住宅設計士必見!設計を体感できる日本住宅3選と現代住宅

住宅設計士必見!設計を体感できる日本住宅3選と現代住宅

良い住宅を建てるために多くの住宅設計事例を知ることが大切であることは言うまでもないかと思います。しかし、いくら写真や設計図などを見ていても、実際に体感するに越したことはありません。この記事では設計そのものを体感できる住宅についてご紹介いたします。


歴史的な住宅3選|体感しよう

住宅設計は、歴史を知ることも非常に重要です。設計は先駆者達によって様々な試みがなされています。そこから時代に即した変遷を経て、改良を繰り返し今日まで進化してきています。

古いものを知ることで、現代に新しい形で取り入れることもできますし、現代の生活には合わないところを知ることも住宅設計には重要です。

ここでは以下の3つ
・葉山 加地邸
・私の家
・前川國男 自邸
についてご紹介いたします。

葉山 加地邸

国指定登録有形文化財 葉山加地邸 【公式サイト】

https://kachitei.link/

フランク・ロイド・ライトの愛弟子・遠藤新が1928年に設計し、帝国ホテルをも彷彿とさせる加地邸が民泊施設【葉山加地邸】として生まれまわりました。

国指定登録有形文化財として登録されている、葉山 加地邸は、遠藤新が設計しました。遠藤新田は巨匠フランク・ロイド・ライトの愛弟子であり、東京帝国ホテル建設の際にスタッフとしても加わりました。その後もライトの日本での設計に関わる建築を支えています。

加地邸は、1928年に竣工しました。遠藤が質の高い建築を多数設計した充実期の作品です。建築から家具照明にいたる総合性を実現した極めて密度の高い「全一」の空間となっています。

約90年を超える加地邸は、老朽化していましたが所有者によって建築デザインはそのままに修繕され、現在では誰でも宿泊できる施設となって生まれ変わっています。

ぜひ宿泊することで、実際の生活を体験することで写真や設計図だけではわからない、生きた設計というものを味わうことができます。

私の家

登録有形文化財、1954年に建築家・清家清が建てた自邸「私の家」です。東京都大田区に現存し、敷地面積は182平米、建築面積50平米、延べ床面積70平米、RC造で、1954年に竣工しました。

清家清は戦後で日本を代表する建築家の1人で、多くの弟子を育てています。この住宅は特殊な設計となっており、家族のためのワンルーム設計というものです。これには時代背景があり、戦後政府によって持ち家政策が進められています。しかし公的融資が50平米までという制限があり、この面積で豊かな空間をどのようにデザインするかという問題がありました。

そこでたどり着いたのがワンルームという考えです。この家にはトイレの扉もないことで有名になりました。様々な設計の工夫を肌で感じてみてください。

前川國男 自邸

木造モダニズムの傑作と言われている前川國男 自邸です。ル・コルビジェの弟子でもあった前川國男の作品です。東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」にていつでも見学することが可能です。

江戸東京たてもの園は、1993年に開園した野外博物館で、敷地面積はなんと約7ヘクタールにもなります。江戸時代から昭和初期までの30棟の復元建築物が建っています。

もともとは1942年に東京都品川区に建てられ、1973年に解体され軽井沢の別荘で解体材の状態で保管されていたものを1996年に江戸東京たてもの園に寄贈され1996年に再建されたものです。

一見和風に見える住宅ですが、モダニズムがふんだんに散りばめられた設計となっています。幾何学的な格子窓や灯り障子などその造形が見て取れます。リビングは吹き抜けとなっており、南側の壁は一面窓になっており、非常に開放感のある明るいデザインとなっています。

江戸東京たてもの園には他にも参考になる建築物が多く残っているため、ぜひ前川國男 自邸と一緒に見に行くことをお勧めします。

日本の現代住宅の象徴は、ハウスメーカー

ハウスメーカーのような決まった住宅は、設計士にとってあまり参考にならないのではないかと思っている方もいるかもしれません。しかしハウスメーカーの設計というのは、世間の声を集約し、多くの設計者が携わり考え出された最適解とも言うことができます。

ハウスメーカーの設計を定期的に見ることは、時代に即したトレンド、生活スタイルの変化などを取り入れた設計を知る優れた方法です。

モデルハウス見学

住宅展示場などで多くのハウスメーカーのモデルハウスを見学することができます。ハウスメーカーごとの特徴を出しながらも、住宅性能をどの程度お客様が求めているのか、設備や間取りのトレンドを見ることができます。

また外観デザインや外装材、屋根材といった建材に注目して見学することも重要です。お客様が何を見て惹かれるのかを、各メーカーを比べることができるところも住宅展示場のメリットです。

オープンハウス見学

建売住宅などでも行われているオープンハウスですが、気軽に見に行けるのがメリットです。建売といっても設計士が設計しており、非常に優れた設計であることも多々あります。どのようなところでコストカットをしているのか、シンプルな住みやすい造りなどの参考にすることができます。

住宅設計は正解がないため、とにかく多くの事例をみることは設計者にとっていつでもアイデアを与えてくれます。設計士のみなさまの参考になれば幸いです。





※この記事はリバイバル記事です。

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