建築士資格には、「一級建築士」と「二級建築士」、そして「木造建築士」の3種類があります。
なかでも「木造建築士」とは、その名の通り木造建築を中心に取り扱える国家資格となります。
しかし、資格を取得後にどのような仕事ができるのか、また一級や二級とどのような違いがあるのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「木造建築士」試験の概要や受験資格について、また取得することでできる仕事内容などをご紹介したいと思います。
木造建築士試験の概要
木造建築士は、3種類ある「建築士」国家資格のひとつで、いずれの試験も「公益財団法人建築技術教育普及センター」によって実施されています。
木造建築士の資格を得るには、設定されている受験資格を満たしたうえで試験に合格しなくてはなりません。
木造建築士試験には「学科の試験」と「設計製図の試験」があり、「学科の試験」を合格することで「設計製図の試験」の受験が可能となります。
「学科の試験」と「設計製図の試験」のおもな試験内容は以下の通りです。
■学科の試験
- 出題形式:五肢択一式
- 出題科目:建築計画、建築法規、建築構造、建築施工
■設計製図の試験
- 出題形式:あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成
- 出題科目: 設計製図
木造建築士試験の受験資格
木造建築士試験の受験資格は、基本的に二級建築士試験と同じです。
おもな受験資格となるのは実務経験になります。
一定の指定科目を修め所定の学校を卒業すれば卒業後すぐの受験が可能で、建築に関する学歴や資格がない場合は7年の実務経験が必要となります。
つまり、実務経験がなくても受験が可能となる、工業高校など所定の学校で専門教育を受けることが建築士として最も早く活躍できる方法です。
受験者の多くが学生であり、また一級建築士や二級建築士と比べても難易度が低いといった点からも、しっかり学べば取得しやすい資格といえるでしょう。
おもな木造建築士の受験資格は以下の通りです。
建築に関する学歴又は資格等 | 実務経験 |
大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者 | 最短0年 |
建築設備士 | 0年 |
その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) | 所定の年数以上 |
建築に関する学歴なし | 7年以上 |
木造建築士を取得するとできる仕事とは
そもそも建築士とは、建築物の「設計」と「工事監理」を行うための資格です。
「設計」とは建築物の設計図書を作成すること、そして「工事監理」とは実際の工事が設計図書通りに施工が行われているか照合、確認することをいいます。
ちなみに「工事監理」の仕事は、建築士資格を有している人しか行えない独占業務となっています。
木造建築士は、木造建築を中心とする仕事を取り扱えることが特徴となりますが、一級建築士や二級建築士と比べると扱える建物の規模は小さくなります。
それぞれの仕事内容の違いは以下の通りです。
■一級建築士
一級建築士の場合、設計および工事監理が可能な建物の規模や構造に制限はなく、どのような建物でも取り扱えます。
■二級建築士
二級建築士が取り扱える建物は以下の通りです。
木造以外の建物
- 高さ13mまたは軒の高さが9m以下、延べ床面積30~300㎡
木造の建物
- 高さ13mまたは軒の高さが9m以下、延べ床面積1,000㎡以下
■木造建築士
木造建築士が取り扱える建物は以下の通りです。
木造の建物のみ
- 2階建て以下、高さ13mまたは軒の高さが9m以下、延べ床面積300㎡以下
上記のように、木造建築士が取り扱える仕事は、二級建築士資格があれば対応できることになります。
ということは、多少難易度は上がりますが、受験資格も同じ二級建築士資格を取得することが仕事の幅という意味でも有利になります。
しかし、二級建築士資格を取得するうえでのステップアップとして捉え、まずは難易度の低いほうから取得を目指すといった段階的なチャレンジも可能です。
また、木造建築を専門的に取り組む大工職などは、取得しておくと活躍の場も広がるでしょう。
まとめ
木造建築士は、取り扱える仕事の範囲は比較的小さいですが、一級建築士や二級建築士へ向けてのステップアップを図るうえで取り組みやすい資格といえます。
当然ですが、一級建築士や二級建築士のほうがキャリアアップには有利であり、また転職においても需要は高くなります。
しかも二級建築士資格で木造建築士の仕事をそのまま扱えるという点からも、できることなら二級建築士資格の取得をめざすほうがメリットも多くおすすめです。
※この記事はリバイバル記事です。