コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

住宅工事において、基礎はコンクリートがどの工法でもほとんど用いられています。そこで、誰しも住宅関係の仕事をしたことがある方は、聞いたことがあるのではないでしょうか?コンクリートにも品質があることを。コンクリートは見た目では、どれもコンクリートであり、それに違いがあるようには見えません。しかし、実際にはコンクリートというものは、材料を現場で混ぜ合わせ、それから固まっていくものです。材料やその配分が悪ければ、コンクリートの性能が全く違うものになります。見た目にはわからずとも、実際に試験を行うと、強度も低くなってしまっているのです。この記事では、コンクリートの品質についてわかりやすくご紹介いたします。


生コン、フレッシュコンクリートとは

コンクリートは、セメント、骨材(砂・砂利)、水からできています。ミキサー車などで運ばれてくるコンクリートは、生コンと一般的に呼ばれ、固まる前のコンクリートのことを言います。正式には、フレッシュコンクリートと言います。

当然ですが、このフレッシュコンクリートの状態が、コンクリートの品質に関わります。フレッシュコンクリートには、以下のような性能が求められます。
・運搬、作業時に柔らかく作業が容易に行うことができ、その後は適切に凝結、硬化する
・硬化後、適正なコンクリート強度を有する
などになります。

フレッシュコンクリートの時点で、材料の比率が悪かったりして、コンクリートして必要強度を発現しないと判断される場合、そのコンクリートは使うことができません。

フレッシュコンクリートの指定

「普通 21 18 20 N」
一体何のことか現場工事に携わってことがある方しかわからないでしょう。これがフレッシュコンクリートを発注する時に用いる、品質になります。JISA5308で規定されているものになります。

まず、普通というのは、普通ポルトランドセメントのことで、住宅にはこれしかほとんど使われません。他にも3種類ほどあるということだけ覚えておいてください。
21というのは、呼び強度のことで、フレッシュコンクリートが固まった時に、21.0N/m㎡という単位で表される強度を持っているという意味になります。
18というのは、スランプといって、フレッシュコンクリートの柔らかさを示すもので、数値が大きいとより柔らかいという意味です。
20というのは、骨材の最大寸法が20mmということです。コンクリートの容積の7割以上を占めるのは、骨材です。

コンクリート強度について

コンクリートの強度は、先述した呼び強度というものが重要な指標になります。固まっていない状態の強度というのも、違和感がありますが、それについてご紹介いたします。

コンクリートの強度は、フレッシュコンクリート時点での各因子を考慮して予想されます。その因子というのは、温度、配合料、材料品質、養生環境などがあります。この中でも、水とセメントの配合料(W/C比)とコンクリート強度は相関性が高いことから、セメントと水の比率は特に重要視されています。

コンクリートの強度試験は、製造から28日後に実施した強度を標準とし、その日数でのコンクリートの強度を試験サンプルとして使用します。コンクリートの発現強度は、製造後7日で40%、28日後で80%、3ヶ月で90%という実験結果が出ています。100%の強度を発現されるためには、約3年ほどかかると言われています。

そもそもコンクリートの強度は、圧縮強度を測定され、N/m㎡で表されます。引張力には弱いため、それは鉄筋により補われています。鉄筋コンクリート造として住宅で採用されているのは、そのためです。

外気温でもコンクリート強度は変わる

コンクリートは、ゆっくりとセメントと水の水和反応により固まっていきます。本来の強度を発揮するまで1ヶ月で80%ほどになります。この反応は、気温が低いと遅くなり、高いと早くなります。

つまり、工事時期の外気温の違いによって発現強度が変わるということです。例えば、外気温が30度と5度の場合では、28日後におけるコンクリートの強度には1.5倍も差があることもあります。そのため、季節によって型枠を外す時期なども変える必要があります。

また、コンクリートが適切に固まることを促すため、適切な養生を行う必要があります。

コンクリートの養生

コンクリートの養生とは、コンクリートが適切に凝結・硬化していくために外部の影響から保護する作業になります。養生というのは、引越し作業などで、家具などが傷つかないためにビニールなどで覆う作業のことで、コンクリートも同様に一定の強度を発現するまで、養生をしてあげます。

コンクリートの養生は、時期や現場状況に合わせて適切な手法で行います。
・たん水養生
周囲の型枠を高くして、コンクリート表面に水を張る方法
・散水養生
人力もしくはスプリンクラーにより散水する
・被膜養生
コンクリート表面仕上げ後に、膜養生剤を散布する
・保湿養生
散水し、その上にシートを被せる
などの手法があります。




※この記事はリバイバル記事です。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートは、建築物に最も広く使用されている建材の1つです。大規模な公共物やビル・マンションから一般住宅までありとあらゆる場面で活躍しています。このコンクリートが、なぜここまで汎用性の高いもので、他の建材では普及しない理由は何でしょうか。コンクリートの持つ性質について、さまざまな観点から見ていくことで、コンクリートについての知識を深めていきましょう。コンクリート打ちっぱなしの住宅はもちろん、木造住宅でもコンクリートは基礎として使われています。住宅関係で働く方は、建材についても知識を広く持っておきましょう。


【まとめ】コンクリートについて詳しく解説

【まとめ】コンクリートについて詳しく解説

住宅関係者は、住宅の基礎施工において、コンクリートの施工現場などを見ることも多いと思います。コンクリートといっても、いざコンクリートとは何かを聞かれると、建築士の資格を持っていない方は答えられないのではないでしょうか。しかし、住宅関係の仕事についている以上、コンクリートは基礎中の基礎であり、知識としても知らないままではよくありません。この記事では、意外に細かいことまで知られていない、世の中に最もありふれた建築資材であるコンクリートについてわかりやすく詳しくご紹介いたします。


【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

【忘れっぽい人必見】住宅の現場監督はメモを仕事にしろ

現場監督をしていて、新人は特に忘れっぽい人がいます。このような方は、意外に多いです。仕事ができない人というわけではなく、現場監督になるとそのようなことが起こります。理由は、住宅の現場監督は、タスクが以上な量になってしまうからです。細かい伝達内容などが発生し、それをその場で対処したり、数時間後に対処したり、場合によっては別日に対応するなど、非常に複雑になります。1つ1つのタスクは非常に簡単ですが、10個など多くなってくると、全てを覚えておくことは不可能に近いです。この記事では、住宅現場監督が、タスクに埋もれずに、効率的に業務を遂行できる方法としてメモをご紹介いたします。


住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、技術を学んで、そして盗め!

住宅設計士は、建築士の資格を持っていることがほとんどです。しかし、資格を持っていれば完璧にデザインからディテールにこだわった施工まで、問題ない設計ができるかというとそうではありません。住宅設計士として、学ぶべきことは多く、自分1人で仕事を完結できるようになることはなかなか一筋縄ではいきません。技術を学び、盗むことが住宅設計士として一人前になるために必要なことです。この記事では、住宅設計士が何を学び、技術をどのように身につけていけば良いかご紹介いたいします。


住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士の仕事術|電話・メールの使い分け

住宅設計士は、デザインをする上で、メールに設計図や写真を添付したり、細かい内容は電話をしたりとどちらも使う必要が出てきます。メールだけであれば簡単ですが、電話もしなければいけない状況が多くあります。それらについてどのような情報はメールで、何を電話にしなければいけないのか、判断がつきづらい事項も出てきます。この記事では、仕事をスムーズに進めるためにどのようにすべきかお勧めの方法をご紹介いたします。


最新の投稿


コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

コンクリートの品質って何?見た目ではわからない

住宅工事において、基礎はコンクリートがどの工法でもほとんど用いられています。そこで、誰しも住宅関係の仕事をしたことがある方は、聞いたことがあるのではないでしょうか?コンクリートにも品質があることを。コンクリートは見た目では、どれもコンクリートであり、それに違いがあるようには見えません。しかし、実際にはコンクリートというものは、材料を現場で混ぜ合わせ、それから固まっていくものです。材料やその配分が悪ければ、コンクリートの性能が全く違うものになります。見た目にはわからずとも、実際に試験を行うと、強度も低くなってしまっているのです。この記事では、コンクリートの品質についてわかりやすくご紹介いたします。


コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートの性質まとめ|なぜ住宅に使われているのか

コンクリートは、建築物に最も広く使用されている建材の1つです。大規模な公共物やビル・マンションから一般住宅までありとあらゆる場面で活躍しています。このコンクリートが、なぜここまで汎用性の高いもので、他の建材では普及しない理由は何でしょうか。コンクリートの持つ性質について、さまざまな観点から見ていくことで、コンクリートについての知識を深めていきましょう。コンクリート打ちっぱなしの住宅はもちろん、木造住宅でもコンクリートは基礎として使われています。住宅関係で働く方は、建材についても知識を広く持っておきましょう。


【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

【要注意】現場監督の靴のにおい対策とは?

現場監督にとって、気になることのひとつに「靴のにおい」があります。 とくに新築住宅だけでなく、引き渡し後のアフターサービスやリフォームなども担当している場合は十分に注意しておかなければなりません。 といいうのも、強いにおいがある状態で家のなかに入ると、施主はいやな気持ちになることが予想されるためです。 せっかく品質の優れた建物を建てても、それだけで満足度が下がってしまうかもしれません。 そこで本記事では、現場監督が注意しておきたい「靴のにおい」について、その原因と対策についてご紹介したいと思います。


【超重要】建設業の安全パトロールとは?

【超重要】建設業の安全パトロールとは?

建設業界はさまざまな課題を抱えていますが、とくに施工管理者にとって最重要といえるのは労働災害を防止するための取り組みではないでしょうか。 施工管理の仕事は、多岐に渡ります。 なかでも、現場に携わる人たちが安全に作業できる環境をつくることは最優先に取り組む必要があり、そしてその取り組みのひとつが「安全パトロール」です。 そこで本記事では、施工管理者が行う「安全パトロール」について、その目的やチェックするべきポイントなどをご紹介いたします。


【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

【管工事施工管理技士】受験資格や取得するとできる仕事とは?

建設業界でキャリアアップを図るには、資格を取得することが重要なポイントとなります。 とくに施工管理の仕事で活躍したい場合は「施工管理技士」資格が有効です。 「施工管理技士」の資格は7つの種類がありますが、建築工事では欠かせない管工事に携わるなら「管工事施工管理技士」を取得するとよいでしょう。 ただし、「施工管理技士」資格は誰にでも取得できるわけではなく、一定の条件を満たし、かつ試験に合格しなくてはなりません。 そこで本記事では、「管工事施工管理技士」の受験資格や取得するとできる仕事についてご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 職人 台風 知識 現場監理 働き方改革