安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。


現場監督の安全管理業務とは?

現場監督の安全管理業務は、4つの管理業務の1つになります。人命優先のため、工事が進むことよりも、まずは安全に作業を進めることを優先します。

・現場監督4つの管理業務
・安全管理は事故防止に最も重要

上記2つについてご説明していきます。

現場監督4つの管理業務

現場監督の業務は、大きく4つに分けられます。
・安全管理
現場関係者の安全を図ります。工程ごとに高所作業や、危険な機械などを使用する場合、現場の安全ルールを遵守します。

・原価管理
工事原価の管理を行います。決められた予算の中で人件費、資材等の原価がオーバーしないように管理します。発注作業や現場トラブルにより急遽発生した費用を抑えて管理する必要があります。

・工程管理
工事スケジュールの構築を行います。天候や現場の軽微なトラブルにより工期にズレが生じた場合に、関係各所への連絡、業者の再配置などを行います。

・品質管理
工事品質の維持を図ります。設計通りに工事が進んでいるかの確認、建築基準法に則った作業を行なっているかの確認を行います。

このように4つの管理業務の中の1つが安全管理業務になります。そしてこの安全管理は、人命に関わる業務となっており、現場監督の業務としては最も重要な業務とされています。

安全管理は事故防止に最も重要

安全管理を行うことで、まず事故の防止を行うことができます。高所作業や、重機を取り扱う建設作業では、危険が伴いますので、事故は非常に起きやすいです。事故は、建造物を破損させる可能性がある、施工不良にもつながるといった工事そのものへの影響もあります。

しかし一番重要なのは、作業者が怪我をしてしまわないようにすることです。人の命が一番優先されるべきものであるためです。また事故が起きれば工事も遅れ、発生原因の究明や、新たな安全対策も講じる必要があります。会社の信用も落とすことになってしまいます。

つまり、他の管理業務(原価管理、工程管理、品質管理)よりも重要な業務であることがわかると思います。現場監督は、この安全管理を徹底するために配置されていると言っても過言ではありません。

安全管理の具体的業務

安全管理は具体的にどのような業務を行なっているのでしょうか。安全に作業をするために、注意をして作業をするという曖昧なものではなく、具体的な安全管理を行います。

・6つの安全対策
・現場のルール遵守

これら2つに分けて、どのような安全管理を行なっているのかについてご紹介いたします。

6つの安全対策

具体的な安全対策として、現場監督が行っている業務を6つに分けてご紹介いたします。

・機材点検
使用する機材、重機などの安全点検及び作業環境の確認
・作業方法の確認
普段とは違う作業をして、手抜きや雑になっていないかの確認
・作業員の健康チェック
顔色、体の動き、体温管理など、無理をして事故につながらないようにする
・作業環境の整理
整理整頓など作業環境が悪く、転倒などを引き起こさないようにする
・事故事例の共有
小さな事故でも、その要因と対策について共有し事故を未然に防ぐ

これらの業務を毎日の工事で行うことで、より安全に作業を行うことができます。1つ1つの確認を、どのような事故が起きるかを知っておくことで、徹底した確認ができるようになります。
例えば、具体的な事故を知っていないと、このくらいは大丈夫だろうと思ってしまうのが人間です。作業員の体調が悪く、ちょっとボーっとしただけで落下事故などにつながることもあります。

作業員、現場環境、機材など、現場にあるもの全てから、どのような事故につながる可能性があるのかの知識を持ち、それらを未然に防ぐためにはどのような確認・対処を行うべきかを熟知していることで、危険を回避できます。

これら安全対策を行う上で、現場監督は建築知識のみではなく、事故についての知識も蓄えておく必要があります。

現場のルール遵守

現場では、安全に作業を行うためにいくつかのルールがあります。代表的なものをご紹介いたします。
・落下物事故の防止
落下する可能性のある作業では、下に人を配置してはいけない。もしくは通行止めにする。
・命綱の着用
高所作業では安全帯などを着用する。
・休憩時間の遵守
作業員が気づかないうちに疲労が溜まり、事故が起きるのを防止する。

現場には安全管理のためのルールがあります。現場監督が周知するのはもちろんですが、現場作業員も知っていないといけないことです。これらを知らずに作業をすることは恥ずかしいこととされています。

現場監督は、うっかり作業員がルールを破った行動をしていないか、新人の作業員がルールを知らないことはないかなど、常に注意を張り巡らせることが重要です。



※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


現場監督

関連する投稿


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


【木造住宅】現場監督のチェックポイントまとめ

【木造住宅】現場監督のチェックポイントまとめ

現場監督はどの工程のどの部分に注意してチェックしているのでしょうか?この記事では、木造住宅における主な2種類の工法についてのチェックポイントについてご紹介いたします。2つの工法の管理項目を比較することで、現場監督がどのようなことに気をつけて管理をしているのかを知ることができます。


現場監督の「品質管理」とは?具体的業務内容をご紹介

現場監督の「品質管理」とは?具体的業務内容をご紹介

現場監督の品質管理業務とは? 現場監督の品質管理業務は、4つの管理業務の1つになります。現場監督の仕事と聞いて、一番に思いつくのが品質管理ではないでしょうか?現場監督がいなければ、工事がうまくいかない、職人が手抜きをしているかもしれない。このように品質を維持するために現場監督は不可欠です。 ・現場監督4つの管理業務 ・品質管理業務は、工事の記録をすること ・職人の管理について 上記3つについてご説明していきます。


現場監督はホワイトに働ける!?最強の業務効率化

現場監督はホワイトに働ける!?最強の業務効率化

現場監督は仕事量が圧倒的に多いです。しかも現場でできる仕事とPCを使わなければいけない仕事は、現場では基本できません。そのため隙間時間に他の業務を片付けるなどが中々できない場面も多いです。しかし、現場監督として残業をあまりせずにワークライフバランスを保っている方もいらっしゃいます。そこで最強の業務効率化はどうすれば良いのかについてご紹介いたします。


現場監督の「工程管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

現場監督の「工程管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

住宅工事は、様々な工程を経て数ヶ月で完工します。現場監督は緻密な工程管理を行うことで工期を守っています。その緻密な工程管理とはどのようなものでしょうか?なぜ工程管理が複雑で、現場監督が必要なのかなどをご紹介いたします。


最新の投稿


【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

住宅会社の事務員として、実際に働いた感想としては、普通の会社の事務より辛かったです。住宅会社は建設業界であり、建設業の仕事は非常に専門的で、なかなか難しいと言えます。ただ、事務員のスキルが高い女性は少なく、それでいて事務の求人は多いため、スキルを身につければ職に困らないとも言えます。体験した内容から少しでも皆様の参考になれば幸いです。


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。


住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は、建築士の資格も持ち、住宅建築の専門家です。しかし、実態としては工事現場の状況や、具体的のどのように工事が進んでいくのかをほとんど理解していない設計士も多いです。設計士は設計が仕事であって、現場見学を何日も行ったり、積極的に現場にくる方というのは少ないです。現場は、現場監督や職人が管理するもので、設計士は行く必要がないと考えている人が多いです。ただ、このような設計士は一般的に現場では迷惑で嫌われます。このような嫌われる特徴、そうならないためにどのような仕事をすれば良いのかをご紹介いたします。


住宅設計士はこれを読め!おすすめ本6選

住宅設計士はこれを読め!おすすめ本6選

住宅設計士は常に新しい情報を取り入れつつ、歴史的建築物などの知識も豊富であることが提案力を身につけるために必要です。設計士として読んで良かった書籍を6つご紹介いたします!本を読む際に、実際に仕事でどのように活かせるのかを考えながら取り入れていきましょう。資格の勉強のようにただ覚えるのではなく、どのようにアウトプットするかが大事です。