【クレーム対策】住宅基礎のクラックは施行不良なの!?

【クレーム対策】住宅基礎のクラックは施行不良なの!?

住宅業界、建築業界はクレーム産業と言われるほどクレームが多いです。クレームが怖くて業界から離れてしまった方や、業界に飛び込みにくいという方もいらっしゃるかもしれません。ただし、しっかりとした知識を身につけて、お客様対応を行なっていればそこまで大きいクレームになることは滅多にありません。そこで、住宅基礎のクラックは、住宅の基盤でもあり、お客様を不安にさせるものです。しかし、実際には化粧モルタルのクラックであり、基礎にはクラックが入っていないことがほとんどです。そういった知識を簡単にわかりやすくまとめましたので、施主様、工事担当者ともに、正しい知識をつけ、クレームに対処しましょう。


住宅基礎工事の流れ

まずは、住宅基礎のクラックを知るには、工事の流れから、どのように基礎が作られているのかについて簡単に把握しておく必要があります。

・下準備
↓地縄張り(基礎の位置に印をつける)
↓根切り(基礎の一番下まで重機で土を掘る)
↓砕石敷き(砕石で地面を固める)

・下準備2
↓防湿シートを敷く(地面からの湿気を防ぐ)
↓捨てコン(施工しやすくする印のようなもの)
↓鉄筋組み(基礎のコンクリートには、中に鉄筋が入っており、強度を上げています)
↓基礎外周の型枠組み(垂直に木板などを敷き、コンクリートを流し込む型枠にします)

・生コン打設
↓床の生コン打設(床をコンクリートで作ります)
↓内部の型枠組み(基礎内部を型枠で作ります)
↓アンカーボルト設置(基礎と土台をつなぐためのものです)
↓立ち上がりの生コン打設(アンカーボルトもコンクリートで埋めます)

・養生、仕上げ
↓養生(コンクリートが固まる前に破損することを防ぎます)
↓型枠外し
↓仕上げ(掃除など)

以上のように各工程を経て基礎工事は終わりになります。

あなたが見ているのは、基礎ではない(化粧モルタル)

住宅基礎工事の流れを見ましたが、実は、住宅の基礎部分と思っているものは、基礎ではありません。外側から見えているのは、化粧モルタルというものになります。

上記で出来上がった基礎は、表面が軽微な気泡や型枠の跡がついており、見栄えがあまりよくありません。そのため、化粧モルタルと言って、モルタルをその基礎の上から塗っています。
なので、厳密にいうと、外側から見えている基礎というのは、コンクリートではなく、モルタルです。モルタルというのは、セメントと砂と水を混ぜたもので、砂利が入っていない点でコンクリートより平滑な見た目になります。

化粧モルタルのクラックは問題ない

住宅の基礎は、外側から見えている部分については、基礎コンクリートの上に化粧モルタルを塗ったものになります。つまり、基礎コンクリートにクラックが入っているわけではないので、構造上全く問題ありません。

例えば、化粧をした際に、化粧にヒビがあっても、顔にヒビが入ったわけではないですよね?それと同じです。化粧モルタルのクラックで、クレームを入れ、構造に問題があると決めつけるのはやめましょう。住宅関係者もしっかりと説明できる様にしておきましょう。

住宅のクレームというのは、非常に厄介で、このようなことで施主様がお怒りになり、支払いをしないなどの事態になることもあります。裁判をするにも弁護士費用などがかかりますので、施主も施工業社も裁判を起こしたくない場合、第三者機関を入れたりなどして解決を図ります。非常に時間と労力を要するため、お客様と施工業社で適切な信頼関係を築いて、納得したやりとりができるようにしましょう。

大手メーカーでは、このようなクレームがあるからか、基礎は一般的な厚さ1~2mm程度の化粧モルタルではなく、柄のついた重厚なものを施工します。このような施主からのクレームを事前に解決する有効な方法であるといえます。

基礎クラックの見抜き方

化粧モルタルのクラックは、構造上問題はありませんが、基礎のクラックは、点検調査が必要です。一般的に化粧モルタルが5mm以上のクラックである場合、基礎にもクラックが入っていると判断されます。専門的な調査が必要になります。

また、床下に潜って、基礎の内側から基礎を点検することも重要です。内側には、化粧モルタルも塗られていないため、クラックがあれば、それは基礎コンクリートのクラックということになります。

0.3mmと0.5mmが判断基準

基礎クラックは、0.3mm未満であれば補修等の必要は特にないとされています。構造上、耐久性にも問題がないためです。しかし、防水上の観点からは、そこから雨水が侵入しコンクリートが劣化する原因にもなるため、防水は行った方が良いとされています。

0.5mm以上のクラックは、構造上の問題があるとされています。一般的には、エポキシ樹脂により補修が行われます。トンネルなどの補修でもエポキシ樹脂は、使われていますので、非常に距油土の高い補修方法です。

クラックの原因

クラックの原因は、乾燥収縮、施工不良が大きく挙げられます。乾燥収縮によるクラックは、コンクリートには必ず起きることで、そこまで気にすることではありません。しっかりとした点検と、適切なタイミングで補修を行えば問題ありません。

施工不良が原因の場合、不同沈下、かぶり厚不足などがあり、このような場合には、その根本の原因を解決しなければ、コンクリートのクラックを直しても意味がありません。

地震によるクラックもありますが、不同沈下などが起こっていない場合は、適切な補修を行えば構造上の耐久性は維持できる場合があるので、点検調査がどの場合にも重要になります。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

住宅会社の事務に限らず、どこの事務でも印鑑を使用します。社内文書だけでなく、社外との取引関係で契約書、見積書、様々な場面で使用されます。印鑑は法的な効力がありますが、どの印鑑をいつ使えば良いのか、なぜその印鑑を使うのかについて知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、会社で使う印鑑の種類や、どの場面で使用すれば良いかについてご紹介いたします。


【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

住宅会社の事務員として、実際に働いた感想としては、普通の会社の事務より辛かったです。住宅会社は建設業界であり、建設業の仕事は非常に専門的で、なかなか難しいと言えます。ただ、事務員のスキルが高い女性は少なく、それでいて事務の求人は多いため、スキルを身につければ職に困らないとも言えます。体験した内容から少しでも皆様の参考になれば幸いです。


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。


住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は現場を知らない!?迷惑な設計士にならない方法

住宅設計士は、建築士の資格も持ち、住宅建築の専門家です。しかし、実態としては工事現場の状況や、具体的のどのように工事が進んでいくのかをほとんど理解していない設計士も多いです。設計士は設計が仕事であって、現場見学を何日も行ったり、積極的に現場にくる方というのは少ないです。現場は、現場監督や職人が管理するもので、設計士は行く必要がないと考えている人が多いです。ただ、このような設計士は一般的に現場では迷惑で嫌われます。このような嫌われる特徴、そうならないためにどのような仕事をすれば良いのかをご紹介いたします。