会社のトップの肩書には、「代表取締役」や「社長」など、さまざまな呼称があります。
また、近年では外国企業を中心に「CEO」というワードを耳にすることも多くなりました。
しかし、これらにどのような違いがあるのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか?
いずれも会社のトップであることは共通していることはわかりますが、実は、それぞれ異なる意味を持っています。
そこで本記事では、「代表取締役」や「社長」、そして「CEO」など、それぞれの違いについて解説したいと思います。
代表取締役とは?
代表取締役とは、「会社法」という法律により定められている呼称であり、社外的に会社を代表する取締役のことをいいます。
そして、「取締役会」を設置する場合、取締役のなかから必ず選ばなければならないのが代表取締役です。
なお、「取締役会」を設置しない会社では、必ずしも代表取締役を選定する必要はありません。
■取締役会とは
「会社法」では、株式会社を設立する場合、株主総会と取締役を設置しなくてはならないことが定められています。
取締役とは、株主総会の決議によって選任される役員のことであり、会社の業務執行や経営に関する決定などがおもな役割です。
そして、「取締役会」は、株式会社における業務執行の意思決定機関のことをいい、会社の基本ルールを定めた「定款」で定めることで、自由に設置できることになっています。
ただし、「取締役会」は、公開会社など一定の条件に相当する場合は必ず設置する必要があります。
また「取締役会」を設置しない場合の取締役は1人で足りる一方、設置する場合の取締役は3人以上必要となることなどもルールのひとつです。
■代表取締役の人数に制限はない
「取締役会」を設置する会社は、取締役のなかから代表取締役を選ぶ必要がありますが、代表取締役の人数に制限はありません。
「定款」に代表取締役の人数に関する内容を記載しておくことで、複数設置が可能となります。
■会社役員とは
「会社法」では、役員についても明確に定められています。
「会社法」による役員とは以下の3つです。
- 取締役
- 会計参与
- 監査役
取締役
取締役は、株主総会の決議によって選任され、会社の業務執行や経営に関する決定などを行います。
会計参与
会計参与は、取締役と共同して貸借対照表や損益計算書などの計算書類を作成する役割を担います。
監査役
監査役は、取締役や会計参与が行う職務が適法であることを監査する役割を担います。
社長とは?
社長とは、会社における最高責任者を指す呼称になります。
代表取締役が法律によって定義付けされていることに対し、社長は単に会社内の肩書を表すものです。
よって、場合によっては代表取締役ではない社長も存在します。
つまり、社長とは便宜上の呼称であり、法律を根拠とするものではないという点が代表取締役との大きな違いです。
また、代表取締役は人数に制限がない一方で、社長は基本的に1人であることも違いのひとつとなっています。
■代表取締役社長とは
社長は会社内の肩書を表す便宜上の呼称ですが、なかには、その肩書を代表取締役社長としているケースもあります。
代表取締役とは、法律で定められた社外的に会社を代表する取締役のことをいい、社長とは社内の最高責任者としての肩書をいいます。
つまり、代表取締役社長とは、その両方を兼任する正真正銘の会社トップとってよいでしょう。
■社長以外の肩書について
会社内の肩書を表す便宜上の呼称には、社長以外にも多く存在します。
例えば、副社長や専務、常務、部長などが挙げられますが、いずれも会社内での役割を示す肩書であり、法律を根拠とするものではありません。
しかし、代表取締役副社長や取締役専務などは、法律に基づく会社の役員となります。
CEOとは?
「CEO」とは、「Chief Executive Officer」の略称であり、アメリカの法律によって定められている最高経営責任者のことをいいます。
しかし、アメリカの法律で定められているとはいえ、日本国内では社長と同様に法律を根拠とするものではなく、便宜上の呼称となります。
なお、代表取締役CEOという肩書は、代表取締役社長のように両方を兼任する正真正銘の会社トップといってよいでしょう。
まとめ
代表取締役は、会社法によって定義付けされている会社の代表者です。
一方、社長やCEOなどは、法律によって裏付けられた肩書ではなく、社内での役割や序列を表す呼称となります。
会社にとって重要なポジションであることは間違いありませんが、それぞれの意味はまったく異なることは知っておくとよいでしょう。