工事現場で働く人たちの命を守る装備品は多くありますが、「ヘルメット」もそのひとつとなります。
しかし、「ヘルメット」を安全に使うにはルールが定められており、使用する人は必ず守らなくてはなりません。
また、「一般社団法人日本ヘルメット工業会」では、「ヘルメット」の種類ごとに耐用年数を定めており、安全を保つためにも、期限がくる前に交換することを推奨しています。
そこで本記事では、現場監督なら知っておきたい、「ヘルメット」の耐用年数や安全に使用するポイントについて解説したいと思います。
ヘルメットの耐用年数について
ヘルメットは、素材ごとに耐用年数が定められています。
「一般社団法人日本ヘルメット工業会」では、定めている耐用年数を目安とし、交換することを推奨しています。
「一般社団法人日本ヘルメット工業会」が定めるヘルメットの耐用年数とは以下の通りです。
- 熱可塑性樹脂製ヘルメット:使用開始より3年
- 熱硬化性樹脂製ヘルメット:使用開始より5年
- 着装体:使用開始より1年
■熱可塑性樹脂製ヘルメット
熱可塑性樹脂とは、熱が加わると、柔らかく、変形しやすい樹脂のことをいい、ポリカーボネート(PC)やABS樹脂(ABS)、ポリエチレン(PE)などの種類があります。
これらのおもな特徴といえば、耐電性に優れることです。
熱可塑性樹脂製ヘルメットは、外観に異常がない場合でも、使用開始から3年以内に交換することが推奨されています。
■熱硬化性樹脂製ヘルメット
熱硬化性樹脂とは、熱が加わると、硬化し、変形しにくい樹脂のことをいい、繊維強化プラスチック(FRP)などの種類があります。
これらのおもな特徴といえば、耐熱性や耐候性に優れることなどです。
そのため、電気工事用には適さないとされています。
熱硬化性樹脂製ヘルメットは、外観に異常がない場合でも、使用開始から5年以内に交換することが推奨されています。
■着装体
着装体とは、ヘルメットの内部に付属している、環ひもやハンモック、ヘッドバンド、あごひもなどです。
これらの多くは合成繊維でつくられており、使用するごとに「ほつれ」などの劣化が生じるほか、とくに汚れやすい部位となります。
そのため、着装体は、1年以内に交換することが推奨されています。
耐用年数に関係なく交換するべきケース
ヘルメットには、目安となる耐用年数が定められています。
しかし、安全を確保するためにも、耐用年数に関係なく交換するべきケースについて、理解しておく必要があります。
耐用年数に関係なく、ヘルメットを交換するべきケースとは以下の通りです。
- 一度でも衝撃を受けた場合
- 「保護帽の20のチェックポイント」に該当する場合
■一度でも衝撃を受けた場合
強い衝撃を一度でも受けたヘルメットは、耐用年数に関係なく交換対象となります。
というのも、ヘルメットは何度も衝撃に耐えられるよう、つくられていないためです。
一度強い衝撃を受けたヘルメットは、本来の性能を発揮できず、再び衝撃を受けた場合に安全を確保できない可能性があります。
そのため、一度でも衝撃を受けたヘルメットは、外観に異常がない場合でも交換する必要があるわけです。
■「保護帽の20のチェックポイント」に該当する場合
ヘルメットを使用する前には、点検を行い、安全を確認することが重要です。
「一般社団法人日本ヘルメット工業会」による「保護帽の取り扱いマニュアル」では、ヘルメットの使用前点検について20のチェックポイントを挙げています。
この20のチェックポイントについて、ひとつでも該当する場合は交換することを推奨しています。
なお、ヘルメットの使用前点検について20のチェックポイントについては、「保護帽の取り扱いマニュアル」を確認してみてください
ヘルメットの処分方法について
ヘルメットを交換するとき、古いものは処分が必要です。
「一般社団法人日本ヘルメット工業会」では、リサイクルセンターを設置しており、販売店などを通じて回収を行っています。
リサイクルセンターを利用したい場合は、「一般社団法人日本ヘルメット工業会事務局」まで問い合わせてみるとよいでしょう。
また、自治体によっては、不燃ゴミとして回収してもらえる場合があります。
まとめ
ヘルメットは、工事現場に従事する人にとって、命を守るための重要なアイテムのひとつです。
とくに現場監督は、安全管理を徹底して行う必要があるため、耐用年数についても意識することがポイントになります。