住宅業界では自分がミスをしなくてもクレームになることも|実際にあったクレーム例をご紹介

住宅業界では自分がミスをしなくてもクレームになることも|実際にあったクレーム例をご紹介

 住宅業界はクレーム産業と言われるほどクレームが多い業界です。これから転職をする際に、クレーム対応をしなければならないのか、自分のミスでクレームになるのか、クレームに対処できるのかなど不安を抱えている方が多いです。場合によっては、クレームが解決しないで裁判になり、大変な労力と心労があるのではないかとイメージするかと思います。しかし、ほとんどはクレームと言っても誠意に対応すれば解決する場合がほとんどです。この記事では具体的なクレーム例とその解決した方法をご紹介していきます。


営業の連絡不足・スケジュール管理のミス

 営業のお客様への連絡が少ない、アポイントの日時が違ったなどのスケジュール管理のミスが実はクレームとして多いです。アポイントを忘れてしまったりすることは完全にNGですが、少しの行き違いでクレームになります。お客様はこれから何千万という買い物をするにあたり、非常にナーバスになっています。例えば3000万円の買い物をするにあたり、お客様は3000万円のサービスを求めています。1000万円の宝石を買うときに営業マンが雑だったら嫌な気分になりますよね?住宅を購入する際にも同じように高級なサービスを受けられると考えている人も多いのです。
 平日火曜水曜が定休日のお客様がいらっしゃり、最初のアポイントをとる電話を営業マンがしました。そこでその営業マンは土日の日時を提案し、平日は全て今月は空いていませんと伝えてしまいました。この電話はアポの取り直しということで終わったのですが、お客様から1時間後に会社にクレームの電話が入りました。お客様は平日のみ話ができると伝えていたのに、営業マンが忘れていて非常に不愉快になったとのクレームです。厳しいお客様だったのかと思うかもしれませんが、これから住宅を建てるために打ち合わせが何度もあります。そこで伝えていた細かいことなどが、その営業マンは忘れてしまうだろうと判断されます。これは非常にお客様にとって苦痛になってしまいますよね。このような場合、会社で営業担当を変更することで対処することもあります。

キッチンの高さを90cmと言っていたのに、標準の85cmだった

 営業マンとお客様とのやり取りは以下のようでした。
営業 「キッチンの高さですが、こちらの標準仕様でよろしいでしょうか。」
お客様「そうですね。できれば高い方がいいかなと思っています。できますか?」
営業 「はいできますよ。何センチにしましょうか。」
お客様「90cmで考えているのですがまだわからないので、考えておきます」
営業 「まだ間に合いますので、そのときにまたお伺いしますね。」

と、ここまでのやり取りで終わり、この後お客様も営業マンもキッチンのことを忘れてしまいました。そして住宅の設計が終わり、建設も始め、設備工事などを行っている段階で、お客様が「キッチンの高さはどうなっていますか?」と営業マンに聞きました。営業マンは「標準仕様で85cmですよ。」と答え、お客様とのやりとりを忘れていたためクレームになってしまいました。このとき、実はお客様もうっかり忘れていて確認し忘れたと思っています。しかし、お客様は昔のやりとりも忘れているため、「90cmと伝えていたのに、標準になっている。」とクレームになります。いわゆる言った言わないのトラブルです。もちろん営業マンが忘れていたのが悪いですが、営業マンも昔のやりとりを忘れている場合があります。しかしお客様が90cmと伝えていたと言われれば、90cmに施工し直す対処をとるしかありません。このようなトラブルは非常に多いです。
 似たような事例でも、再施工に費用がかなりかかってしまう場合、お客様と施工業者で負担金の割合の折衝が行われる場合などもあります。最終の打ち合わせ時に、かなり細かい部分まで営業マンとお客様で相互確認を行っておく必要があります。

コンセントの位置・数が足りない

 これも良くあることです。設計上は図面に書いてあるにもかかわらず、現場で職人の確認漏れがあり、イレギュラーな位置にあるコンセントを作り忘れてしまった例です。内装も全て出来上がってしまった後に追加でコンセントを新設する場合、壁に穴を開けてクロスも剥がして行わなければならないため、施主が新築なのにそのようなことになるのは嫌がる傾向にあります。そのため内装(下地からの場合も)を壁一面剥がして施工し直す処置を行ったそうです。

入居後2年での雨漏り

 雨漏りは瑕疵担保責任保険で適用されるため、費用面ではそこまで双方に負担はありません。しかし、築後2年で雨漏りをするとなると、欠陥住宅なのではないかなどお客様は不安に駆られます。丁寧な対応をしていても、少しの不手際や言葉使いなどからお客様がお怒りになり、クレームとして何ヶ月も続くこともあるようです。ただしっかりと雨漏りを直し、真摯にアフターフォローを続けていれば安心できる業者に頼んだという印象を与えることもできます。

入居して6年での外壁のヒビ

 外壁にヒビが築6年で入ると、欠陥住宅なのではないかとクレームになることがあります。お客様は外装材は少なくとも10年は何もしなくても壊れないと思っている方が多いです。しかし実際は築5年からよく見るとヒビなどの劣化が目立ってくる住宅は多くあります。住宅を購入する際、そのような話を聞かされていないため、クレームになってしまいます。こういった場合も、施工業者が簡単な補修などを行い対処することが多いようです。まれに外壁1面を張り替えることで対応したという業者もいるようです。

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