度について理解しておきましょう。


【かんたんまとめ】住宅購入にかかるお金の知識

【かんたんまとめ】住宅購入にかかるお金の知識

住宅購入には、建物の価格だけでなく、それらの手続きにかかる様々な諸費用がかかります。これらの費用についての知識を、営業が持っていなければ、お客様は契約してからこんなに予算を用意できないという事態になってしまいます。事前にお客様が手持ち資金の不足がないように、どの程度の金額が何にかかるのかについて説明できるようにしましょう。営業はお金の話をしっかりできてこそ、お客様から信頼され、契約に結びつきますので、しっかりと把握しておきましょう。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 台風 現場監理 働き方改革 資格