給料が未払いになったらどうする?請求する方法は?

給料が未払いになったらどうする?請求する方法は?

勤務先で給料が未払いの状態になってしまった場合、誰もが不安になってしまうでしょう。 給料は労働に対する正当な報酬であり、未払いは明らかな法律違反となります。 しかし、未払いの状態が続くほど回収が困難となるうえ、未払い給料に対する請求権には時効があるため、できるだけ早く行動することが重要です。 そこで本記事では、万が一勤務先で給料が未払いになった場合、どのような方法で回収するとよいのかご紹介したいと思います。


勤務先で給料が未払いの状態になってしまった場合、誰もが不安になってしまうでしょう。
給料は労働に対する正当な報酬であり、未払いは明らかな法律違反となります。

しかし、未払いの状態が続くほど回収が困難となるうえ、未払い給料に対する請求権には時効があるため、できるだけ早く行動することが重要です。
そこで本記事では、万が一勤務先で給料が未払いになった場合、どのような方法で回収するとよいのかご紹介したいと思います。

給料の未払いは法律違反

労働基準法には、以下の通り給料に関する重要なルールが定められています。

労働基準法第24条(賃金の支払)
・賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない

以上のように労働者は、労働に対する報酬として、「日本の通貨」で「労働者本人が直接」そして「全額」を受け取れることが定められているのです。

また、労働基準法第24条では、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないことについても定めがあります。
よって給料は、未払いはもとより、不足や遅延などが絶対にあってはならないのです。

そして万が一、給料未払いによる違法行為が認められた場合、事業者に対して以下の罰則規定が設けられています。

・30万円以下の罰金に処する

なお、給料の未払いの時効は、本来支払われるはずだった日から3年で、この時効が完成すると請求できる権利は消滅してしまいます。

給料が未払いになったときの請求方法

給料が未払いになった場合には、何らかの方法により回収を図る必要があります。
ただし、いずれの方法で行動を起こすにしても、給料が未払いとなっていることの証拠を収集しておくことが重要なポイントとなります。

証拠を提示することで、手続きがスムーズに進みやすく、回収にも有利です。
証拠となるのは、未払いを証明するものや勤務状況を証明するもの、そして支払われるべき給料を証明するものなどで、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 給料明細
  • 給料の振り込み口座の履歴
  • タイムカード
  • 日報
  • 雇用契約書 など

証拠を収集したら、具体的に請求する方法を検討することになります。
おもな請求方法について、簡単に解説いたします。

会社と直接話し合う

まずは、会社と話し合う機会をつくれるのであれば、直接交渉し、速やかに支払ってもらえるよう要求します。
何かの手違いであれば、この時点で応じてもらえることもあります。
このとき、話し合いの会話を録音しておけば、支払ってもらえなかった場合の証拠とすることも可能です。

また、内容証明郵便で未払いの給料を請求すると、会社に対する「催告」となり、時効を6ヶ月の間止めておくことが可能となります。

労働基準監督署へ申告する

個人の力で会社が給料の支払いに応じてもらえない場合は、労働基準監督署へ申告する方法があります。
ただし、労働基準監督署が必ず動いてもらえるとは限りません。

そこでポイントとなるのが有効な証拠です。
法律違反をしている証拠を提示すれば、労働基準監督署により事情聴取や立ち入り調査などが行われる可能性は高くなります。

その結果として未払いが確認されると、会社に対して是正勧告などが行われることになります。
しかし、労働基準監督署による是正勧告には強制力がないことから、会社側に応じてもらえない可能性がある点では注意が必要です。

支払督促を申し立てる

支払督促は、簡易裁判所へ申し立てて、会社に対し未払い給料の支払いを求める文書を送ることです。
手続きがきわめて簡単であり、会社側が無視するようなら強制執行で回収することも可能となります。

ただし、異議を申し立てられた場合は通常訴訟に発展することになります。

少額訴訟を起こす

少額訴訟は、60万円以下の支払いを求める場合に行える訴訟のことです。
非常に簡単な手続きで行えるうえ、原則1回の審理で結果が出るため、きわめて迅速な解決が図れる方法となります。

ただし、会社側に異議を申し立てられた場合は通常訴訟に発展することになります。

労働審判を申し立てる

労働審判は、労働者と事業主との間で生じた労働関係のトラブルを解決するための裁判所による手続きです。
労働審判委員会により双方の言い分を聴取するなど、中立な立場から審理が行われます。
また、原則として3回以内の期日という比較的短期間で終了することも特徴です。

話合いによって解決が図れれば迅速に調停成立となりますが、事業主が異議を申し立てた場合、労働審判は効力を失い通常訴訟に発展することになります。

裁判を起こす

通常の裁判を起こし、未払いの給料を請求する方法です。
裁判で訴えが認められれば、差押えによる回収も可能となります。
また、通常の裁判となると基本的に弁護士へ依頼する人が多くなりますが、その場合は未払い給料の確実な回収が望める他、遅延損害金などが得られる可能性もあります。

まとめ

給料が未払いは、明らかな法律違反です。

給料が未払いになるときは、さまざまな原因が考えられますが、場合によっては会社の経営が不振に陥っている可能性も考えられます。
そうなると、給料の未払いは1度で済まないかもしれません。

回収が困難にならないよう、できるだけ早めに証拠を集め、請求方法を検討しておくことが重要です。

関連するキーワード


働き方 トラブル

関連する投稿


【空き家問題】リスクと活用方法とは?

【空き家問題】リスクと活用方法とは?

現在、住宅業界の課題となっていることのひとつに「空き家問題」があります。 「空き家問題」は、少子高齢化による人口減少の影響から今後もさらに深刻化することが予想されています。 また、空き家を放置することは、周辺環境の悪化などさまざまなリスクがあるため、なんらかの対策が必要です。 このような背景から空き家対策として法的な整備も進んでおり、場合によっては所有者に処分や罰則が科されるケースがあることは注意が必要となります。 しかし、空き家の所有者は、放置することのリスクに対し、どのような対応をすればよいでのしょうか? そこで本記事では、空き家を放置するリスクとおもな活用方法について解説したいと思います。


【体験談】住宅工事現場でのトラブル!原因と解決法

【体験談】住宅工事現場でのトラブル!原因と解決法

住宅工事はトラブルが絶えません。クレーム産業とも言われる建築業ですが、住宅は何千万という資金をお客様が支払っているため、それだけトラブルも大事になることがあります。 実際に私が、現場監督として勤務していてどのようなトラブルがあったのかをご紹介いたします。これから現場監督として働こうとしている方、今まさにトラブルで困っていてどうやって治めれば良いのかと考えている方に少しでも参考になればと思います。


住宅営業は自腹でクレーム解決!?転職前に知っておく自衛の4つのポイント|ブラック企業を避けよう

住宅営業は自腹でクレーム解決!?転職前に知っておく自衛の4つのポイント|ブラック企業を避けよう

 よく住宅営業で、クレームが起きた際に営業の責任とされてしまうという話を聞くのではないでしょうか。営業マンが自腹でお金を払い、クレーム処理をするということも聞きます。他の業界ではこのような話をほとんど聞かないため、不安になる求職者も多いです。そこで、どのような場合に自腹を切ることになってしまうのか、そういったブラック企業での自衛手段をご紹介いたします。


【トラブル体験談】住宅販売営業の実際にあった営業マンの外観配色ミス!クレームの原因を営業マンが作らないようにしましょう

【トラブル体験談】住宅販売営業の実際にあった営業マンの外観配色ミス!クレームの原因を営業マンが作らないようにしましょう

 住宅業界や建設業界はクレーム産業と言われるくらいトラブルが多いです。しかし、トラブルといっても大きいクレームになることはそこまで多くはなく、あまり不安になる必要はありません。転職するにあたり、どのようなクレームがあるのか、営業マンがどのようなミスをしてクレームになってしまうのか、体験談をご紹介いたします。転職に不安になるのではなく、事例を知り、事前に対策する準備を行いましょう。


職業選択の自由とはどういう意味?同業他社への転職の制約は有効?

職業選択の自由とはどういう意味?同業他社への転職の制約は有効?

転職や就職を考えるとき、わたしたちは、基本的にどのような職業でも選べますが、これは、日本国憲法により「職業選択の自由」が保障されていることが大きな理由です。 では、「職業選択の自由」とは具体的にどのようなことをいうのでしょうか? また、会社によっては、いわゆる「競業避止義務」を労働契約のなかに含め、同業他社への転職に制約を課しているケースも見られます。 このような労働契約は、会社側の利益を守る措置ともとれますが、「職業選択の自由」に反する行為でもあることは疑問が残る点です。 そこで本記事では、そもそも「職業選択の自由」とはどのような意味があるのか、また同業他社への転職を禁止するような契約は有効なのか、解説したいと思います。


最新の投稿


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

会社を退職するときには、さまざまな手続きを行わなければなりません。 また、退職後に必要となる書類などを受け取ることも重要ですが、同時に返却しなくてはならないものもあるため注意が必要です。 とくに建設業での返却物は多岐に渡るうえ、適切に返却されなければ場合によっては損害賠償の対象となる可能性もあります。 そうならないためにも、返却が必要なものは事前にチェックしておきましょう。 そこで本記事では、建設業の転職活動において、退職時に返却する必要があるのは具体的にどのようなものなのかご紹介したいと思います。


【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

【住宅建設】新築工事が始まる前に現場監督が行う現地調査とは?

現場監督は、あらゆる業務を行わなければなりませんが、「現地調査」もそのひとつです。 「現地調査」とは、工事が始まる前に実際の現場を確認する事前調査のことをいい、新築工事やリフォームなど、工事によって調査する内容は変わります。 また現場監督は、工事に取り掛かる前に施工計画を作成しますが、現地を確認しなければ実行性のある計画がつくれるとは限りません。 施工計画に不備があれば工事は混乱し工程に狂いが生じる恐れもあるため、「現地調査」は非常に重要なのです。 そこで本記事では、現場監督が行う「現地調査」について、おもに新築工事が始まる際に確認しておきたいことをご紹介いたします。


テナントの意味、テナント工事のABC

テナントの意味、テナント工事のABC

テナントビルは、オフィスビルや商業ビルの賃貸のことを意味します。テナントは、借りる方で、ビルなどのオーナーと契約することになります。テナントが入るにあたり、内装のリフォームで工事が必要になります。これがテナント工事です。テナント工事には、ABCという工事区分がありますが、どれがどれなのかしっかりと把握しているでしょうか?これらを把握すると同時に、なぜ把握する必要があるのか、また工事区分により何に注意しなければならないのかを知っておきましょう。この記事では、テナントの意味から、どのようなトラブルがあるのか、ABC工事区分についてわかりやすくご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 台風 知識 現場監理 働き方改革