【現場監督がよく使う建設用語】鉄筋の「かぶり」とはなに?

【現場監督がよく使う建設用語】鉄筋の「かぶり」とはなに?

現場監督は、専門工事業者による多くの管理を同時に進めていかなければなりませんが、その際に求められるのはしっかりとコミュニケーションを図ることです。 そして、工事現場でコミュニケーションを図るには、建設業界で使われる専門用語、いわゆる「建設用語」を一定程度理解しておく必要があります。 また、住宅建築のなかでも、とくに重要となる基礎工事には、「かぶり」という「建設用語」があります。 「かぶり」とは基礎工事の鉄筋に関わる内容であり、建物の強度を左右する重要な要素となるため、現場監督が必ずチェックしなくてはならないポイントのひとつです。 そこで本記事では、基礎工事における鉄筋の「かぶり」について、その内容を詳しく解説したいと思います。


現場監督は、専門工事業者による多くの管理を同時に進めていかなければなりませんが、その際に求められるのはしっかりとコミュニケーションを図ることです。
そして、工事現場でコミュニケーションを図るには、建設業界で使われる専門用語、いわゆる「建設用語」を一定程度理解しておく必要があります。

また、住宅建築のなかでも、とくに重要となる基礎工事には、「かぶり」という「建設用語」があります。
「かぶり」とは基礎工事の鉄筋に関わる内容であり、建物の強度を左右する重要な要素となるため、現場監督が必ずチェックしなくてはならないポイントのひとつです。

そこで本記事では、基礎工事における鉄筋の「かぶり」について、その内容を詳しく解説したいと思います。

【現場監督がよく使う建設用語】鉄筋の「かぶり」とはなに?

住宅の基礎工事において、コンクリート表面から鉄筋までの最短距離を「かぶり厚さ」といいます。
「かぶり厚さ」は、建築基準法に厳格な規定があり、必ず守って施工されなくてはなりません。

そして、現場監督は、コンクリートを打設する直前の鉄筋と型枠が設置されたタイミングで検査を行い、「かぶり厚さ」など重要項目を確認することが一般的です。

鉄筋の「かぶり」の規定について

建築基準法に定められている鉄筋の最小の「かぶり厚さ」について、おもな規定は以下の通りとなります。

・耐力壁以外の壁、床は20mm以上
・耐力壁、柱、梁は30mm以上
・直接土に接する壁、柱、梁、布基礎の立ち上り部分は40mm以上
・基礎部分(布基礎の立ち上り部分を除く)は60mm以上

なお、これらが守られていない場合は法律違反となるため、適正な「かぶり厚さ」が確保できていない場所は必ず是正を求めなければなりません。
そして、是正されていることを確認したうえで、コンクリートを流し込むことが重要です。

鉄筋の「かぶり」が不足するとどうなる?

鉄筋の「かぶり厚さ」に関する規定は、コンクリートの適正な寿命を守ることがおもな目的となります。
つまり、不足している場合は本来の寿命が得られない可能性があるということです。

コンクリートは、通常強いアルカリ性を保っており、そのことにより鉄筋は腐食から守られています。
しかし、経年とともに空気中の二酸化炭素と反応すると、表面からアルカリ性を失い徐々に酸性へと傾いていきます。
この現象が「中性化」です。

コンクリートの「中性化」は、少しずつ深くまで進行しますが、やがて鉄筋まで及ぶと錆びてしまうことがあります。
要するに、「かぶり厚さ」が不足していると、早い段階で中性化の影響を受け鉄筋の腐食を招きやすいというわけです。

鉄筋が錆びると、膨張して内側からコンクリートを破壊するようなります。
建物の寿命は「コンクリートの鉄筋が錆びるまで」といわれていることからも、基礎工事における「かぶり厚さ」の重要性がよくわかるのではないでしょうか。

鉄筋の「かぶり」をチェックするのは配筋検査

現場監督は、工事の節目で多くの検査を行います。
基礎の配筋検査もそのひとつで、鉄筋の「かぶり厚さ」もこの検査でチェックすることが一般的です。
配筋検査では、設計図面通りに鉄筋が配置されていること、そして法律が守られていることなどの確認を行います。

これらが適正でないまま次の工程であるコンクリート打設を行うと、隠れて見えなくなってしまいます。
現場監督は、必ず配筋検査で合格を確認してコンクリート打設に備えることが重要です。

なお、コンクリート打設に関する詳しい内容は、「【住宅建築の基礎知識】施工管理が知っておきたいコンクリート打設のポイント」の記事を参考にしてください。

配筋検査には、さまざまな項目がありますが、なかでもとくに重要な内容について簡単に解説いたします。

「かぶり厚さ」の確保

鉄筋の「かぶり厚さ」の規定は部位によって異なりますが、各部位について適正に確保できていることをチェックします。
確保できていないところは工事業者に是正を求め、その後、是正されていることを確認できたら合格です。

図面と鉄筋の照合

鉄筋の種類やピッチなどが図面通りに配置されていることを確認します。
鉄筋の配置は構造計算をもとに決定されているため、間違いがあると適正な強度が得られない場合があります。
図面と相違ないことが確認できたら合格です。

定着と継手

定着とは、ベースと立ち上がりなど構造が変わる部分が一体化できるよう、双方に規定の長さ以上の鉄筋を差し込んで固定することをいいます。

また、継手とは、2本の鉄筋を、規定の長さ以上重ねて接合することをいいます。
これらの規定の長さが確保できていることを確認できたら合格です。

まとめ

現場監督は、工事期間中にさまざまな検査を行わなければなりませんが、なかでも重要度が高いといえるのが基礎に関わるものです。
とくに配筋検査は、コンクリートを打設した後には隠れてしまうことから、実施するタイミングも重要になります。

そして、鉄筋の「かぶり厚さ」はコンクリートの寿命を左右する要素であるため、現場監督はその重要性を理解することが重要です。

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