【施工管理技士と建築士】仕事内容や資格概要はどう違う?

【施工管理技士と建築士】仕事内容や資格概要はどう違う?

住宅建築において、とくに重要で欠かせない資格といえば「施工管理技士」と「建築士」の2つになるでしょう。 「施工管理技士」と「建築士」はそれぞれ重要な役割を担い、また相互に強い関係性があります。 しかし、これらの違いについてよくわからないという人も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、「施工管理技士」と「建築士」の違いについて、仕事内容や資格の概要などを中心に解説したいと思います。


住宅建築において、とくに重要で欠かせない資格といえば「施工管理技士」と「建築士」の2つになるでしょう。
「施工管理技士」と「建築士」はそれぞれ重要な役割を担い、また相互に強い関係性があります。

しかし、これらの違いについてよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「施工管理技士」と「建築士」の違いについて、仕事内容や資格の概要などを中心に解説したいと思います。

施工管理技士と建築士の仕事内容の違いとは?

施工管理技士と建築士は、それぞれ仕事内容が異なります。
おもに異なる点といえば、施工管理技士は「工事管理」を行い、建築士は「工事監理」を行うという立場の違いです。

この異なる立場から工事をチェックすることで、欠陥や不具合を防止する機能が働くようになります。
それぞれに求められる内容が異なり、相互に補完し合うことで、高い完成品質が得られるわけです。
それでは、施工管理技士と建築士の仕事内容について、個別に解説いたします。

施工管理技士の仕事内容

施工管理技士の仕事内容は、建築工事における「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」など一連の施工管理を行うことです。
また、施工管理技士の有資格者は各現場に必ず配置しなくてはならない技術者になることができます。

建設業法では、施工技術における管理担当者として一定水準以上の知識や経験を有する「主任技術者」を現場ごとに配置しなければないことが定められています。
そして、元請けで外注金額が4,000万円以上の現場には「監理技術者」の配置が必要です。

これら技術者になるには一定の条件を満たさなくてはなりませんが、その条件のひとつが施工管理技士の有資格者であることです。
建築士資格でも技術者になれますが、とくに「監理技術者」の場合は、なれる業種の範囲に大きな差があります。

1級建築施工管理技士が「監理技術者」としての業務が可能な業種は、「建築一式工事」や「大工工事」「左官工事」など17種類に及びます。
ところが一級建築士は「建築一式工事」「大工工事」「屋根工事」などわずか6種類に限られるなど大きな差があるのです。

建築士の仕事内容

建築士の仕事内容は、建築物の設計と工事監理を行うことです。
設計とは、顧客のニーズをくみ取り、また法律に違反しないよう設計図書を作成する仕事になります。

そして工事監理とは、実際の工事が設計図書通りに施工されていることを照合および確認することをいいます。
ちなみに工事監理は建築士の独占業務となるため、建築士資格を有していないと行えません。

施工管理技士と建築士の資格概要について

施工管理技士と建築士の資格概要について簡単に解説いたします。

施工管理技士の資格概要

施工管理技士の資格は、以下の通り大きく7つの種類があります。

  • 建築施工管理技士
  • 電気工事施工管理技士
  • 土木施工管理技士
  • 管工事施工管理技士
  • 電気通信工事施工管理技士
  • 造園施工管理技士
  • 建設機械施工技士

いずれも1級と2級があり、それぞれ設定されている受験資格を満たしたうえで技術検定試験に合格する必要があります。
施工管理技士の技術検定試験は2021年から新しい制度として始まっています。

新制度のおもな内容は、以下の通りです。

  • 「学科試験」と「実地試験」が「第一次検定」と「第二次検定」へ名称変更
  • 「技士補」の新設
  • 受験資格の緩和
  • 試験科目の変更

なお、技術検定試験の新制度については「【2021年版】施工管理技士の新しい試験制度を徹底解説」の記事を参考にしてください。

ちなみに第一次検定を合格すると「技士補」に、そして第二次検定を合格すると「施工管理技士」の称号を得られます。

建築士の資格概要

建築士の資格は以下の通り3つの種類があります。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士

建築士資格についても、それぞれ設定されている受験資格を満たしたうえで「学科の試験」と「設計製図の試験」に合格する必要があります。
また2020年の建築士法改正により建築士試験の受験資格が緩和され、多くの人に受験のチャンスが与えられるようになりました。

おもな緩和の内容は以下の通りです。

  • これまで受験資格だった実務経験は削除(実務経験は免許登録時の要件)
  • 「学科の試験」に合格した後「設計製図の試験」のタイミングの緩和

なお建築士試験の受験資格については「【建築士法改正】建築士を取得するための受験資格とは?」の記事を参考にしてください。

まとめ

施工管理技士と建築士は、関連性は高いものの仕事内容は大きく異なります。
おもに、それぞれの業務を相互補完することで、完成品質を高められるわけです。

施工管理技士と建築士の資格は、どちらも受験資格が緩和されているため、いち早く建設業界で活躍したい人は、取得を目指してみてはいかがでしょうか。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


資格 転職

関連する投稿


【建築設備士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【建築設備士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

近年、技術レベルの向上にともない建築設備の高度化が著しく進んでいます。 そのため、工事に際しては建築設備に関する専門的な知識が必要になることが多くなります。 そんなときに活躍できるのが「建築設備士」です。 「建築設備士」とは、工事の設計を担当する建築士に対し、建築設備に関するアドバイスを行える国家資格になります。 そこで本記事では、「建築設備士」資格を取得するための受験資格や、取得後にできる仕事についてご紹介したいと思います。


【転職のコツ!】住宅業界は未経験でも転職できる!有利な資格、転職を成功させる秘訣とは??

【転職のコツ!】住宅業界は未経験でも転職できる!有利な資格、転職を成功させる秘訣とは??

 住宅は、人生で一番大きな買い物であり、お客様の暮らしを支えるもののため、とてもやりがいのある仕事ですよね。住宅に興味を持ち、住宅業界に転職を考える方も多いです。  しかし住宅は専門的な部分も多く、職種によっては資格が必要であったり、実務経験がないと採用していないこともあります。  そこで、未経験でも住宅業界に転職するために、どういった職種があるのか、実務経験なしでも役立つ資格、面接での志望動機などをご紹介します。


【現場監督】住宅の現場監督の仕事内容とは?年収、必要な資格について

【現場監督】住宅の現場監督の仕事内容とは?年収、必要な資格について

 住宅の現場監督とは具体的にどのような仕事を行なっているのでしょうか。監督業は建築業会の中でも資格が必要なことも多く、比較的安定した高収入が得られます。そのため建築業の中でもキャリアアップとして監督業に転職を考えている方も多いです。  しかし監督業は現場に1人、2人などで出向くことも多く、大手の企業でないと人材育成などを行なっておらず、職種を変えて転職するために情報が少ない面もあります。  この記事では、現場監督業について転職の助けになるような情報をお伝えできればと思います。


【転職前に知っておこう!】住宅営業でのトラブル事例、回避方法のまとめ

【転職前に知っておこう!】住宅営業でのトラブル事例、回避方法のまとめ

 何の仕事でもトラブルは付き物ですが、住宅の場合、高価な商品な上に、取引期間が長く、お客様とのやり取りがとても多い特徴があります。そのため、お客様との言った言わないなどの細かいトラブルなど、建築業界はクレーム産業と一般的に言われています。  これから住宅販売営業に転職する際、どのようなトラブルがあるのか分からないと不安ですよね。この記事では、実際のトラブル事例や、そのための回避方法などをご紹介いたします。


【年収1000万超え!?】住宅販売営業の年収は、基本給で約400万、歩合を入れると1000万超えも可能

【年収1000万超え!?】住宅販売営業の年収は、基本給で約400万、歩合を入れると1000万超えも可能

 住宅販売は、住宅単価が3000万など比較的単価が高い商品を扱います。そのため、営業歩合も1件の売上に対しての金額が大きくなります。営業であれば、売上に対して歩合が多く欲しいのは当然ですよね。  営業職の中でも住宅販売営業を考えている方に向けて、実際の歩合や年収はいくらくらいになるのか参考になればと思います。


最新の投稿


現場監督の「工程管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

現場監督の「工程管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

住宅工事は、様々な工程を経て数ヶ月で完工します。現場監督は緻密な工程管理を行うことで工期を守っています。その緻密な工程管理とはどのようなものでしょうか?なぜ工程管理が複雑で、現場監督が必要なのかなどをご紹介いたします。


現場監督の「原価管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

現場監督の「原価管理」とは?具体的な業務内容をご紹介

現場監督は、原価管理を行うことで、その工事の利益を確保することが求められます。例えば、食品などであれば、製造原価があり、それを元に販売価格を決めるため、1つの商品のうち販売価格と原価を見ると赤字になることはありません。しかし、工事に関しては工事を進めるにつれ原価が予想以上にかかってしまうことがあり、原価管理が必要になります。どのような管理を行なっているのかについてご紹介いたします。


住宅工事は体力勝負!体調管理の指導・方法

住宅工事は体力勝負!体調管理の指導・方法

毎日外で、体を動かしての工事作業は、疲労も溜まりやすい上、気温変化にも体が対応できなくなり、体調を定期的に崩してしまう方も多いです。体調管理は社会人の基本とも言われますが、自分自身で管理するだけではなく、周りが気を遣うことでより体調を崩すことを少なくすることができます。また、職人は風邪をひいて現場を休んでしまうと、収入がその分減ってしまうため、無理をし過ぎてしまう方もいます。現場監督は無理をさせて、風邪が長引いてしまったりして本人にとって悪い結果を招かないよう指導することも必要です。この記事では、体調管理とその方法についてご紹介いたします。


現場監督は休みの日も気が抜けない!?適度なリフレッシュをしよう

現場監督は休みの日も気が抜けない!?適度なリフレッシュをしよう

現場監督は、休みも取りづらく、激務で残業も多く休日も気が抜けない!という噂が絶えません。実際働いている方も、企業によって就業環境が違いますが、前述したようにかなり仕事が大変だと感じている方もいらっしゃいます。休日にしっかり休むことも大切ですが、ゆっくり休めない理由があります。そこで、その理由や適度にリフレッシュをする方法についてご紹介いたします。


【簡単解説】法律を知らないと罰則も!建設業法について

【簡単解説】法律を知らないと罰則も!建設業法について

建設業は、様々な法律で細かいことが決められています。建築基準法や建設業法といったものがあり、今回は建設業法についてご紹介いたします。建設業法では、建設業を行うにあたって、守らなければならない決まりが定められています。もし建造物が決まったルールなく適当に建設されてしまったらどうなるでしょうか?公共施設であっても、一般住宅であっても多大な被害が発生することが予想されると思います。そのため、建設業法を理解し一人一人が業務を行うことが求められます。