現場監督の重要業務のひとつに安全管理があります。
安全管理は、現場に潜む危険を排除し、安全に作業を進めるための環境をつくることが大きな目的です。
そして、安全な環境づくりにはさまざまなアプローチの方法がありますが、なかでも「5S活動」は効果が高いとして多くの現場で取り組まれています。
では「5S活動」とは具体的にどのような活動なのでしょうか?
また、取り組むことでどのような効果が期待できるのでしょうか?
そこで本記事では、住宅の工事現場で行う「5S活動」とはどのような活動なのか、そして取り組むことで期待できる効果などについて解説したいと思います。
工事現場で取り組む「5S活動」とは?
「5S活動」とは、工事現場など作業環境を整備するために必要とされる5つの要素について、共通する頭文字を取ってそう呼ばれています。
作業環境を整備するために必要とされる5つの要素とは以下の通りです。
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- しつけ
■整理
工事現場には、必要なものとそうでないものが混在しています。
それらを判別し、必要なものだけを残して不要なものを取り除く作業が「整理」です。
■整頓
工事現場では、作業中に必要とするものをすぐに手に取れるようにしておかないと効率が下がります。
それができるよう、決まった場所に配置しておく作業が「整頓」です。
■清掃
工事現場にゴミが散乱した状態は、必要なものが埋もれて作業性を悪くする他、つまずいてケガをするなど危険な要素となり得ます。
現場をきれいな状態にする作業が「清掃」です。
■清潔
おもに「整理」「整頓」「清掃」を実行することにより、工事現場がきれいに保たれている状態が「5S活動」における「清潔」です。
作業の節目ごとに「整理」「整頓」「清掃」を心掛けることで、常にきれいな状態を維持することが可能となります。
■しつけ
工事現場で実際に「5S活動」を行うのは作業員であるため、全員が確実に取り組めるように意識付けを行い、習慣化するための取り組みが「しつけ」です。
現場監督は、工事現場の安全を確保するため、きれいな環境をつくれる仕組みをつくること、そしてその仕組みを全員が守るよう教育や指導を行うことが重要になります。
工事現場で取り組む「5S活動」で期待できる効果
工事現場の作業員にとって「5S活動」を行うことは、やらなくてはならないことが増えるとして、積極的に取り組みたくない人も存在します。
しかし「5S活動」を行うと、本来の仕事の妨げになるよりも、得られる効果のほうが高いとされています。
工事現場で取り組む「5S活動」で期待できるおもな効果とは以下の3つです。
- 安全性を高める
- 作業効率を高める
- 施主の満足度を高める
■安全性を高める
「5S活動」によりきれいな状態が維持された現場は足元に置いているモノが少ないため、つまずきにくくなります。
とくに脚立作業中などは、降りたときに足元にモノがあると転倒して大きなけがをすることにもつながりかねません。
また、乱雑な現場は緊張感が緩み、作業員の多くはきれいな状態を保つ必要がないと考えることから、より状況が悪化するといった悪循環に陥りやすくなります。
「5S活動」を行いきれいな状態を維持することは、危険な要素を減らし、そして適度な緊張感をもたらすため、現場の安全性を高められるのです。
■作業効率を高める
きれいな状態を維持している現場は、必要な道具や材料を探すことなくすぐに使えるため、効率よく作業することが可能です。
また、十分な通路が確保されていると、材料搬入や移動もスムーズに行えます。
一方、乱雑な現場は、作業に不要なものも残っていることが多く、混乱して時間をロスしてしまう可能性が高いでしょう。
「5S活動」を行いきれいな状態を維持することは、やることが増えると敬遠する人もいますが、実は作業の正確性を向上させる合理的な方法なのです。
■施主の満足度を高める
住宅の工事期間中は、施主が現場見学に訪れることは少なくありませんが、きれいな現場であるほど気持ちよく見学でき、満足度を高めます。
一方、現場が汚いと、多くの施主は適切な品質が得られるのか不安に感じてしまいます。
また、現場が乱雑であれば仕上げ材を傷めることも多く、施主がその状態を目にした場合、トラブルになることがあるかもしれません。
「5S活動」を行いきれいな状態を維持することは、施主にとっても安心であり、満足度の向上にも大きく寄与します。
まとめ
工事現場の「5S活動」は、実施することで現場に関わるすべての人によい効果が期待できます。
とくに現場監督にとっては、安全管理を強く推し進めるうえで効果的であることからも、必ず実行したい取り組みといえるでしょう。