住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、建築士の資格を持っていることがほとんどです。しかし、資格を持っていれば完璧にデザインからディテールにこだわった施工まで、問題ない設計ができるかというとそうではありません。住宅設計士として、学ぶべきことは多く、自分1人で仕事を完結できるようになることはなかなか一筋縄ではいきません。技術を学び、盗むことが住宅設計士として一人前になるために必要なことです。この記事では、住宅設計士が何を学び、技術をどのように身につけていけば良いかご紹介いたいします。


住宅設計士は、まず学ぶことから始める

どの仕事でもそうですが、まずはその事務所での仕事の進め方や、作業に対する方法をまずは真似する(学ぶ)ことから始めましょう。守破離という言葉もあるように、まずはそのやり方・ルールを守った進め方を行うことが大事です。

設計自体のやり方だけでなく、仕事の準備の仕方、考え方、事務所の方針、デザインの趣向など、まずはどのような意図で仕事が成されているのかを、より正確に把握しましょう。そうでなければ、1人だけ全く違う仕事をしていることになり、仕事ができない(仕事を理解していない)人と判断されてしまうからです。

例えば、いきなりあなたの考えを前面に押し出した設計をしたとしましょう。たとえあなたが先駆的な斬新な素晴らしいアイデアを出していたとしても、先輩たちは、あなたが事務所の意向や、仕事のやり方を理解していないのではないかと考えます。なので、まずは今まで通りの仕事の形を問題なく遂行できるかを相手に示す必要があります。

以上のように、住宅設計士として、事務所の仕事のやり方をまずは学びましょう。そして、あなたのいる事務所の仕事の進め方を問題なく遂行できるようになってから、あなた自身のアイデアを出していきましょう。そうすることで、事務所の先輩方も、あなたが仕事を理解した上で、仕事を良くしようとしてくれていると感じることができます。

学んだ次は、技術を盗む

技術を学ぶ、盗むとはどのような意味の違いがあるでしょうか。ここでは、技術を盗むというのは、見えない仕事の部分を身に付けることとします。

見えない仕事の部分というのは、事務所の先輩方が言語化して教えることができない、または言語化するまでもないと考え、伝えない部分のことを言います。

このような仕事の考え方や進め方は、教えてもらうのではなく、肌で感じ、技術を盗む必要があります。これには、能動的に技術を身に付けようという意思が必要不可欠です。仕事をしっかりと学んだ後だからこそ、技術を盗むことができます。いきなり技術を盗もうとしても、なぜそのように仕事を進めているのか、なぜこういう風にしないのかという疑問だけを持つ、もしくはそういった疑問も持たず、何も理解できずに技術を盗めないということになります。

住宅設計士として一人前になるためには、技術を学ぶだけでは不十分で、盗まなければいけない部分を身に付けなければいけないです。

住宅設計士が盗むべき技術

住宅設計士は、どのような技術を盗めば良いでしょうか。1人で仕事が完結できるようになるという強い意志を持って、先輩の働き方を見ていきましょう。

例えば、時間の使い方、デザインの考え方、打ち合わせの説明方法、細かい現場チェックなどです。
時間の使い方は、どの作業にどのくらいの時間をかけているのか、効率的に動くために何を工夫しているのか、自分とは何が違うのかを観察しましょう。また、能力的にどのくらい早くできるようにならなければいけないかの、自己のスキルチェックにもなります。

デザインの考え方は、なかなか言語化できません。先輩の発言した内容などを細かくメモを取り、なぜその考えに至ったのか、前提となっている知識は何なのかを細かく把握するように努めましょう。

打ち合わせの説明方法では、説得力のある説明が求められます。特にクライアントなどに提案する際には、デザインというのは、ただカッコいいからという理由だけでは、伝わりにくいです。過去の実例や性能、提示するべき数字データを効果的に見せることを知りましょう。

細かい現場チェックでは、何を先輩がまず先に見ているのかなどを確認しましょう。現場のことは、先輩から事前に説明を聞いても、細かい注意事項などが多すぎて、全てを伝えることは難しいです。そのため、現場で何に注意しているのか、何を見落としていそうか、細かい部分で何を気にしているのかをその場で質問し、なるべく多くのことを把握できるようにしましょう。

まとめ

住宅設計士として一人前になるために、事務所の仕事の進め方や方針を学び、ほとんど完璧に業務を遂行できるようにしましょう。そして、能動的に一人前になるという意志を持って、技術を盗む努力をしましょう。

技術や仕事の考え方、細かい進め方、注意点などは、うまく言語化できるものばかりではありません。特にデザインなどの抽象的なものは、言語化が難しいです。どのようにしてその考えに至ったのか、それをクライアントに伝えるために何を利用して伝えているのかなど、学びながらも、盗んで行くことが大事です。

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