なぜトラブルが発生しやすいのか
住宅工事においてトラブルは3件に1件は発生します。もちろんすぐに解決するトラブルもありますが、工事中に想定していなかったことが起きる確率はこのくらい多いです。
理由は、現場ごとに全く同じ仕様ではないからです。これは私の考えですが、これが一番の原因ではないでしょうか。例えば、決まった商品を通販で販売するのであれば、トラブルもその1つの商品に対してのものになります。
しかし、住宅はお客様が違えば建物の仕様が全て異なっています。建売住宅でも全く同じという造りはないと言って良いでしょう。さらに同じ業者が入っているわけではないということもあります。4,5棟の分譲地でも全てが同じ業者、職人というわけではないこともあります。
住宅工事は、他業種が関わる工事な上に業種ごとに業者もいくつか入ります。このように多くの人数が何ヶ月も作業をすることで、人的ミスがどこかで必ず起こるのです。
実際にあったトラブルと解決法
私が体験したトラブルを5つご紹介いたします。
・扉の開閉の不具合
・設計と違う商品の搬入
・盗難
今では、こんなトラブルもあったなぁと思えますが、当時は冷や汗が止まらず、休日も出勤し、どうすれば事が収まるのか、お客様の引っ越し時期や不動産屋への説明など非常に大変でした。
それではそれぞれの具体的なトラブル内容と解決した方法についてご紹介いたします。
■扉の開閉不具合
これは何件かありました。部屋の引き戸、トイレのドア、リビングのドアなど必ずと言って良いほど下手な業者がいて困りました。そしてこの時は新人時代で、お客様が入居してから「ここの扉が開きづらい、閉めにくい、うまく閉まらない」と言われました。
中にはかなりお怒りになられてしまったお客様もいて、なぜ工事の段階で気づかないのか、チェックをしていないのかと2時間以上怒られました。お客様が起こるのも当然ですが、心理としては、1つのチェックミスがあれば他もチェックしていないのではないか。気づいていたのに、これくらい大丈夫と放っておいたのではないか。と思うからです。
結局は私の現場管理が甘かったということになります。お客様に指摘されるのは、最悪の事態であり、工事の段階で私が気づくべきなのです。こういったトラブルが起きることを知っているからこそ、工事中にチェックできるということもあるのです。(このトラブルがなければ、ドアの開閉チェックが必要だとは思っていませんでした。なぜならこんな施工業者も気付くようなミスが起こらないと考えてしまっていたからです)
工事完了時には、特にお客様が目につくところは徹底的にチェックしました。玄関に入るところから、全ての導線をチェックします。このようにすることで、お客様から指摘されるということはなくなります。
現場監督は、工事がうまく進んでいるか、施工の手抜きはないかなどはチェックしますが、実際の使い勝手や見た目というところに気を配れていない場合もあるということです。
■設計と違う商品の搬入
キッチンが品番は同じでも、色が違うなどがありました。これは完全にメーカー側のミスなのですが、現場はたまったもんではありません。この日にこのキッチンを搬入すると決めている場合、それに付随した工事を行う職人を手配し、翌日にはまた別の業者を入れているからです。
再度発注し直しとなると、納品日が数日後になり、それまで次の工事ができないということにもなります。これはなかなか対策しづらいトラブルですが、この日は絶対にずらしたらマズイというときは以下の対策をしました。
1週間前にメーカーに再度確認電話もしくはメールを入れていました。品番と色の再確認をすることで、発送段階でのミスを事前に防げます。結局はメーカー側の人的ミスなので、その人的ミスを排除するためにアナログな手法を取るしかありません。
メーカーで電子的に勝手に発送準備をしているのなら良いのですが、発注書を元に人が発送準備をしています。面倒ですが、大事な工事日をずらさないためにも、行った方が良いでしょう。
■盗難
工事の足場を利用した、盗難トラブルです。1回だけ経験したのですが、施主様から工事管理の責任を問われ大変でした。
窓の鍵を閉めることを徹底しました。リフォーム工事の場合、2階などから侵入して盗難されることがあります。施主様に工事中は鍵をかけっぱなしにしてもらうことを徹底しました。
また、足場の階段に登りにくいようにして現場を終わるなどするだけでも効果があるようです。
まとめ
・扉の開閉の不具合
・設計と違う商品の搬入
・盗難
以上が私の体験したトラブルと解決法でした。このような具体的事例から、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。