築設計事務所の仕事内容
設計事務所は、大きく2つの種類があり、組織設計事務所とアトリエ系設計事務所です。組織設計事務所は、比較的規模が大きく、一連の設計業務を全て請負います。デザイン性を重視した設計というより、機能性や汎用性、費用対効果の高い設計を求められる建造物の設計を行います。アトリエ系設計事務所は、デザイン性を求めた設計を主に求められる建造物の設計を行います。有名建築士など、一般的にイメージされる設計事務所はこちらかもしれません。
■設計の流れ
・基本設計
まずは何階建てにするか、間取りはどうするかなど、建築方針を物件の条件や土地状況から決めていきます。予算枠に収まっているかなどもここで決めます。
・意匠設計
建造物の個性を決める段階になります。外観や内部のコンセプトを自由に表現する設計を行います。カフェなどであれば、建物の外観デザインをスタイリッシュなものにするか、レトロなものにするか、レトロなものでも何年代のイメージにするかなど、コンセプトを決めます。内装や間取りも含め、全てを統合的にイメージを表現する設計を行なっていきます。
・構造設計
耐震性など、構造上の強度などをどのように設計し、建物の形状に対してどのように構造設計を行うかを決めるものです。奇抜なデザインの建造物の場合、技術的に耐震強度などが担保できない場合もあるため、意匠設計の段階から構造設計も加味してデザインを決める必要があります。
・設備設計
電気、配管、水道などの人が生活するための設備についての設計になります。コンセントの位置や数など、全てを細かく決めていく設計になります。
ここまで全ての設計を終えてやっと図面が完成し、正確な見積もりが出るようになります。基本設計と実施設計(意匠設計、構造設計、設備設計)と区分され、実施設計は時間がかかります。建物は形状やデザインだけでなく、人が生活するために設備や換気など様々な要件に配慮しながら設計を進める必要があります。
転職で有利な資格
・建築士
1級建築士は全ての建物の設計が可能です。2級建築士は戸建て住宅程度の建物の設計が可能になります。高さ13m、1000㎡以下などの制約を受けます。鉄骨造の場合は、延べ床面積が100㎡以下などさらに制約が厳しくなります。
設計事務所では、建築士を要資格としているところが多いです。
その他の資格で有利になる場合は、建築系の資格があれば良いでしょう。
・施工管理技士
・インテリアコーディネーター
など
■設計自体に資格は必要ない
実は設計業務を行うために建築士の資格は必要ありません。建築事務所には「管理建築士」として1級もしくは2級建築士を置く必要がありますが、スタッフとして資格を有している必要はありません。
とても意外かもしれませんが、資格が無くても設計業を行っている方も中にはいらっしゃいます。あくまでも、管理監督し、確認を行うものが建築士の資格を持っていれば良いのです。ただし、個人の建築事務所など人数が限られている職場の場合は、資格を持っていない人材を設計業務に配置している場合はほとんどないようです。
完全未経験からの転職は難しい
設計職は非常に専門的な分野で、比較的少数精鋭の部署です。完全未経験からの求人はほとんどないと言って良いでしょう。建築業界での勤務経験もしくは建築学科での就学が必要です。建築系の資格は実務経験が受験資格とされることも多いため、まずは実務経験を積みましょう。
■未経験者から設計職に就くための方法
就職したい建築事務所にどのような人材が欲しいかを直接聞くのが良いです。設計職は少数精鋭のため、その事務所が必要としている人材になっている必要があります。そのため、どのような経験を持っている人材であれば、雇ってくれるかを聞くのが近道と言えます。どれだけ向上心が高く、実績を積んでいても、その場に必要とされる能力を持っている必要があります。余分な人材を雇う余裕のある会社はあまりないと言っていいでしょう。
一般的な方法としては、
未経験、資格なしの建築業界で就業し、実績を積みます。その中で、施工管理技士や2級建築士などの資格を取ります。また、設計に関するCADの知識とスキルもあれば良いです。CADは少し勉強すれば比較的扱いやすいです。
また、設計事務所で設計職ではないにしてもスタッフとして働くことができれば、その中で設計職に異動するために必要なスキルを磨くという方法もあります。
まとめ
建築士の資格が無くても、設計職に就くことは可能です。自身がデザインに関わった建物が立つというのは非常にやりがいのある仕事ですよね。少しでも設計職への転職に役立てば幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。