よく聞く下請け業者ってなに?
下請け業者とは、仕事を直接請け負っている会社ではなく、その仕事を請け負った会社から発注されている業者のことです。つまり、最初に仕事を依頼した側にとっては、発注した会社ではなく知らない会社が実際の業務を行なっているという構造です。
そのため最初に仕事を依頼した方にとっては、「それなら最初からその下請け業者に依頼していたよ」となるかもしれません。これが可能な業種ももちろんありますが、建築業においては、下請け業者に直接依頼することは中々難しい場合もあります。それは何故なのでしょうか?その構造について簡単にご紹介いたします。
■下請け業者という言葉は、悪い言葉ではない
まず、下請け業者という言葉は、決して悪い意味の言葉では本来ありません。建築業界では、工事種ごとに専門性が高く、分業されています。例えば1人が基礎から屋根までの工事を行えるという技能者がいません。また、材料の取扱や仕入れを考えると分業した方が効率的になります。そのため、それぞれを分業し各業者に発注することで業務を効率的に行なっています。
また、下請け構造となっている理由には、建築工事が様々な業務が各工程ごとに進んでいくことが挙げられます。基礎工事が終わったら、そのあと基礎工事業者は仕事がなくなってしまいます。しかし、基礎工事業者が独立していることで他社からも業務を受けることができます。このように基礎工事業者が絶え間なく仕事を受けるためには、独立していることが効率的です。
これは例え大手ハウスメーカーでも同じです。大手なので、全てを一括して管理していれば仕事量も多いし対応できるのでは?と思われるかもしれませんが、実際は下請け業者をほとんど使っています。理由は、工事現場ごとに場所が違うため全国対応するためには下請け業者が効率的になります。
例えば、自社で職人を抱えていたとしても全国で工事をするためには、全国に社員を置く必要があります。ただ、それでは地域によって現場がある時とない時の差があり、結局うまく回らなくなってしまいます。
下請け業者というのは、効率的に業務を回しながら、専門業者も健全な経営を営むために必要な構造となっています。
■構造を知ろう|下請け業者を雇っていない建設業はほとんどない
先述したように、下請け業者は悪い意味ではなく、健全な経営活動を行っていくために必要な構造と言えます。元請業者がおり、その工事内容に応じていくつかの専門業者が配置されていくようになります。建設業において下請け業者を雇っていない元請というのは、ほとんどいないです。
もちろん下請け業者ではなく、元請業者としてやった方が利益率も良く会社も大きいというのが一般的です。そのため下請け業者は、元請として仕事を請け負いたいという会社がほとんどなのでは?と思うかもしれません。
しかし、下請け業者は下請けの方がメリットが大きく、元請として活動したくない会社も多くあります。
理由としては、大きく3つあります。
・宣伝費用がかかる
・お客様対応、クレーム対応が必要になる
・仕事が途切れることがある
元請として仕事をとってくるためには、宣伝広告、営業経費がかかります。また、お客様対応が必要になるというのは大きなデメリットです。工事をして終わりではなく、お客様対応をするだけで時間を取られてしまう上に、その対応時間に対する売上は見込めないためです。そして仕事がとって来れない際には、仕事が途切れます。
下請けとして経営していれば、これらのデメリットを受けることがほとんどないため、下請け業者として一定の利益を確保できている方が良いです。
現場監督は下請け業者に依頼する仕事
現場監督は、下請け業者に発注をしていくことが主な業務の1つです。下請け業者というと、全くの別会社の人に依頼をすることになるため、やりにくいそうというイメージがあるかもしれません。
ただ、建築業界では下請け業者に発注することが一般的なため、自社の別部署の人に仕事を依頼するのと同じ感覚です。もちろん別会社のため見積書、発注書、請求書などのやりとりは必要となりますが、お互いに仕事として取引しているため、むしろやり取りはスムーズです。
■下請け業者に発注する流れ
下請け業者に発注する流れは、主に以下のようになります。
↓クライアントと打ち合わせ
↓下請け業者に見積もり
↓クライアントに見積もり提示(下請け業者の見積もりに利益を乗せたもの)
↓クライアントと契約
↓下請け業者に発注(工事時期指定)
↓工事の打ち合わせ、現場確認
↓完工確認
↓下請け業者に入金
このように下請け業者に発注して、工事内容が依頼内容と同じで問題ないかを確認し、完工入金をして終わりになります。ここまで理解していれば、下請け業者に対してマイナスなイメージを持つことなく、建設業の構造も理解できるのではないでしょうか?少しでも参考になれば幸いです。