住宅建築において、きわめて重要な工事のひとつに基礎工事があります。
そして、基礎工事のなかでもとくに大きなイベントとなるのが「コンクリート打設」です。
「コンクリート打設」は強い建物をつくるうえでカギとなる工程であることから、施工管理者としてチェックしておきたいポイントが多くあります。
そこで本記事は、施工管理者なら必ず知っておきたい「コンクリート打設」の重要なポイントについて徹底解説したいと思います。
施工管理が知っておきたいコンクリート打設のポイント
まず住宅の新築工事おける基礎工事について、大きな流れをご紹介いたします。
- 遣り方
- 掘削
- 砕石敷き
- 配筋
- 型枠組み
- コンクリート打設
- 型枠解体
コンクリート打設工事における施工管理者のポイントとなるのは、打設前の準備と打設当日の2つに分けて考えられます。
これらの両方のポイントを押さえて工事を進めることが、基礎工事の品質を得るうえで重要になります。
施工管理が行うコンクリート打設前のポイント
コンクリート打設は、施工当日に向けた準備が非常に大事です。
まず、コンクリート打設までに設計図面に指定されている建物の位置を正確に示す「地縄張り」や鉄筋の配置を確認する「配筋検査」などを行う必要があります。
これらはいずれも非常に重要な業務ですが、その他ポイントとなるのは「コンクリート打設計画」の作成になります。
「コンクリート打設計画」とは、コンクリート打設の当日に携わるすべての関係者が問題なく行動できるよう計画書を作成することです。
設計図面をもとにコンクリートの必要量を計算し、ミキサー車の台数とそれぞれの到着時間を決定します。
またコンクリート打設工事はポンプ車で圧送する方法が主流となっていますが、ミキサー車とポンプ車、その他誘導員などの配置計画や搬入経路なども検討する必要があります。
道路へ配置しなくてはならない場合は、所管の警察署へ道路使用許可を申請しておかなければなりません。
施工管理が行うコンクリート打設当日のポイント
コンクリート打設の当日は、施工管理者が主導し「コンクリート打設計画」に則って工事を進めていくことになります。
当日のおもな流れは以下の通りです。
- 生コンクリートの搬入および受け入れ検査
- 打ち込み
- 締固め
- 仕上げ
以上が大きな流れですが、いずれも適正に行われることを施工業者に対して指示する必要があります。
■生コンクリートの受け入れ検査
施工管理が行う重要なポイントとなるのは「受け入れ検査」です。
「受け入れ検査」とは、実際に搬入された生コンクリートが発注した通りの品質を確保できているか確認するための検査となります。
というのも、品質が十分でないものを使って施工すると十分な強度を得られない可能性があるためです。
適正な品質であることを確認したうえで打ち込みの作業に入ることがポイントとなります。
「受け入れ検査」は会社によって行う内容が異なる場合もありますが、おもに以下の項目があります。
- スランプ試験
- 空気量試験
- 塩化物含有量試験
- 圧縮強度試験
スランプ試験
生コンクリートの柔らかさを測る試験です。
ミキサー車から取り出した生コンクリートを専用器具で測定し、指定したスランプ値を得られたら合格となります。
空気量試験
生コンクリートに含まれている空気量を測る試験です。
コンクリートの空気量は、耐凍害性や圧縮強度に影響するため適切な量にしておく必要があります。
専用器具で測定し、指定した空気量の範囲内であれば合格となります。
塩化物含有量試験
生コンクリートに含まれている塩化物含有量を測る試験です。
コンクリート内に塩分が多いと鉄筋が腐食しやすくなるため、一定以下にする必要があります。
専用器具で測定し、指定した塩化物含有量より下回る値が得られたら合格となります。
圧縮強度試験
生コンクリートの圧縮強度を測る試験です。
圧縮強度はコンクリートが硬化した後に試験場で圧縮試験を行います。
よって、コンクリート打設の当日はテストピースと呼ばれる供試体を採取しておきます。
■施工上の注意点
コンクリート打設は、適正な品質を得るためには施工業者が正しく施工しなくてはなりません。
施工上注意しなくてはならないことは多くありますが、とくに先に打ち込んだ層と後から打ち込んだ層の「打ち重ね」には十分な配慮が必要です。
生コンクリートは製造した直後から硬化し始めるため、搬入の間隔が空き過ぎると「打ち重ね」部分が一体化できない場合があります。
この一体化できなかった部分を「コールドジョイント」といい、期待する性能が発揮できない可能性があるため注意が必要です。
よって、必ず計画通りに搬入されるよう、生コン工場との打ち合わせをしっかりしておくことが重要になります。
まとめ
コンクリート打設は住宅建築において非常に重要な工事になります。
しかし、適正な品質を有する材料を使い、正しく施工しなければ、十分な性能は期待できません。
そのため、施工管理者がポイントを押さえ、やるべきことを確実に行うことがきわめて重要になるのです。
※この記事はリバイバル記事です。