住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は、建築士の資格も持ち、住宅建築の専門家です。しかし、実態としては工事現場の状況や、具体的のどのように工事が進んでいくのかをほとんど理解していない設計士も多いです。設計士は設計が仕事であって、現場見学を何日も行ったり、積極的に現場にくる方というのは少ないです。現場は、現場監督や職人が管理するもので、設計士は行く必要がないと考えている人が多いです。ただ、このような設計士は一般的に現場では迷惑で嫌われます。このような嫌われる特徴、そうならないためにどのような仕事をすれば良いのかをご紹介いたします。


現場で嫌われる住宅設計士3つの特徴

住宅設計士は、設計をしているだけで現場で嫌われている場合があります。なぜなら現場の知識を持っていないということが多々あるからです。もちろん設計士は、建築士の資格を持ち住宅建築の専門家であり、建築士の資格を持っていない職人や施工管理者などよりも知識はあるように見えます。しかし、なぜ設計士は現場の知識がないのでしょうか。

理由は、設計士は設計をして図面を書くだけで学校や資格勉強でやってきたことしかやっていないためです。現場は職人や現場監督に任せておけばよく、自分の仕事ではないと考えてしまっている設計士がいます。しかし、実際は現場を見なければ設計図は不備が多かったり、現場の人間がなんとか正しい施工図面を引き直してから施工しているということもあります。

ここでは嫌われる住宅設計士の特徴を3つご紹介いたします。
・図面に不備・間違いが多い
・現場に丸投げ
・現場状況を理解していない

上記を見ると、こんな設計士いるの?と思うかもしれません。自分がこのようになっていないかの確認をしてみましょう。

図面に不備・間違いが多い

一般の方の認識では、設計図は間違いがなく、正確に書かれたものがあると考えている方がほとんどだと思います。しかし実際は不備だらけということもあります。それでも建築工事は施工図を書き直し、構造設計を変えずに施工するなどということがあります。

一昔前では、住宅の図面を見てみると、窓の大きさ・位置も設計図と違ったり、細かい仕様が全く異なっていることも普通でした。なぜこのように設計図には間違いがあるのでしょうか。

それは、設計士が現場の工事をあまり知らないことが原因です。設計図というのは、他の人が見ても正確に情報が伝えられる状態であるのが望ましいものです。しかし、現場を知らない設計士の書いた図面は、施工図を書く際に設計図との整合性が合わない部分があったり、聞かないとわからない書き方をしているものもあります。

このように現場から不備や不明点の問い合わせが多くきている場合は、設計図の書き方が悪いと考えましょう。決して現場の人間が図面を見る力がないなどと相手のせいにしないようにしましょう。現場の人間というのは、設計士よりもはるかに多くの様々な設計士の設計図を見てきているので、設計図を見抜く力は設計士よりも高いです。

現場に丸投げ

現場に来ない、不明点があっても「現場で設計通りになるよううまく進めてくれ」というように、現場に丸投げする設計者がいます。

現場の人間も建築のプロですから、構造設計があれば多少設計図が間違っていてもうまく施工することはできます。しかし、細かい部分の納まりや部材の数など、予定していたものと違うとその施工方法を考える時間がかかりますし、工数が多くかかることで費用も膨らみます。

このように現場のことを考えない設計士は特に嫌われます。現場は1日工事が伸びるだけでも経費が膨らみ、利益が減ります。コストも潤沢に工事業者に渡していれば別でしょうが、ギリギリのラインで発注をしているため、工事業者がこの設計士と仕事をしたくないのは、仕事の面でも費用の面でも迷惑となっている方です。

現場状況を理解していない

現場の進行状況や、細かいところでどのような施工をしているのかを知らない設計士は、仕事ができないと判断されます。不明点や現場でのトラブルが発生したときに、設計士に聞いても何も解決しなかったり、設計のミスであってもどう直せば良いのか現場に即した判断ができません。

何棟も同じ設計の分譲住宅とかでない限り、現場に顔を出して確認を適宜行うようにしましょう。

工事を知っている住宅設計士になろう

「工事のことも多少わかります」と言える設計士になりましょう。一般の方からすると、「工事のことを多少しかわからないの?」と思われるかもしれません。しかし現場のものからすると、「できる設計士だ!」となります。

それだけ現場工事の知識がある設計士はなかなかいないのです。このような設計士と仕事をすると、どのようなメリットがあるでしょうか。
・工事を想定した打ち合わせ
・性能・仕様を理解して図面を引いている
・現場で図面の修正が少なく済む

これらについてご紹介いたします。

工事を想定した打ち合わせ

打ち合わせの段階で、工事の段取りや細かい納まりなど実際に工事が進むイメージをしながら、会議を行うことができます。

この段階で、施工業者からの質問などをして、設計士側で問題があるところを修正したり、施工業者に施工でつまづきそうなところを事前に話してくれます。

性能・仕様を理解して図面を引いている

断熱・防音性能など、住宅の基本ですが、材料をどのように施工しなければ効果が発揮されないかなどを現場目線で当たり前のことを把握していない設計士もたまにいます。

建材などの種類だけでなく、それらの施工方法、性能・仕様も把握しておく設計士が図面を引くことで現場で問題が起こらなくなります。

現場で図面の修正が少なく済む

設計図は設計士が書きますが、施工図は施工業者が書きます。設計士は施工図を書かないため、施工図という詳細な図面に落とし込んだときに設計の段階で不備がある場合があります。

このような不備は工事の知識がない設計士のことが多く、図面の修正が多くなります。修正が少なくて済む設計士になりましょう。





※この記事はリバイバル記事です。

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