【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。
なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。

しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。

セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

セメント、モルタル、コンクリートの違いについて、それぞれ個別に解説したいと思います。

セメントとは?

セメントとは、モルタルやコンクリートをつくるために使われる材料のひとつで、石灰石や粘土などを原料とし、これらを混ぜて高温で焼成してつくられます。
そして、セメントの最大の特徴といえば、水と化学反応を起こして固まるという点です。

また、セメントの段階は粉末であることで流動性を備えていますが、ひとたび水と化学反応が起こるときわめて強固な硬化体となります。
この性質により、どのような形にも変化して強い構造物をつくることが可能になります。
つまり、建築物をつくるうえで非常に便利に扱える材料というわけです。

モルタルとは?

モルタルとは、セメントと砂に水を加えて練り混ぜたものです。
おもな用途は、タイルなどの仕上げ材を施工するための下地調整として、あるいはコンクリートのひび割れや欠損の補修としてなど多岐にわたります。

そして、住宅の外壁といえばモルタル仕上げが過去には最も普及していましたが、現在の主流はサイディングです。

また、モルタルにはさまざまな種類があります。
例えば、通常のセメントモルタルにポリマー混和剤を混ぜた「ポリマーセメントモルタル」や、セメントの代わりにレジン樹脂を混ぜた「樹脂モルタル」などです。

コンクリートとは?

コンクリートとは、セメントと砂、砂利に水を加えて練り混ぜたものです。
おもな用途は、住宅の基礎や建物の躯体、ダム、道路などで、私たちの身のまわりにも非常に多く見られます。

またコンクリートは、圧縮する方向への力には強さを発揮しますが、引っ張り方向には弱い点も特徴のひとつです。
しかし、引っ張り強度に優れる鉄筋を入れて「鉄筋コンクリート」とすることにより、弱点を補うことを可能としています。

モルタルとコンクリートの比較

モルタルとコンクリートは、いずれもセメントを原料としていますが、これらの違いといえば砂利が入っているかどうかという点です。
そして、モルタルとコンクリートは強度やコストにも違いが見られます。

モルタルとコンクリートの強度の違い

モルタルとコンクリートでは、モルタルのほうが強度は高くなります。
この点は勘違いをしている人も多いかもしれませんが、同じ量で比較するとモルタルのほうのセメント比率が高くなるため、強度も高くなるのです。

モルタルとコンクリートのコストの違い

モルタルとコンクリートでは、モルタルのほうが材料コストは高くなります。
この点も同様で、同じ量で比較するとモルタルのほうのセメント比率が高くなるため、コストも高くなってしまいます。

建物の構造体に使われるのはコンクリート

モルタルのほうの強度が高いのであれば、「建物の重要構造でも使用できるのでは?」と思う人がいるかもしれません。
しかしモルタルは、ひび割れを起こしやすい性質があることや、コストが高いことなどの理由から、使われるのはコンクリートになります。

モルタルがひび割れしやすいのは、セメント比率が高く、化学反応により多くの熱を発して収縮することがひとつの理由です。
そのため、適切な強度を維持しながらセメント比率を下げることが有効となるわけですが、コンクリートはいずれも満たしています。

しかも、モルタルよりも低コストであるため経済的効果も期待できます。
よって、建物の構造体にはコンクリートが使用されるというわけです。

まとめ

今回ご紹介した3つの建材は住宅建築において欠かせないものですが、わかりにくく、間違えやすいものでもあります。
非常に基本的なことであるため、住宅建築の基礎知識として参考にしていただければ幸いです。





※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


住宅 新築工事 建材

関連する投稿


住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の新築工事では、雨が降ると工事を止めなくてはならないケースがあります。 工事を止めなくてはならないケースとはおもに外部工事になりますが、内部の工事については、屋根や防水、その他雨仕舞が終われば天候に関係なく進められます。 また、雨が降って工事が止まったとしても基本的に現場監督は休みにはなりません。 できる仕事をやる必要があり、そして日頃から忙しい現場監督にとっては滞っている業務を大きく前に進めるチャンスでもあります。 そこで本記事では、雨が降って工事が止まったときにやっておきたいことについて、とくに重要な5つをご紹介したいと思います。


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】斫り(はつり)とはなに?

住宅の新築工事において実際に施工を行うのは専門業者です。 しかし、場合によっては現場監督が行うケースもあり、例えば、きわめて小規模な「斫り(はつり)作業」もそのひとつとなります。 「斫り」は、工事現場でよく使用されるワードですが、いったいどのような作業のことをいうのでしょうか? そこで本記事では、現場監督がよく使う建設用語「斫り」について、具体的にどのような作業なのか解説したいと思います。


【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

【暑中コンクリート】施工管理が注意するべき夏のコンクリート打設

住宅建築において、基礎のコンクリート打設は非常に重要な工事のひとつになります。 施工管理としても、建物の強さを左右するコンクリート打設は適切な施工が行われることをしっかりとチェックしなくてはなりません。 しかし、夏のコンクリート打設は通常とは異なる難しさがあります。 この気温の高い時期に施工するコンクリートを「暑中コンクリート」と呼び、施工管理者は施工に向けて対策を講じる必要があるなど、とくに注意が必要です。 そこで本記事では、施工管理者が注意するべき「暑中コンクリート」について、リスクと対策をご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


最新の投稿


【簡単わかりやすい】戸建て住宅工事の検査まとめ

【簡単わかりやすい】戸建て住宅工事の検査まとめ

戸建住宅工事では、様々な検査が行われています。住宅は非常に高価な商品であり、不具合があったときに容易に交換ができないことや、欠陥により人の命に関わることもあるため、法令遵守の求められている基準が厳しいです。義務として行わなければならない基本的検査、義務ではないがより安心した検査となる任意的検査があります。これらについてわかりやすく簡単にご紹介いたします。


住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の現場監督が雨の日にやっておきたいこと【5選】

住宅の新築工事では、雨が降ると工事を止めなくてはならないケースがあります。 工事を止めなくてはならないケースとはおもに外部工事になりますが、内部の工事については、屋根や防水、その他雨仕舞が終われば天候に関係なく進められます。 また、雨が降って工事が止まったとしても基本的に現場監督は休みにはなりません。 できる仕事をやる必要があり、そして日頃から忙しい現場監督にとっては滞っている業務を大きく前に進めるチャンスでもあります。 そこで本記事では、雨が降って工事が止まったときにやっておきたいことについて、とくに重要な5つをご紹介したいと思います。


現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

現場に労働基準監督署がやってきた!役割、現場監督の気持ち

住宅業界だけでなく、建設業界では馴染みの深い(?)労働基準監督署についてご紹介いたします。労基(ろうき)と略して言われますが、今日は労基がくるぞ!などと会社としては身構える日になります。書類関係や現場をチェックされ、違反などがあれば是正勧告などの指導が入ります。違反が重大なもので、指導に従わない場合、行政処分もあります。現場監督は問題がないように書類関係の準備や現場を普段から安全管理等しっかりと行う必要があります。


【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

【土地家屋調査士】仕事内容や資格試験などを解説

住宅業界には、資格を有していないとできない仕事が多くあり、「土地家屋調査士」もそのひとつとなります。 また、住宅を新築するときには、土地を購入し、そこに建物を建てて登記が行われるという大きな流れとなりますが、この間にはいくつもの法的な手続きが必要となります。 しかし、これら手続きの多くは誰にでもできるわけではありません。 なかには有資格者である専門家が行わなければならないことが定められており、そして「土地家屋調査士」でなければできないことも含まれています。 そこで本記事では、「土地家屋調査士」のおもな仕事内容や、資格試験の概要などについて解説したいと思います。


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 資格 現場監理 働き方改革 知識