新型コロナウィルスの爆発的な流行により、私たちの生活は大きな変化を余儀なくされました。
感染防止を防止することを目的とする「新しい生活様式」は、全員で取り組むべきことであり、また当然ながら建設業界にも求められます。
しかし、工事現場において気温が高くなる時期は、コロナ感染だけでなく熱中症リスクにも気を付けなければなりません。
というのも、建設業では熱中症による労働災害がきわめて多いためです。
また「新しい生活様式」ではマスクの着用が基本となりますが、工事現場においては熱中症リスクを高めてしまう可能性も懸念されています。
そこで本記事では「新しい生活様式」の基本であるマスク着用を工事現場ではどのように対応するべきなのかご紹介したいと思います。
新しい生活様式とは?
現在、新型コロナウィルスの感染防止を目的として、「新しい生活様式」が幅広く求められています。
厚生労働省では、日常生活に取り入れるべき「新しい生活様式」として以下の3点を挙げています。
- 身体的距離の確保
- マスクの着用
- 手洗い
これらは、新型コロナウィルスの感染防止を目的とするため、工事現場であっても例外ではありません。
また、上記のほかにも「3密(密閉、密集、密接)の回避」についても、注意喚起の徹底が図られています。
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました
マスク着用による熱中症リスクはある?
マスクの着用による感染防止が叫ばれる一方、高温多湿の環境では熱中症のリスクが高まる可能性があると懸念されています。
その理由として、まずマスク着用時にはマスク周辺の温度が高くなることが挙げられます。
そうなると体感温度が上昇しますが、それだけではなく血中二酸化炭素濃度や心拍数も上昇するなど、身体へ負担がかかってしまうケースがある点では注意が必要です。
また、体温が上昇したときには、発汗による水分蒸発がある他、気道からの水分蒸発や熱伝道を促すために呼吸数が増加します。
これを「体熱放散作用」といいますが、マスクを着用時はこの働きが阻害される恐れがあるとの指摘もあります。
さらには、マスク着用時は口腔内の湿度を保てることでのどの渇きを感じにくくなるため、水分補給が遅れる可能性があることも注意点のひとつです。
以上のことから、マスク着用による熱中症リスクは高まるといわれており、十分な注意が呼びかけられています。
ただし、マスク着用と熱中症の確固たる因果関係を証明するものはまだないようです。
厚生労働省においても「必ずしも科学的な知見が十分に集積されているわけではないが熱中症のリスクが高くなる恐れがある」との見解であることは理解しておくとよいでしょう。
工事現場でのマスク対策とは?
工事現場においてマスクを着用することは、熱中症のリスクが高くなる恐れがあるため、気温が高くなる時期は対策が必要となります。
おもな対策とは以下の通りです。
- マスクを適宜はずす
- のどの渇きがなくても水分補給を心掛ける
- 体調が悪くなったらすぐに休憩をとる
■マスクを適宜はずす
屋外作業の場合など、2m以上の距離を確保できる場合は適宜マスクをはずし、暑い環境による身体への負担軽減を図りましょう。
また作業によって呼吸が苦しくなった場合も、周囲との距離を確保したうえでマスクをはずすことが重要です。
■のどの渇きがなくても水分補給を心掛ける
マスク着用時は、口腔内の湿度が保たれるため、のどの渇きが感じにくくなる傾向にあります。
そのため、のどが渇いてない場合でも計画的な水分補給を心掛けることが重要です。
また、汗を多くかいている場合は、水分だけでなく塩分の補給をしないと熱中症対策として十分ではありません。
なお、一度に大量の水分補給をするよりも、塩分と一緒に計画的に摂取することが効果的です。
■体調が悪くなったらすぐに休憩をとる
マスクを着用して作業している最中に体調が悪くなった場合は、速やかに涼しい場所へ移動して休憩することが重要です。
熱中症が疑われる場合は、着衣をゆるめて身体を冷やしたり、水分や塩分を補給したりするなどの処置をとります。
それでも体調が改善されない場合は、速やかに医療機関で診てもらう必要があるでしょう。
まとめ
新型コロナの感染防止を目的とした「新しい生活様式」は、工事現場であっても対応が求められています。
しかし、場合によっては命に関わることもある熱中症のリスクと引き換えにすることはできません。
どちらも両立できるよう、柔軟に対応することが重要です。