住宅設計士の提案方法|施主様の予算、スケール感を重視しよう

住宅設計士の提案方法|施主様の予算、スケール感を重視しよう

住宅の設計において、施主様の要望を聞くことはもちろん大事です。しかし、全ての情報を取り入れようとしてしまうと、チグハグなこの住宅で良いのだろうかという悩みにぶつかった方は多いのではないでしょうか。設計する上で、まずはどのような情報を優先して取り入れ、どのように提案していくかは非常に重要です。この記事では、住宅設計士の提案方法についてご紹介していきます。


施主様の好みのスタイル、予算、住まい方を把握する

施主様と設計についての打ち合わせをする際、まずは施主様の好みについて知る必要があります。どのようなデザインでも趣向性というものがあり、施主様がどのようなものを好きかどうかは住宅設計において重要です。

外観や内装だけでなく、住宅にどのようなものを求めるのか(おしゃれさ、住みやすさ、ペットのこと、子供のことなど)を把握しましょう。また、生活スタイルを把握し、生活リズム、趣味なども知ることで設計に反映できます。

そして予算について決める必要があります。土地と建物の予算、諸経費など、数千万円の商品のため、100万円などの誤差が小さく見えてきます。しかし、引越し費用や様々な出費であとあと生活を圧迫しないように設計する必要があります。

また、住まい方を決めすぎないことも大事です。設計段階で部屋の用途に合わせてデザインを決めすぎると、住みにくくなってしまいます。

施主様の望む生活スタイルについて

まずは施主様の生活スタイルを把握しましょう。家族構成、年齢、趣味などについては基本情報です。ここで重要なのは、今のスタイルだけでなく、これから望むスタイルをしっかりとヒアリングすることです。

現状から施主様を理解しようとするあまり、これから住宅を建てて夢を叶えようという施主様の潜在ニーズを忘れてしまってはいけません。今のスタイルで不満を持っている箇所なども一緒に把握するようにしましょう。

施主様の予算感を明確に決める

予算間を決める際に、まずは住宅ローンの借り入れをいくらまで行えるのかを把握しておくことが重要です。銀行などで事前審査を行うことが確実です。工務店にとって契約できるかもそうですが、施主様にとっても最後の最後で住宅ローンが借りられず契約できないとなるとそれまでの打ち合わせに費やした時間が無駄になってしまいます。

予算を決めた上で、グレードを上げるべき箇所、上げない箇所なども決めると良いです。屋根外壁材を変えるだけでも数十万円上がります。打ち合わせを進めていく際に、内装をグレードアップ、設備をグレードアップと、どんどんと予算が膨れ上がっていってしまいます。

まずはそれらの予算をどのくらいかけるのか、どのくらいかかる可能性があるのかをざっくりと把握し、予算オーバーになり、最終的に欲しいものを泣く泣く削るという場面を減らしましょう。といっても、ほとんどの方はいくつか諦めることになってしまうのが常です。

住まい方にゆとりを。作りすぎないデザイン

施主様の要望を安易に取り入れていくと、デザイン性は高くても住みにくい住宅となってしまいます。

住宅は住んでいきながら変化し、住み手の生活スタイルも変化していくと考えましょう。そういった変化に柔軟な家をイメージすることも大切です。施主様が住んで数年後に、間取りや設計段階では気づかなかったこと住みやすさを発見した時、設計士にとって良い仕事をしたと言えるかもしれません。

建物のスケール感を決める

住宅は大きければ良い、広ければ良いと言うものではありません。まず、生活姿勢について理解しましょう。立った時の目線、床に座った時の目線、椅子に座って時に目線、横になった時の視線、これら全て部屋の見方や居心地が変わってきます。

設計士はこれらについて網羅し、居心地が良いと思った設計について寸法を記録しておきましょう。施主様の生活スタイルに合わせて、どのような間取り、どのようなインテリアを置くかにも注意しましょう。ソファなのか、ベットなのか、座椅子で生活する部屋なのかなど様々な生活スタイルを考慮してスケール感を決めましょう。

工事現場に出向くことで、仕上がりは変わる

設計図だけでは、施工者に全てを伝えることは不可能です。その設計の思いやこだわりを施工者に伝えて初めて意図したカタチになります。

設計者は設計して終わりではなく、現場に足を運ぶことが重要です。施工がしにくい設計もあり、そのような箇所を正確に伝えたり、設計の意図を把握しながら施工することで、仕上がりにも差が生まれます。

インプットを怠らない|他の設計に触れる

設計士といっても、今まで触れてきた住宅の設計全てをインプットしていて、それらを効果的にいつでもアウトプットできるというわけではありません。

設計者の見学会やオープンハウスなど様々な設計に触れる機会を定期的に設けることは必要です。歴史的建築物からも思わぬ発想が浮かぶこともあります。

設計士として施主様の人生を支える住宅を造るというやりがいと、誇りを持って向き合っていきましょう。

関連するキーワード


設計

関連する投稿


建築設計事務所の仕事内容、転職するために必要な資格は?未経験からの転職は難しい?

建築設計事務所の仕事内容、転職するために必要な資格は?未経験からの転職は難しい?

 建築設計は、建築業界の中でも上流に位置しており、設計デザインから携わる仕事をしたいと考える方が多いです。設計図から組み立てていく現場作業も非常に重要ですが、その設計図から構築できることが設計職の魅力になります。この記事では、仕事内容、必要な資格、未経験からの転職方法についてご紹介します。


ペットと暮らす住宅の設計ポイント!人もペットも快適に

ペットと暮らす住宅の設計ポイント!人もペットも快適に

ペットと暮らす家族は非常に多いのではないでしょうか。ハムスターやインコなどの小動物から、戸建て住宅にお住まいの方は犬や猫などが代表的なペットです。住宅設計を行う上で、ペットとの生活を意識した間取りや設備は需要があります。ペットとの快適な生活を送るために、魅力的な提案を行えばお客様もさらに新しい住宅に住みたくなります。この記事では、人とペットが快適に住むための設計ポイントについてご紹介いたします。


住宅設計|外構計画の基本

住宅設計|外構計画の基本

住宅を設計する上で、外構も重要な要素です。設計では後回しになってしまいがちですが、先に予算やある程度の要望を聞いておかないと、コストや設計の問題で外構がおざなりになってしまいます。外構計画を行う上で、どのようなポイントがあるのかなどについてご紹介いたします。外構は、デザイン性や快適さだけでなく、防犯上も意味のあるものなので、各要素を反映したものにしていきましょう。


設計事務所に頼むメリット、施工会社の選び方

設計事務所に頼むメリット、施工会社の選び方

ハウスメーカーや工務店ではなく、設計事務所という建築設計を専門に行う会社があります。お客様は、住宅を建てる会社としては、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の大きく3つから選ぶのが主な選択肢になります。この記事では、設計事務所に頼む際のメリットや、施工会社を選ぶ方法についてご紹介いたします。また、これらを知ることで、住宅営業マンなどにとって、営業力を強化する知識にもなります。


資金計画提案は難しい!住宅設計、営業のポイント

資金計画提案は難しい!住宅設計、営業のポイント

住宅を建てようとしている方から依頼があった際に、資金計画を行うことは重要です。予算が決められなければ、どのような設計にすれば良いか選択肢の幅がありすぎて、お客様も設計者も方向性を決めることができません。しかし、お客様は予算感がわからず、どのくらいの金額をかければ、どのくらいの設計ができるのかがわかりません。そのため、設計者から予算に応じたサンプルをお見せしても、いまいちピンとこず、お客様からこれだけ費用を払っても、これだけしかできないのかと気分を悪くされる方もいらっしゃいます。うまくお客様との関係を維持しながら、設計が楽しくなる資金計画提案を行うポイントについてご紹介いたします。


最新の投稿


【採用ポイントもわかる】ハウスメーカー、住宅事務の仕事内容まとめ|勤務場所、募集内容の選び方

【採用ポイントもわかる】ハウスメーカー、住宅事務の仕事内容まとめ|勤務場所、募集内容の選び方

 ハウスメーカーや、住宅営業の事務員はどのような仕事をしているのでしょうか。一般的な会社の事務員と聞くと、コピーや簡単なPC入力、その他雑務をイメージするのではないでしょうか。住宅事務も同じような仕事内容ですが、この記事では具体的な仕事内容、勤務場所、募集内容などについてご紹介いたします。


住宅業界で働き方改革は進んでいる?ITを導入した業務効率化やテレワークの導入の実態

住宅業界で働き方改革は進んでいる?ITを導入した業務効率化やテレワークの導入の実態

 住宅業界は残業も多く、特に営業は残業が慢性化していると一般的に言われています。しかし働き方改革により全ての業界の残業時間の規制が入ります。住宅業界が働き方改革により、どのような業務効率化を行っているのか、テレワークの導入も進んでいるのかをご紹介いたします。転職の際には、会社ごとに状況が違いますので、確認をするようにしましょう。


【転職前に知っておきたい】建設業界の現状と課題

【転職前に知っておきたい】建設業界の現状と課題

建設業界へ転職したい人にとって、業界を取り巻く現状や将来に向けて課題となっていることなどは大いに気になる部分ではないでしょうか? 新型コロナウィルスの世界的な流行によって多大な影響を受けていることは否めませんが、建設業界が日本の基幹産業であることに変わりありません。 また、「アフターコロナ」を見据えた働き方改革も期待されるところで、転職をするのであれば魅力ある環境で働きたいと誰もが思うことでしょう。 そこで本記事では、転職する前に知っておきたい建設業界の現状と課題についてご紹介したいと思います。


建設業界の積算とはどんな仕事?資格は必要?

建設業界の積算とはどんな仕事?資格は必要?

建設業界で特有の仕事に「積算」という職種があります。 「積算」は、建築物をつくる過程で欠かせない仕事であり、また同時に責任の重い仕事でもあります。 では、「積算」とは具体的にどのような仕事なのでしょうか? また「積算」の仕事するうえで資格を取得しなくてはならないのでしょうか? そこで本記事では、建設業界における「積算」とは具体的にどのような仕事をするのか、また資格は必要なのかなど解説したいと思います。


文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

文系出身でも住宅建築の施工管理はできる?

住宅建築に関わる仕事といえば、理系の人が適しているというイメージを持っている人が多いかもしれません。 とくに施工管理の仕事は、工事の責任者となるだけに専門的な知識が必要です。 では実際のところ、施工管理の仕事は文系出身の人でもできるのでしょうか? 結論として、もちろん可能であり、さらには未経験でも問題ありません。 また、実務経験を積み重ねスキルアップすることで、文系や理系に関係なく昇進や昇給のチャンスがあります。 そこで本記事では、文系出身でも施工管理の仕事が問題なく行える理由について解説したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 風水 現場監理