「建設」と「建築」には異なる意味があることをご存知でしょうか?
これらは同じものとして使われるケースも多くありますが、そのことでなにか問題が発生するかかといえばそんなことはありません。
とはいえ、建設業界での転職を目指すのであれば、知識のひとつとして知っておいたほうがよいでしょう。
そこで本記事では、「建設」と「建築」の違いについてご紹介したいと思います。
建設と建築の違いとは?
「建設」と「建築」の違いを簡単に解説すると、「建築」とは地面よりも上の工事、そして「建設」とは地面の上と下の両方の工事のことをいいます。
ある建物を建てるときの工事は、大きく建築工事と土木工事に分けられます。
これらを分ける明確な定義はありませんが、地面の上の工事であれば建築工事、また地面の下の工事であれば土木工事と区別することが一般的です。
以上をまとめると下の図のようになりますが、要するに、建築工事と土木工事の両方をまとめたものが建設工事ということです。
建築工事とは?
建設工事のうち、地面の上の工事である、おもに建物をつくるための工事のことを一般的に建築工事と呼びます。
なお、設計や施工管理などの行為も建築工事に含まれます。
また、建築工事に関わる基準を定めた法律が「建築基準法」です。
「建築基準法」には、建築物をつくるときの必ず守らなければならない最低基準が定められています。
■建築物の設計をするのは「建築士」
建築物をつくるときには、建築基準法に則って設計が行われなければならないため、国家資格「建築士」が必要となります。
「建築士」には「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3種類があり、これら資格は一定の条件を満たし、試験に合格することで取得が可能です。
なお、建築士資格に関する詳しい内容は「【建築士法改正】建築士を取得するための受験資格とは?」の記事で詳しく解説しています。
■建築物の施工管理に有利なのは「建築施工管理技士
建築物の工事を適切に進めるには施工管理者の存在が必要となります。
「施工管理技士」には7つの種類が存在し、なかでも建築物の施工管理をするうえで有利な資格となるのが「建築施工管理技士」です。
施工管理の仕事をするうえで必ずしも資格が必要ではありませんが、キャリアアップを図るためにも必ず目指したいのは「施工管理技士」といえるでしょう。
というのも、工事現場では施工の技術上の管理を行う「主任技術者」や「監理技術者」などの技術者を配置しなくてはならないことが定められているためです。
これら技術者になるためにはいくつかの条件がありますが、そのひとつに「施工管理技士」を有していることとあります。
よって、施工管理の仕事で活躍したいなら取得を目指すべき資格といえるのです。
なお、「施工管理技士」には7つの種類のそれぞれに「一級」と「二級」があります。
建設工事とは?
建設工事とは、建築工事と土木工事の両方をまとめたものです。
また、建設工事に携わる業者のことを定めた法律に「建設業法」があります。
「建設業法」には建設業者の定義が定められていますが、簡単にまとめると以下の通りになります。
- 建設業者とは建設工事の種類ごとに定められている許可を受けて建設業を営むもの
そして建設業許可の業種には、2種類の一式工事と27種類の専門工事からなる29種類の区分があります。
■2種類の一式工事
一式工事には、建設工事を総合的に企画や指導、調整する工事として以下の2種類が定められています。
- 土木一式工事業
- 建築一式工事業
これら一式工事は、その他の27種類の専門工事を複数組み合わせるような比較的規模大きな工事を行う業種となります。
また、その他の専門工事を単独で請け負う必要がある場合は、該当する専門工事業の許可を受けることになります。
■27種類の専門工事
ひとつの建設工事では多くの専門工事があり、それぞれを担当する専門工事業者が実際の施工を行っています。
また、専門工事には27種類があり、500万円以上の建設工事を請け負う場合には、原則として建設業許可の取得が必要となります。
27種類の専門工事とは以下の通りです。
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工工事業
- 石工事業
- 屋根工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- タイル・レンガ工事業
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事業
- 舗装工事業
- しゅんせつ工事業
- 板金工事業
- ガラス工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装仕上工事業
- 機械器具設置工事業
- 熱絶縁工事業
- 電気通信工事業
- 造園工事業
- さく井工事業
- 建具工事業
- 水道施設工事業
- 消防施設工事業
- 清掃施設工事業
- 解体工事業
まとめ
建設と建築は混同して使用されることもありますが、その意味はまったく異なるものです。
転職して建設業界での活躍を目指しているなら、知識として蓄えておくとよいでしょう。
参考にしていただけると幸いです。
※この記事はリバイバル記事です。