住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。
なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。
しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。
セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?
セメント、モルタル、コンクリートの違いについて、それぞれ個別に解説したいと思います。
■セメントとは?
セメントとは、モルタルやコンクリートをつくるために使われる材料のひとつで、石灰石や粘土などを原料とし、これらを混ぜて高温で焼成してつくられます。
そして、セメントの最大の特徴といえば、水と化学反応を起こして固まるという点です。
また、セメントの段階は粉末であることで流動性を備えていますが、ひとたび水と化学反応が起こるときわめて強固な硬化体となります。
この性質により、どのような形にも変化して強い構造物をつくることが可能になります。
つまり、建築物をつくるうえで非常に便利に扱える材料というわけです。
■モルタルとは?
モルタルとは、セメントと砂に水を加えて練り混ぜたものです。
おもな用途は、タイルなどの仕上げ材を施工するための下地調整として、あるいはコンクリートのひび割れや欠損の補修としてなど多岐にわたります。
そして、住宅の外壁といえばモルタル仕上げが過去には最も普及していましたが、現在の主流はサイディングです。
また、モルタルにはさまざまな種類があります。
例えば、通常のセメントモルタルにポリマー混和剤を混ぜた「ポリマーセメントモルタル」や、セメントの代わりにレジン樹脂を混ぜた「樹脂モルタル」などです。
■コンクリートとは?
コンクリートとは、セメントと砂、砂利に水を加えて練り混ぜたものです。
おもな用途は、住宅の基礎や建物の躯体、ダム、道路などで、私たちの身のまわりにも非常に多く見られます。
またコンクリートは、圧縮する方向への力には強さを発揮しますが、引っ張り方向には弱い点も特徴のひとつです。
しかし、引っ張り強度に優れる鉄筋を入れて「鉄筋コンクリート」とすることにより、弱点を補うことを可能としています。
モルタルとコンクリートの比較
モルタルとコンクリートは、いずれもセメントを原料としていますが、これらの違いといえば砂利が入っているかどうかという点です。
そして、モルタルとコンクリートは強度やコストにも違いが見られます。
■モルタルとコンクリートの強度の違い
モルタルとコンクリートでは、モルタルのほうが強度は高くなります。
この点は勘違いをしている人も多いかもしれませんが、同じ量で比較するとモルタルのほうのセメント比率が高くなるため、強度も高くなるのです。
■モルタルとコンクリートのコストの違い
モルタルとコンクリートでは、モルタルのほうが材料コストは高くなります。
この点も同様で、同じ量で比較するとモルタルのほうのセメント比率が高くなるため、コストも高くなってしまいます。
■建物の構造体に使われるのはコンクリート
モルタルのほうの強度が高いのであれば、「建物の重要構造でも使用できるのでは?」と思う人がいるかもしれません。
しかしモルタルは、ひび割れを起こしやすい性質があることや、コストが高いことなどの理由から、使われるのはコンクリートになります。
モルタルがひび割れしやすいのは、セメント比率が高く、化学反応により多くの熱を発して収縮することがひとつの理由です。
そのため、適切な強度を維持しながらセメント比率を下げることが有効となるわけですが、コンクリートはいずれも満たしています。
しかも、モルタルよりも低コストであるため経済的効果も期待できます。
よって、建物の構造体にはコンクリートが使用されるというわけです。
まとめ
今回ご紹介した3つの建材は住宅建築において欠かせないものですが、わかりにくく、間違えやすいものでもあります。
非常に基本的なことであるため、住宅建築の基礎知識として参考にしていただければ幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。