木造住宅の耐用年数はどれくらい?寿命との違いは?

木造住宅の耐用年数はどれくらい?寿命との違いは?

国内の住宅は、木造が全体の半数以上となる最も多くの割合を占めています。 では、木造住宅は、どの程度もつものなのでしょうか? 住宅に限らず、あらゆるものには耐用年数が設定されていますが、実際の寿命とまったく異なり、一致するとは限りません。 また、住宅の耐用年数にはいくつかの種類があり、それぞれ意味が違うものになります。 そこで本記事では、木造住宅の耐用年数はどれくらいなのか、また実際の寿命とどう違うのかなど、詳しく解説したいと思います。


国内の住宅は、木造が全体の半数以上となる最も多くの割合を占めています。
では、木造住宅は、どの程度もつものなのでしょうか?

住宅に限らず、あらゆるものには耐用年数が設定されていますが、実際の寿命とまったく異なり、一致するとは限りません。
また、住宅の耐用年数にはいくつかの種類があり、それぞれ意味が違うものになります。

そこで本記事では、木造住宅の耐用年数はどれくらいなのか、また実際の寿命とどう違うのかなど、詳しく解説したいと思います。

住宅の耐用年数について

住宅の耐用年数には、いくつかの種類があります。
耐用年数の種類と、それぞれの意味について簡単にご紹介いたします。

法定耐用年数

法定耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により、課税の公平性を図るための税務上の基準として定められているものです。
住宅は、減価償却材のひとつとなっており、法律で耐用年数を定めることで減価償却の計算を行えるようになります。

つまり、法定耐用年数は、減価償却の計算に用いられるために定められているものであり、実際の寿命とはまったく関係ありません。
なお、木造住宅の法定耐用年数は、22年となっています。

物理的耐用年数

物理的耐用年数とは、建物に使用されている部材の劣化にともなう耐用年数のことであり、工学的判断に基づいて決定されるものです。
同じ環境下で同じ材料を使っているようなら同一の耐用年数となりますが、施工精度やメンテナンス状況などは考慮されないため、実際の寿命とは異なります。

経済的耐用年数

経済的耐用年数とは、国土交通省により、物理的および機能的な視点だけでなく、市場で売買されるための価値を有する期間を示すものです。
住宅の市場価値は、立地やメンテナンス状況など、さまざまな条件によって変化し、また市場の需要にも影響を受けるため、実際の寿命とは異なります。

期待耐用年数

期待耐用年数とは、通常行われる標準的な維持管理で機能を発揮できると考えられる期間のことです。
期待耐用年数は、メンテナンスを行ったものとして使用できる目安を示しており、中古住宅市場の需要喚起を狙った指標になります。

木造住宅の耐用年数はどれくらい?

木造住宅の耐用年数として、法律により明確に定められているのは法定耐用年数のみとなっています。
木造住宅の法定耐用年数は22年と定められていますが、実際の寿命とは大きく異なります。

ちなみに、木造住宅の寿命は、30年程度といわれることが一般的に多いケースです。
というのも、住宅設備の多くが30年程度で寿命を迎えるため、大規模なリフォームが必要となることが大きな理由といえます。
このときに、リフォームをして住み続けるのか、あるいは建て替えるのかという判断を迫られることから、建て替えるケースも一定数いるというわけです。

しかし、住宅の性能は非常に高くなっており、平均寿命も以前より延びている傾向にあります。
国土交通省の資料によると、木造住宅の期待耐久年数の目安について、以下のように示されています。

・劣化対策等級2:50~60年
・劣化対策等級3:75~90年
・長期優良住宅認定:100年超

劣化対策等級とは、「住宅性能表示制度」による建物を評価する項目のなかのひとつであり、どの程度の劣化対策を施されているのか示すものです。
また、この目安は期待耐久年数であるため、標準的なメンテナンスを行うことで期待できるという点も考慮しておく必要があります。

ちなみに、劣化対策等級2は、住宅ローンの「フラット35」を利用するために設けられている基準のひとつとなっています。

なお、「フラット35」の詳しい内容については、「住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い」の記事を参考にしてください。

まとめ

木造住宅の耐用年数は、法定耐用年数である22年と捉えられることが多いようです。
しかし、実際の寿命とはまったく異なります。

過去には30年程度といわれていたこともありましたが、住宅性能は飛躍的に高まっており、60年以上の寿命が期待できるともいわれています。
しかし、木造住宅は、性能を高めるだけでなく、必要なメンテナンスを確実に実施していくことも重要なポイントです。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

施工管理は何歳までできる仕事?高齢者でも大丈夫?

建設業界の仕事は、「体力が必要で、高齢者にとってはきついのでは?」というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか? 確かに、高齢化にともない筋力や視力の衰えなど身体機能の低下による影響が出てくることは、安全面で不安な部分が生じてくる可能性があります。 しかし一方で、業界の著しい高齢化に対応するべく、高齢者へ配慮された現場の環境づくりは徐々に進んでいます。 では、施工管理の仕事は何歳までできる仕事なのでしょうか?また高齢者でもできるのでしょうか? そこで本記事では、施工管理はいったい何歳までできる仕事で高齢者でも可能なのか、ご紹介したいと思います。


【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

【建設業のヒヤリハット】認識する重要性と事例をご紹介!

建設業界の労働災害は、減少傾向にあるとはいえ他の産業と比べても多く発生しています。 また、工事現場で作業に従事する人は、労働災害にいたらないまでも「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりといった経験は少なからずあるでしょう。 このような、つい見過ごしてしまいがちな「ヒヤリハット」を認識し、危険の芽を摘み取ることが労働災害を防止するうえで重要になります。 そこで本記事では、建設業界の「ヒヤリハット」を認識することの重要性について、事例を交えながらご紹介したいと思います。


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


安全管理の具体的業務|現場監督の責任

安全管理の具体的業務|現場監督の責任

現場監督にとって、安全管理業務は最も重要な仕事です。危険が多い建設作業で、無事故で完工することを一番の目的にする必要があります。安全管理は具体的にどうやっているの?そもそも各自が安全管理をするだけではダメなのか、など現場監督の重要性と責任についてご紹介いたします。