「高所作業」とは、その名の通り高所で行う作業のことをいいます。
しかし、建設業における「高所作業」は、法律によって定義があるうえ、厳しいルールが定められていることはご存知でしょうか?
というのも、建設業の労災事故の原因として最も多いのは「墜落・転落」であり、この事故を防止することが最も重要なテーマとなっているためです。
そこで本記事では、「高所作業」とは具体的にどのような作業をいうのか、その定義と求められる資格などについてご紹介したいと思います。
高所作業の定義とは
高所作業の定義とは、以下の通りです。
・高さ2m以上で行う作業
そして、高所作業に関するルールは、労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則で定められています。
安全衛生法とは、労働者が安全な環境で仕事が行えるよう基準を定めた法律です。
2018年には労働安全衛生規則が改正され、高所作業の安全を図るため、より厳格なルールとなっています。
また、高さ2m以上で作業を行う場合は、原則として危険防止のための措置を講じなければならないことも定められています。
危険防止のための措置とは、例えば以下のようなことです。
労働安全衛生規則(作業床の設置等)
第518条
事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない
この条文は、高さ2m以上で作業を行う場合、作業床を設け事故防止を図らなければならないということです。
この他にも、墜落制止用器具の着用や足場の囲い、悪天候時の作業などの規定も定められています。
住宅建築の高所作業について
住宅建築では、非常に多くの高所作業がともないますが、例えば以下のような工事が挙げられます。
- 足場設置工事
- 建て方工事
- 屋根工事
- 外壁工事
- 雨樋工事
- 電気工事
これら工事は専門工事業者が担当しますが、高さ2m以上で行う工事となる場合は、適切な危険防止のための措置を講じなければなりません。
建設業は他の産業と比べても労災事故が多く、なかでも「墜落・転落」によるものは比較的大きな割合を占めています。
よって、高所作業がともなう工事は、きわめて厳格な安全対策が必要となるのです。
高所作業に求められる資格
高所作業を行う場合は、一定のリスクがともなうことから、安全を確保するための措置を講じる必要があります。
作業床の設置や墜落制止用器具の着用、足場の囲いなどはもちろん必須となりますが、同時に作業者の意識を高めることも重要になります。
そのため、高所作業の内容によっては、有資格者でないと従事できないものもある点では注意が必要です。
高所作業に求められる代表的な資格について、以下にご紹介いたします。
■フルハーネス型墜落制止用器具特別教育
まず、墜落制止用器具とは、安全衛生法の改正により従来の「安全帯」が名称変更されたものです。
そして、改正安全衛生法では、高さが2m以上の箇所で作業床を設けることが困難な場合「フルハーネス型墜落制止用器具」の着用が原則義務付けられることになりました。
また「フルハーネス型墜落制止用器具」を装着して作業に従事する作業員は、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」を受けなくてはならないことも決まっています。
特別教育を受講しないまま「フルハーネス型墜落制止用器具」の着用が必要な作業を行うと、安全衛生法違反となり罰則の対象となるため注意が必要です。
■高所作業車運転特別教育・技能講習
高所作業を行う場合、よく使われるものに高所作業車があります。
そして、高所作業車を使って行う作業はリスクがともなうため、取り扱うときには有資格者でなければならないことが安全衛生法で定められています。
高所作業車を取り扱う資格とは、大きく「特別教育」と「技能講習」の2つです。
「高所作業車運転特別教育」は、作業床の高さが10m未満の高所作業車を操作するときに必要となります。
また「高所作業車運転技能講習」は、作業床の高さが10m以上の高所作業車を操作するときに必要です。
まとめ
高所作業は、高さ2m以上で行う作業のことをいいます。
住宅建築には欠かせない仕事ですが、一定のリスクがともなうため必ず必要な措置を講じたうえで行わなければなりません。
また、作業に従事する場合は、必要な資格を取得して行うことも重要です。