クレームが発生する事象は排除できない
まず工事現場において周囲の環境を不快にさせるという行為は変わりません。どれだけ安全配慮のための工事をしていても、工事車両が邪魔だったり、騒音は必ず発生したり、工事の埃が発生したり、振動が伝わったりします。
これらは工事をする上で必ず起こり得ます。これらを排除するためには工事をしないという方法しかありません。つまり、クレームが起きようが起きまいが、クレームの原因はどこの現場も同じように起こっています。
ではなぜクレームが起きる現場とそうでない現場があるのでしょうか?
クレームを発生させないための先回り術
クレームは、人が不満を施工業者等に伝える行為のことです。当たり前のことですが、この人(クレームをいう可能性がある人)に対して、先回りして対策を行う必要があります。
方法は、その人に対し「こういうことが起きますので、了承していただけますか?」という確認を取ることです。
例えば、「工事車両が1日に4回ほど通ります。その間、ご不便おかけして申し訳ございません。施主様のお車等の邪魔にならないよう配慮し、安全に工事を進めていきます。何か特に気になることやご要望はありますでしょうか?」と聞きます。
ここで近隣の施主から「大丈夫ですよ」と言われるようにします。
この時点で、施主は了承したという事実があるので、そこまで不満もたまらずクレームにはなりません。つまりクレームは施主が了承していない、「こんなこと聞いていなかった!」というときに発生します。
少しでも小さなことに対して、このように施主に了承を得続ける対応をすることでクレームは回避できます。
2つのクレーム事例と先回り術
私が体験したクレームとその回避した方法2つをご紹介いたします。
・車両トラブル
・資材等の飛散
どれだけクレームにならないように配慮したとしても、何現場も管理しているとクレームを0にすることはできません。しかし、そのクレームも本当に小さいものにすることはできます。
それではそれぞれの具体的なトラブル内容と解決した方法についてご紹介いたします。
■車両トラブル
工事車両を停める場所を確保しておらず、近隣の方の迷惑になった事例です。普段は工事車両が1台なので、工事現場の住宅敷地内に停めてもらっていました。また、大きな足場のトラックや、大工と内装屋が来ると工事車両が2台になるため、事前に近隣に了承をとっていました。
しかし、急に追加工事が必要になり、職人に応援に来てもらうことがありました。その時に工事の段取りや、現場打ち合わせについては入念に行っていたのですが、車両については考えが抜けてしまっていました。
その日に応援の職人が来たときには、工事車両が2台停まっていたため、そこに続けてその職人も停めてしまっていました。私はその日の現場確認が昼ごろを予定しており、午前中に現場に行って確認できていませんでした。
その日の朝方、近隣の方から工事車両が邪魔だと連絡が入り、急遽現場に行き車両の整理を行いました。しかし、近隣の方は非常にご立腹で、これまでの車両の停め方などの不満が溜まっておりクレーム処理に2日かかり、その後の工事も近隣の方への配慮をするために管理作業が増え大変になってしまいました。
<クレーム回避術>
事前に近隣の方へ、車両を停めてはいけない場所、車両が増える日がある場合などを工事が始まる前に全て伝えるようにしました。
そして職人全員に車両の停めてはいけない場所を共有することで、私の管理が万が一行き届かなかったとしても、職人が判断してクレームを回避できるようにしました。このような事前の配慮が重要です。
■資材等の飛散
現場での木材加工や解体などが必要な場合に、木くずなどが飛散します。少しの作業しかないような現場だと、飛散防止シートなどの準備がなく、庭の敷地で作業したりします。つまり風向きによって飛散してしまいます。
木くずが近隣の方の車両に付着し、清掃費用等と会社が負担することになり大変なトラブルとなってしまいした。
<クレーム回避術>
このような工事が発生する場合、職人に事前に飛散防止について入念にチェックを入れます。そしてその職人が入る初日の朝に飛散防止しているか現場の確認をします。
また、近隣の方に飛散防止はするが、風向きによって少し飛散してしまった事例があるため、洗濯物を外に干すのを控える、すぐに電話をしてもらうように伝えます。
このように、実際に飛散してしまっても、すぐに対応する体制があり、その連絡先を伝えることで近隣の方もそこまで大きな不満となる前に対処することができます。
まとめ
・車両トラブル
・資材等の飛散
の実際のクレーム事例、その回避術をご紹介いたしました。
ポイントは、事前に職人と近隣の方にも、どのようなトラブルが発生するかを共有することです。皆様が現場監督として、クレームを少しでも減らすことのお役に立てれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。