転職活動中にわからないことや気になることなどはよくありますが、なかでも「試用期間」とはどのような意味を持っているのか理解できていない人も多いようです。
例えば、「試用期間」で採用が取り消しになったり、あるいは期間中は残業代が認められなかったりすることはあるのでしょうか?
その答えは、基本的に「試用期間」であっても正社員と大きくかけ離れた待遇を受けることはありません。
しかし、一方で気を付けなければいけない点があることも理解しておく必要があります。
そこで本記事では、転職活動における「試用期間」とはいったい何なのか、また注意しなくてはいけない点についても解説したいと思います。
そもそも試用期間とはなに?
転職活動における試用期間とは、その名の通りお試し期間のようなものであり、おもに採用後の仕事に対する適性や勤務態度などを見るために設けられています。
採用面接だけでは当事者の能力を見きわめることはきわめて難しいため、本採用を判断するうえで企業が設定しているものになります。
試用期間の長さはおおむね1~6ヶ月程度で、長くても1年以内が一般的です。
試用期間中の待遇は?
試用期間中の待遇については、法律によって具体的に定められているわけではありません。
そのため、基本的に企業側が決定することになり、本採用と同じ待遇とするケースもあれば、試用期間中に限り給与を安く設定しているケースなどさまざまです。
しかし、試用期間中であっても雇用契約は締結されている状態であるため、労働者の権利は必ず守られなければいけません。
■試用期間中の給与は?
試用期間中の給与については「減額特例」の適用が認められており、最長6ヶ月を限度として最低賃金から最大20%まで減額できることとなっています。
なお「減額特例」とは、雇い入れた労働者の能力が著しく低い場合など、最低賃金を適用すると、かえって雇用機会が狭められる恐れがあることを想定してつくられた制度です。
企業が都道府県の労働局長へ申請し、許可を得ることで利用できます。
■試用期間中の残業代や社会保険は?
試用期間中であっても雇用契約は締結されている状態であることから、残業代の支払いや社会保険への加入は企業側の義務となります。
これらが適正に行われていない場合は、まず会社へ相談し改善を依頼してみるとよいでしょう。
それでも改善されない場合は、労働基準監督署やハローワークなどの行政機関に相談することもひとつの方法となります。
また、弁護士に相談し訴訟によって権利を勝ち取るといった方法も選択できますが、解決にいたるまでには労力やコストが必要になる点では注意が必要です。
■試用期間中に解雇されることはある?
試用期間中であっても雇用契約は締結されている状態であるため、簡単に解雇されることはありません。
ただし、試用期間の法的な性格として、仕事への適性を見るための解約権を留保した労働契約となるという点は知っておく必要があります。
つまり、試用期間中に適性がないと判断されることがあれば、留保していた労働契約の解約権を行使できるということで、即ち解雇されるケースもあるということです。
ただし試用期間中とはいえ、どのような理由でも解雇が認められるというわけではありません。
例えば、虚偽の経歴が発覚したり、あるいは勤務態度が著しく悪かったりなど、正当な理由が具体的にあることを示す必要があります。
また解雇する場合は、30日前までに当事者への解雇予告が必要になります。
ちなみに、試用期間を開始して14日以内であれば、解雇予告をすることなく即時解雇が可能です。
試用期間中に退職はできる?
試用期間中に、実際に仕事をしてみると「自分には合わないので退職したい」といったケースもあるでしょう。
そんなときには試用期間の終了をもって退職することは可能でしょうか?
もちろん退職は労働者の権利として自由に行使できます。
ただし、試用期間中であっても雇用契約は締結されている状態であるため、法的なルールに則って進めなければいけません。
労働基準法には、退職の2週間前までにその意思を会社へ伝えなければいけないことが定められています。
つまり、試用期間が終了して即日に退職はできないということです。
退職したい場合は、会社や他の社員にできるだけ迷惑がかからないようルールに則って行いましょう。
まとめ
転職活動における試用期間は、採用にあたって仕事への適性を見るために企業側が設定したお試しの期間です。
ただし、試用期間中とはいえ雇用契約は締結されている状態であることは忘れてはいけません。
労働者としての権利は守られる立場であり、また一方的な解雇が認められる期間ではないということは理解しておきましょう。
※この記事はリバイバル記事です。