住宅基礎工事の流れ
まずは、住宅基礎のクラックを知るには、工事の流れから、どのように基礎が作られているのかについて簡単に把握しておく必要があります。
・下準備
↓地縄張り(基礎の位置に印をつける)
↓根切り(基礎の一番下まで重機で土を掘る)
↓砕石敷き(砕石で地面を固める)
・下準備2
↓防湿シートを敷く(地面からの湿気を防ぐ)
↓捨てコン(施工しやすくする印のようなもの)
↓鉄筋組み(基礎のコンクリートには、中に鉄筋が入っており、強度を上げています)
↓基礎外周の型枠組み(垂直に木板などを敷き、コンクリートを流し込む型枠にします)
・生コン打設
↓床の生コン打設(床をコンクリートで作ります)
↓内部の型枠組み(基礎内部を型枠で作ります)
↓アンカーボルト設置(基礎と土台をつなぐためのものです)
↓立ち上がりの生コン打設(アンカーボルトもコンクリートで埋めます)
・養生、仕上げ
↓養生(コンクリートが固まる前に破損することを防ぎます)
↓型枠外し
↓仕上げ(掃除など)
以上のように各工程を経て基礎工事は終わりになります。
■あなたが見ているのは、基礎ではない(化粧モルタル)
住宅基礎工事の流れを見ましたが、実は、住宅の基礎部分と思っているものは、基礎ではありません。外側から見えているのは、化粧モルタルというものになります。
上記で出来上がった基礎は、表面が軽微な気泡や型枠の跡がついており、見栄えがあまりよくありません。そのため、化粧モルタルと言って、モルタルをその基礎の上から塗っています。
なので、厳密にいうと、外側から見えている基礎というのは、コンクリートではなく、モルタルです。モルタルというのは、セメントと砂と水を混ぜたもので、砂利が入っていない点でコンクリートより平滑な見た目になります。
化粧モルタルのクラックは問題ない
住宅の基礎は、外側から見えている部分については、基礎コンクリートの上に化粧モルタルを塗ったものになります。つまり、基礎コンクリートにクラックが入っているわけではないので、構造上全く問題ありません。
例えば、化粧をした際に、化粧にヒビがあっても、顔にヒビが入ったわけではないですよね?それと同じです。化粧モルタルのクラックで、クレームを入れ、構造に問題があると決めつけるのはやめましょう。住宅関係者もしっかりと説明できる様にしておきましょう。
住宅のクレームというのは、非常に厄介で、このようなことで施主様がお怒りになり、支払いをしないなどの事態になることもあります。裁判をするにも弁護士費用などがかかりますので、施主も施工業社も裁判を起こしたくない場合、第三者機関を入れたりなどして解決を図ります。非常に時間と労力を要するため、お客様と施工業社で適切な信頼関係を築いて、納得したやりとりができるようにしましょう。
大手メーカーでは、このようなクレームがあるからか、基礎は一般的な厚さ1~2mm程度の化粧モルタルではなく、柄のついた重厚なものを施工します。このような施主からのクレームを事前に解決する有効な方法であるといえます。
基礎クラックの見抜き方
化粧モルタルのクラックは、構造上問題はありませんが、基礎のクラックは、点検調査が必要です。一般的に化粧モルタルが5mm以上のクラックである場合、基礎にもクラックが入っていると判断されます。専門的な調査が必要になります。
また、床下に潜って、基礎の内側から基礎を点検することも重要です。内側には、化粧モルタルも塗られていないため、クラックがあれば、それは基礎コンクリートのクラックということになります。
■0.3mmと0.5mmが判断基準
基礎クラックは、0.3mm未満であれば補修等の必要は特にないとされています。構造上、耐久性にも問題がないためです。しかし、防水上の観点からは、そこから雨水が侵入しコンクリートが劣化する原因にもなるため、防水は行った方が良いとされています。
0.5mm以上のクラックは、構造上の問題があるとされています。一般的には、エポキシ樹脂により補修が行われます。トンネルなどの補修でもエポキシ樹脂は、使われていますので、非常に距油土の高い補修方法です。
■クラックの原因
クラックの原因は、乾燥収縮、施工不良が大きく挙げられます。乾燥収縮によるクラックは、コンクリートには必ず起きることで、そこまで気にすることではありません。しっかりとした点検と、適切なタイミングで補修を行えば問題ありません。
施工不良が原因の場合、不同沈下、かぶり厚不足などがあり、このような場合には、その根本の原因を解決しなければ、コンクリートのクラックを直しても意味がありません。
地震によるクラックもありますが、不同沈下などが起こっていない場合は、適切な補修を行えば構造上の耐久性は維持できる場合があるので、点検調査がどの場合にも重要になります。