建設工事中には、工事内容によっては道路を使用し、交通を妨げてしまうケースがあります。
そんなときに必ず取得しなくてはならないのが「道路使用許可」です。
そもそも道路は、人や車が自由に通行できる場所であり、それらを妨げるような使い方をしなくてはならない場合は、事前に許可を受ける必要があります。
では「道路使用許可」とは、具体的にどのような場合に取得する必要があるのでしょうか?
また、無許可で道路を使用するとどのような罰則を受けることになるでしょうか?
そこで本記事では、建設工事における「道路使用許可」とは具体的にどのような許可なのか、その内容を詳しく解説したいと思います。
道路使用許可とは?
まず道路とは、「道路交通法」により以下のような定義があります。
・道路法に規定する道路(高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道)
・道路運送法に規定する自動車道(自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの)
・一般交通の用に供するその他の場所
また、「道路交通法」では、信号機や道路標識の効用を妨げるような工作物の設置や交通の妨害となるようなものを置く行為などを禁止することも定められています。
しかし、例えば建築工事のように社会的価値のある行為については、一定の要件を満たし、警察署長の許可を受ければ、行えることとなっています。
その許可が「道路使用許可」です。
■道路使用許可の種類について
道路使用許可には4つの種類があります。
その種類とは、以下の通り行為の内容で分けられています。
・1号許可:道路において工事もしくは作業をしようとする行為
・2号許可:道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする行為
・3号許可:場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする行為
・4号許可:道路において祭礼行事やロケーシヨンをしようとする行為など
つまり、建設工事に関する道路使用許可は、おもに1号許可ということになります。
■道路使用許可の取得方法について
道路使用許可を取得するには、申請書とその他必要な添付書類を一式揃え管轄の警察署へ提出します。
建設工事で道路使用許可を取得するときのおもな添付書類は、案内図や配置図、その他道路使用に関する計画書などです。
また、道路使用許可は、一定の要件を満たさなければ取得できません。
道路使用許可を取得するには、「道路交通法」に定められた以下の3つの要件のいずれかに該当する必要があります。
・現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
・許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
・現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
要件を満たしていることが認められれば、申請から1週間程度で受け取ることが可能となります。
■道路占用許可が必要となるケースもある
目的が道路使用ではなく、道路の一部を継続的に占用する行為である場合、「道路占用許可」が必要となります。
例えば、建設工事であれば道路へはみ出した状態で足場を設置する必要があるケースなどが相当します。
なお、「道路占用許可」の取得が必要な場合は、警察署ではなく、国や都道府県、市町村などの道路管理者へ申請し許可を得なければなりません。
■道路使用許可を取得せず工事を行った場合の罰則とは?
道路使用許可が必要であるにもかかわらず取得せずに工事を行った場合、道路交通法違反となり罰則を受けることがあります。
無許可による道路使用の罰則は、以下の通りです。
・3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
住宅工事の道路使用許可に関する注意点
住宅工事において道路使用許可が必要となるケースといえば、コンクリート打設や建て方など重機を用いた工事が挙げられます。
アジテータ車やポンプ車、クレーン車などの重機を配置するときには、道路へはみ出してしまうケースがあります。
これら道路を使って行う工事の期間中は、道路使用許可を必ず取得しておかなければなりません。
とくに、道路使用許可が下りるまでには一定の期間がかかるため、工事開始に間に合うよう、早めに申請しておく必要があります。
そのためにも、現地調査や施工計画の作成時など、できるだけ早いタイミングで交通誘導員や看板の配置、そして必要に応じて迂回路などの検討を行っておくとよいでしょう。
また、道路使用を受けられる時間帯にも制限が設けられているため、その時間内で無理なく工事を進められるような工程づくりをすることも重要です。
まとめ
建設工事における道路使用許可は、とくに現場監督であれば必ず知っておかなければならないことのひとつです。
住宅工事のような比較的小規模な工事であれば、申請手続きも現場監督自身で簡単に行えるため、工程が明らかになったら早めに準備しておくとよいでしょう。