住宅営業は自腹でクレーム解決!?転職前に知っておく自衛の4つのポイント|ブラック企業を避けよう

住宅営業は自腹でクレーム解決!?転職前に知っておく自衛の4つのポイント|ブラック企業を避けよう

 よく住宅営業で、クレームが起きた際に営業の責任とされてしまうという話を聞くのではないでしょうか。営業マンが自腹でお金を払い、クレーム処理をするということも聞きます。他の業界ではこのような話をほとんど聞かないため、不安になる求職者も多いです。そこで、どのような場合に自腹を切ることになってしまうのか、そういったブラック企業での自衛手段をご紹介いたします。


自腹を切る営業マン

 自腹を切ることで、クレームを抑えたり、営業成績を上げようとしてしまう営業マンも少なからずいます。これは歩合給という制度がこのような問題を引き起こしています。自腹で5,6万円払うことで、歩合が10万円入るということもあるからです。歩合給が0円になるより、自腹を切った方がお得になります。
もちろんこういった営業方法は長続きしないだけでなく、様々な問題を誘発します。自腹を切る営業マンはほとんどが長続きせずに辞めていきます。自腹を切ることになった事例をご紹介します。

サービスでテレビを1台付けると言った

 4930万円の住宅を契約寸前のところでお客様から値引き交渉をされました。そこで営業マンは断ったのですが、そのお客様もなかなか引き下がらず、他の営業から住宅を購入する意向や、あと30万円値引きしてくれたら即決すると提案がありました。営業マンはどうしても売りたい気持ちが強かったのですが、会社はもうこれ以上の値引きはできない物件と伝えられていたため、どうすることもできませんでした。
 そこで営業マンは、テレビを1台付けるのでいかがでしょうかと提案してしまったのです。お客様はもともとダメ元での交渉をしているのを分かっていたので、快諾し即決で契約しました。営業マンは売上成績がつき一安心です。

 営業マンの心理としては、5万円程度のテレビを買っても歩合給10万円で元が取れると考えて判断しています。そして、会社には値引きを交渉しても応じてくれないため、自分で責任が取れる(契約書等に記載しないで会社には迷惑がかからない)と考えてこのような提案をしています。

お客様からの内装グレードアップを快諾してしまった

 住宅の契約寸前のところで、お客様がふすまの柄が気に入らないとして、これをサービスで変えてくれないかと提案されました。そこで営業は契約を逃したくなかったため、了承してしまいました。
 このことを会社に報告したところ、「そんな予算はないため、会社は費用を出せない。君がなんとかしろ」と言われてしまいました。営業マンはお客様にやっぱり襖を変更できませんを伝えることができるはずもなく、自腹を切ることにして解決しました。しかし、お客様は当初予定していた2枚の襖だけでなく、6枚の襖の交換を希望してきました。同じリビングでこれも変えないとおかしいというお客様からの意見に反対することができず、営業マンは6枚交換することにしました。
 当初は2万円の自腹の予定が6万円となってなってしまいました。この物件は歩合給が6万円の予定であったため、この営業マンはほぼタダ働きです。

 この営業マンの心理としては、先輩営業マンなどが数万円の値引きやサービス工事を引き受けていたのを真似してみたのです。しかし、それは会社に相談了承を得てからのもので、会社に事前に確認を取らなかった営業マンのミスになります。また、お客様がサービスとなると、なんでも意見が通ると考えてしまい、安易にサービスすることは危険です。

端数の4万円を独断で値引きしてしまった

 3980万円の住宅を諸費用込みで4204万円として契約予定のお客様がいらっしゃいました。そこでお客様から最後に4万円だけ値引きしてくれないかと提案がありました。そこで営業はここで営業成績を逃したくないのと、仲の良いお客様だったため、快諾してしまいました。その後の契約は滞りなく進み、営業マンは喜んでいました。
 しかしこのことを会社に報告したところ、勝手に値引きをしたとして処分を下さなければならないと注意を受けました。そこで営業マンは処分されることを避けるために、その値引き分の4万円は自腹でまかなうため、無かったことにして許して欲しいと会社に相談しました。会社はその相談を受け入れ、問題は解決したように見えました。その後、この物件の歩合は発生しないと会社から営業マンに報告が来ました。営業マンは会社に歩合給を求めましたが、もともとは営業マンのミスであったため強く言えず、歩合給はなしとなってしまいました。つまり、この営業マンは歩合給も無くなったため、一生懸命働いて4万円を支払うという結果になってしまったのです。

 この営業マンは真面目で、お客様のためにと思ってしたことで、自分が最悪お金を払えば良いんだと甘くみていました。しかし、会社にとってこのような値引きは社員が判断して良いことではなく大きな問題であることを認識しておきましょう。

4つのポイント|自腹を切らない正しい営業

 自腹を切ってしまう状況を具体例と共にご紹介いたしました。このようなことにならないためにはどのようにすれば良いのかを事前に知っておくことで、必要のないトラブルを引き起こさないようにしましょう。

自腹を切る営業をしない

 歩合給で精算できるからと、自腹を切らないようにしましょう。自腹を切った分の契約は、会社の責任はないため、トラブル発生時に全て個人で対処しなくてはいけなくなります。

会社、上司の確認を取り、記録する

 値引きなどの金額については、必ず会社と上司の確認と了承を得ましょう。また、了承を得たという客観的な事実を記録しておきましょう。上司がそれは知らないという嘘をつくことも多々あるからです。

お客様からの追加費用のかかる内容は断る

 基本的に追加費用のかかるものをサービスすることは控えましょう。値引きを会社の了承を得て行うか、追加費用をいただいて契約をしましょう。サービスでつけるということは、契約書や仕様書に記載しない場合も多く、これが引き渡し時に問題になります。

会社のミスは記録を取る

 会社の設計ミス、職人の施行ミスなどが原因でクレーム処理のために自腹を切ることになるブラック企業も存在します。こういったことを避けるために、事前に会社のミスの記録を必ず取るようにしましょう。会社は営業歩合という予算から余分な出費を減らそうとします。自衛のためにリスク管理しておくことが大事です。



※この記事はリバイバル記事です。

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。