建築設計事務所の仕事内容、転職するために必要な資格は?未経験からの転職は難しい?

建築設計事務所の仕事内容、転職するために必要な資格は?未経験からの転職は難しい?

 建築設計は、建築業界の中でも上流に位置しており、設計デザインから携わる仕事をしたいと考える方が多いです。設計図から組み立てていく現場作業も非常に重要ですが、その設計図から構築できることが設計職の魅力になります。この記事では、仕事内容、必要な資格、未経験からの転職方法についてご紹介します。


築設計事務所の仕事内容

 設計事務所は、大きく2つの種類があり、組織設計事務所とアトリエ系設計事務所です。組織設計事務所は、比較的規模が大きく、一連の設計業務を全て請負います。デザイン性を重視した設計というより、機能性や汎用性、費用対効果の高い設計を求められる建造物の設計を行います。アトリエ系設計事務所は、デザイン性を求めた設計を主に求められる建造物の設計を行います。有名建築士など、一般的にイメージされる設計事務所はこちらかもしれません。

設計の流れ

・基本設計
まずは何階建てにするか、間取りはどうするかなど、建築方針を物件の条件や土地状況から決めていきます。予算枠に収まっているかなどもここで決めます。
・意匠設計
建造物の個性を決める段階になります。外観や内部のコンセプトを自由に表現する設計を行います。カフェなどであれば、建物の外観デザインをスタイリッシュなものにするか、レトロなものにするか、レトロなものでも何年代のイメージにするかなど、コンセプトを決めます。内装や間取りも含め、全てを統合的にイメージを表現する設計を行なっていきます。

・構造設計
耐震性など、構造上の強度などをどのように設計し、建物の形状に対してどのように構造設計を行うかを決めるものです。奇抜なデザインの建造物の場合、技術的に耐震強度などが担保できない場合もあるため、意匠設計の段階から構造設計も加味してデザインを決める必要があります。

・設備設計
電気、配管、水道などの人が生活するための設備についての設計になります。コンセントの位置や数など、全てを細かく決めていく設計になります。

ここまで全ての設計を終えてやっと図面が完成し、正確な見積もりが出るようになります。基本設計と実施設計(意匠設計、構造設計、設備設計)と区分され、実施設計は時間がかかります。建物は形状やデザインだけでなく、人が生活するために設備や換気など様々な要件に配慮しながら設計を進める必要があります。

転職で有利な資格

・建築士
1級建築士は全ての建物の設計が可能です。2級建築士は戸建て住宅程度の建物の設計が可能になります。高さ13m、1000㎡以下などの制約を受けます。鉄骨造の場合は、延べ床面積が100㎡以下などさらに制約が厳しくなります。

設計事務所では、建築士を要資格としているところが多いです。
その他の資格で有利になる場合は、建築系の資格があれば良いでしょう。

・施工管理技士
・インテリアコーディネーター
など

設計自体に資格は必要ない

 実は設計業務を行うために建築士の資格は必要ありません。建築事務所には「管理建築士」として1級もしくは2級建築士を置く必要がありますが、スタッフとして資格を有している必要はありません。

とても意外かもしれませんが、資格が無くても設計業を行っている方も中にはいらっしゃいます。あくまでも、管理監督し、確認を行うものが建築士の資格を持っていれば良いのです。ただし、個人の建築事務所など人数が限られている職場の場合は、資格を持っていない人材を設計業務に配置している場合はほとんどないようです。

完全未経験からの転職は難しい

 設計職は非常に専門的な分野で、比較的少数精鋭の部署です。完全未経験からの求人はほとんどないと言って良いでしょう。建築業界での勤務経験もしくは建築学科での就学が必要です。建築系の資格は実務経験が受験資格とされることも多いため、まずは実務経験を積みましょう。

未経験者から設計職に就くための方法

 就職したい建築事務所にどのような人材が欲しいかを直接聞くのが良いです。設計職は少数精鋭のため、その事務所が必要としている人材になっている必要があります。そのため、どのような経験を持っている人材であれば、雇ってくれるかを聞くのが近道と言えます。どれだけ向上心が高く、実績を積んでいても、その場に必要とされる能力を持っている必要があります。余分な人材を雇う余裕のある会社はあまりないと言っていいでしょう。

一般的な方法としては、
未経験、資格なしの建築業界で就業し、実績を積みます。その中で、施工管理技士や2級建築士などの資格を取ります。また、設計に関するCADの知識とスキルもあれば良いです。CADは少し勉強すれば比較的扱いやすいです。

また、設計事務所で設計職ではないにしてもスタッフとして働くことができれば、その中で設計職に異動するために必要なスキルを磨くという方法もあります。

まとめ

 建築士の資格が無くても、設計職に就くことは可能です。自身がデザインに関わった建物が立つというのは非常にやりがいのある仕事ですよね。少しでも設計職への転職に役立てば幸いです。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


設計 転職 未経験

関連する投稿


住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界で職人として転職するメリットとデメリット

住宅業界へ転職する場合、営業や施工管理、設計などいくつかの職種が選択肢となります。 そして、実際の工事を担当する「職人」もそのひとつです。 ものづくりにおいて、「職人」の存在は欠かせません。 住宅業界でも同様で、まったくなにもない「ゼロ」の状態から建物をつくれるのは、「職人」の技術があることで実現します。 しかし「職人」を職業にするとしてもメリットとデメリットがあるため、その両方を理解したうえで検討することが重要です。 そこで本記事では、住宅業界で「職人」として転職するメリットとデメリットについてご紹介したいと思います。


住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅業界のリペア業とは?資格は必要?

住宅の建築工事では着工から竣工まで多くの専門業者が携わりますが、そのひとつに「リペア業」があります。 「リペア業」とは、住宅の建築工事で使用する仕上げ材や家具、設備などについたキズを補修する業者のことをいい、「補修屋」と呼ばれることもあります。 比較的歴史の浅い技術ですが、住宅の建築工事では補修の工程が当たり前に設定されるなど、非常に注目の業種です。 では、「リペア業」の仕事は具体的にどのようなことを行うのでしょうか? また、「リペア業」の技術を習得し活躍するには資格が必要なのでしょうか? そこで本記事では、住宅業界で注目の「リペア業」とはどのような仕事なのか、そして活躍するために資格は必要なのかなど、詳しく解説したいと思います。


【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

【建設業の転職活動】退職するときに返却するものとは?

会社を退職するときには、さまざまな手続きを行わなければなりません。 また、退職後に必要となる書類などを受け取ることも重要ですが、同時に返却しなくてはならないものもあるため注意が必要です。 とくに建設業での返却物は多岐に渡るうえ、適切に返却されなければ場合によっては損害賠償の対象となる可能性もあります。 そうならないためにも、返却が必要なものは事前にチェックしておきましょう。 そこで本記事では、建設業の転職活動において、退職時に返却する必要があるのは具体的にどのようなものなのかご紹介したいと思います。


住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、建築士の資格を持っていることがほとんどです。しかし、資格を持っていれば完璧にデザインからディテールにこだわった施工まで、問題ない設計ができるかというとそうではありません。住宅設計士として、学ぶべきことは多く、自分1人で仕事を完結できるようになることはなかなか一筋縄ではいきません。技術を学び、盗むことが住宅設計士として一人前になるために必要なことです。この記事では、住宅設計士が何を学び、技術をどのように身につけていけば良いかご紹介いたいします。


住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士は、デザインをする上で、メールに設計図や写真を添付したり、細かい内容は電話をしたりとどちらも使う必要が出てきます。メールだけであれば簡単ですが、電話もしなければいけない状況が多くあります。それらについてどのような情報はメールで、何を電話にしなければいけないのか、判断がつきづらい事項も出てきます。この記事では、仕事をスムーズに進めるためにどのようにすべきかお勧めの方法をご紹介いたします。


最新の投稿


住宅営業の外回り・飛び込み5つのコツ

住宅営業の外回り・飛び込み5つのコツ

住宅営業で、外回り・飛び込み営業を成功させるためにはどうしたら良いでしょうか?住宅メーカーや工務店は、反響営業と言って、HPやチラシ、その他様々なチャネルからお客様の問い合わせがあります。しかし、小さい工務店や不動産、お客様の問い合わせが少なく、新規着工案件が少なくなってしまうこともあります。そのような際には、営業が外回りや飛び込み営業をすることもあります。採用情報でも、「飛び込み営業がありません!」と謳っている会社もありますが、仕事がなくなってくれば、飛び込み営業をする必要もでてきます。営業は、どのような営業スタイルでも対応できるようにしておくと良いかもしれません。


お客様に好かれる住宅営業4つのポイント

お客様に好かれる住宅営業4つのポイント

住宅営業は、お客様に好かれなければ中々成績が上がりません。住宅は大きな金額の買い物であるだけではなく、一生に一度の買い物と言われています。たとえ、住宅メーカーの絶対的な信頼があっても、営業が不誠実な対応や、お客様の満足度を高めることができなければ、契約にならず、工事が始まって引渡しの段階でクレームになることもあります。お客様に好かれるというのは、何でも言うことを聞くことではなく、信頼されるという意味です。住宅営業のプロとして、誠実に対応し、お客様に満足してもらう買い物をしてもらうことが重要です。


住宅展示場での接客4つのポイント

住宅展示場での接客4つのポイント

住宅営業の方は、住宅展示場で接客をすることもありますが、なかなか展示場での接客が上手くいかないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?住宅展示場は、住宅設計を依頼しようと考えているお客様もいらっしゃいますが、まだ購入を決めかねているという見込みの薄い方もいらっしゃいます。また、お客様とコミュニケーションが取れていない状態から、展示場の説明をしてしまうと、なかなか営業とお客様で意思疎通ができないこともあります。この記事では、住宅展示場での接客について4つのポイントにまとめてご紹介いたします。


工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書とは?住宅営業は全て理解しよう!

工事請負契約書は、住宅営業にとって、成績を左右する一番大事な書類です。お客様の前で新人営業マンは、よくわからずに上司と一緒にお客様に書いてもらうこともあるのではないでしょうか。工事請負契約書は、お客様との取引の上で一番大事な書類です。それにもかかわらず、実は内容を全て理解していないという営業マンも、もしかしたらいるのではないでしょうか?この記事では、工事請負契約書というものが、どのようなものかをわかりやすくご紹介いたします。


【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

【強みを伝える】住宅営業が失敗する、自社商品の知ったつもり

住宅営業は、他者と相見積もりなどで競合することが多いです。お客様は、メーカーや工務店などの様々な選択肢の中から1社を選びます。お客様の事前知識やイメージで1社に決めていることや、ほとんど決定している場合もありますが、営業の言葉だけでその決定が覆ることもあります。上司から、「他者に負けるな!」と言われつつも、どう営業をすれば良いのか、自社商品と他社商品の違いも知っているけど、それを活かせているかわからないという方もいらっしゃると思います。この記事では、住宅営業が自社商品をどのようにお客様にアピールすれば良いか、そのポイントについてご紹介いたします。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 営業 利益 知識 職人 仕事 働き方 転職