国内の住宅は、木造が全体の半数以上となる最も多くの割合を占めています。
では、木造住宅は、どの程度もつものなのでしょうか?
住宅に限らず、あらゆるものには耐用年数が設定されていますが、実際の寿命とまったく異なり、一致するとは限りません。
また、住宅の耐用年数にはいくつかの種類があり、それぞれ意味が違うものになります。
そこで本記事では、木造住宅の耐用年数はどれくらいなのか、また実際の寿命とどう違うのかなど、詳しく解説したいと思います。
住宅の耐用年数について
住宅の耐用年数には、いくつかの種類があります。
耐用年数の種類と、それぞれの意味について簡単にご紹介いたします。
■法定耐用年数
法定耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」により、課税の公平性を図るための税務上の基準として定められているものです。
住宅は、減価償却材のひとつとなっており、法律で耐用年数を定めることで減価償却の計算を行えるようになります。
つまり、法定耐用年数は、減価償却の計算に用いられるために定められているものであり、実際の寿命とはまったく関係ありません。
なお、木造住宅の法定耐用年数は、22年となっています。
■物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、建物に使用されている部材の劣化にともなう耐用年数のことであり、工学的判断に基づいて決定されるものです。
同じ環境下で同じ材料を使っているようなら同一の耐用年数となりますが、施工精度やメンテナンス状況などは考慮されないため、実際の寿命とは異なります。
■経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、国土交通省により、物理的および機能的な視点だけでなく、市場で売買されるための価値を有する期間を示すものです。
住宅の市場価値は、立地やメンテナンス状況など、さまざまな条件によって変化し、また市場の需要にも影響を受けるため、実際の寿命とは異なります。
■期待耐用年数
期待耐用年数とは、通常行われる標準的な維持管理で機能を発揮できると考えられる期間のことです。
期待耐用年数は、メンテナンスを行ったものとして使用できる目安を示しており、中古住宅市場の需要喚起を狙った指標になります。
木造住宅の耐用年数はどれくらい?
木造住宅の耐用年数として、法律により明確に定められているのは法定耐用年数のみとなっています。
木造住宅の法定耐用年数は22年と定められていますが、実際の寿命とは大きく異なります。
ちなみに、木造住宅の寿命は、30年程度といわれることが一般的に多いケースです。
というのも、住宅設備の多くが30年程度で寿命を迎えるため、大規模なリフォームが必要となることが大きな理由といえます。
このときに、リフォームをして住み続けるのか、あるいは建て替えるのかという判断を迫られることから、建て替えるケースも一定数いるというわけです。
しかし、住宅の性能は非常に高くなっており、平均寿命も以前より延びている傾向にあります。
国土交通省の資料によると、木造住宅の期待耐久年数の目安について、以下のように示されています。
・劣化対策等級2:50~60年
・劣化対策等級3:75~90年
・長期優良住宅認定:100年超
劣化対策等級とは、「住宅性能表示制度」による建物を評価する項目のなかのひとつであり、どの程度の劣化対策を施されているのか示すものです。
また、この目安は期待耐久年数であるため、標準的なメンテナンスを行うことで期待できるという点も考慮しておく必要があります。
ちなみに、劣化対策等級2は、住宅ローンの「フラット35」を利用するために設けられている基準のひとつとなっています。
なお、「フラット35」の詳しい内容については、「住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い」の記事を参考にしてください。
まとめ
木造住宅の耐用年数は、法定耐用年数である22年と捉えられることが多いようです。
しかし、実際の寿命とはまったく異なります。
過去には30年程度といわれていたこともありましたが、住宅性能は飛躍的に高まっており、60年以上の寿命が期待できるともいわれています。
しかし、木造住宅は、性能を高めるだけでなく、必要なメンテナンスを確実に実施していくことも重要なポイントです。