建築業界にクレームが多い理由|裁判制度も1つの理由

建築業界にクレームが多い理由|裁判制度も1つの理由

現場監督は、現場で起きるクレーム対策をすることも重要な仕事のうちです。クレームと聞くと、非常に嫌なイメージがあるかもしれませんが、小さなクレームというものは、要望や意見といった軽いものです。これらの小さなクレームを放置したり、大きな問題が発生し、大きなクレームになってしまうと裁判といったこともありますが、このようなものはほとんど無いです。しかし、裁判にまで発展してしまうには、理由があります。また、クレームから裁判になることが、クレームが多いという印象を与えています。


クレームとは何か?

クレームというのは、英語の「claim(請求、要求、主張)」が由来です。会社によって、クレームの定義が違う場合がありますが、一般的には、「お客様からの不満」がクレームです。クレーム対応をしっかり行なっていることで、良い商品が生まれるという話もありますが、本来はお客様からの不満をヒアリングできるということは良いことです。

しかし、クレームというと言葉のイメージから、大きな苦情で、社員側にとっては辛いという先入観を持ってしまっているかと思います。この記事では、クレームは、小さな不満から大きな苦情まを意味しているとします。

クレーマーというと、お客様側が圧倒的に悪く、ただ理不尽なクレームを言っているというイメージになります。このような方には、通常のクレーム対応では対応しきれない場合もあります。

つまり、クレームについての考え方や対策を程度によって、変える必要があります。程度が軽い場合には、真摯に対応し、お客様に満足してもらえるようにすぐ行動します。こちらの不手際からのクレームの場合は、早急に謝罪し、対応します。クレーマーと呼ばれる方の場合には、こちらの不手際に関しては謝罪と対応をし、それ以上の要求については切り離して対応する必要があります。

裁判に発展するクレームの実状

クレームと聞くと、建築業界では裁判にまで発展する事例も稀にあります。なぜ建築業界ではこのような大きなクレームに発展することがあるのでしょうか?

例えば、1個1万円の商品に不備があった場合に、交換などをしない対応を会社が取った場合、お客様は裁判を起こしても、裁判費用の方が高くなる可能性が高いです。そのため、クレームは裁判になることはあまりありません。
しかし、建築工事は何千万と金額が高価になるため、裁判を起こして損害賠償を請求し、裁判費用を回収できる可能性があるため、裁判を起こしやすいです。また、本来であれば裁判にならずに和解すれば良いのではないかというものも、裁判になることもあります。それは、ハウスメーカーなどが1人のお客様にそのような対応を取ると、他のお客様にも同じように対応せざるを得なくなり、損害が何十倍にも膨れ上がる可能性がある場合です。こういった会社の事情も、ときには絡んできます。
公共工事の場合も、同様に、大規模の工事になるため、多大な予算も動き、多くの住民に影響が及びます。1人当たりの損害額が小さくても、町民などが集まって裁判を起こせば、裁判費用を回収することができます。

以上のように、建築工事はクレームから裁判に発展することが比較的多い理由があります。建築業界で働いている方々に、問題があったり、業界として悪いことをしているというわけではありません。日本の裁判制度や、工事金額、工事規模によって、原因が様々あります。

アメリカなどは、裁判にかかった費用や弁護士費用を敗訴側に求めることができるため、容易に裁判を起こすことができます。日本は裁判費用を敗訴側に請求することが、ほとんどできないため、賠償金額が少ないものは裁判を起こさないことが多いです。

建築業でクレームが多い理由2つ

・多くの人が関わる
・イメージが付いてしまっている

建設工事は、多くの人が関わるため、クレームが多くなる傾向にあります。一戸建てを建てる際に、一戸建てという商品は、契約者は1人のため、クレームは本来であれば1人から来ます。しかし、住宅を建てる際には、近隣住民の方に駐車環境・騒音やゴミ、粉塵、工期の遅れなどで迷惑をかけることがあります。
このように、1つの商品を納めることにたいして、多くの人に迷惑をかけることになってしまうのです。これが、建築業でクレームが多い一番の理由です。

また、クレームが多いというイメージがついてしまっているのも理由の一つです。前述したように、建築業では裁判にまで発展するクレームも稀にあります。裁判に発展すると、やはりクレームとしては目立ち、印象に残ります。そのため、クレームが多いというイメージがついてしまっているとも考えられます。

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