住宅の値下げは当たり前!?
住宅業界では、新築、中古、賃貸、リフォームであっても値下げ交渉というのは当たり前になってしまっている業界とも言えます。賃貸の場合には値下げがほとんどできないという場合も多いですが、お客様も営業側も値下げはできるものだと比較的広まっています。
例えば住宅の売買であれば、3580万円という表示価格に対して80万円は値引いてくれることも多いです。リフォームの場合には、100~200万円という工事価格の内、20~30万円ほど値引きが発生することもあります。
しかし、本来値引くことができるのであればその金額で見積もりを出してくれれば良いです。ただ金額が比較的大きくなると、業界を問わず値引くという行為が浸透しています。これは単純に営業側の都合です。値引くという行為によって、お客様の購買心理を動かし、契約に繋げるための手法といって良いでしょう。そしてこの手法を使うために、見積額に余裕を持たせているのです。
■大前提:営業の値下げをしない強い心が必須
ここまでで実は、値下げをしないために大前提として必要なものは、営業の「値下げをしない」という強い心です。
例えば、300万円のものを売る際に実際は250万円でも会社にとっては問題ないとしましょう。そして他の営業は50万円の値引きをして、250万円で売っています。そこで、あなただけが300万円でお客様に売るという強い心を持つ必要があります。
お客様からは、全員同じ金額で売らないのであれば不義理ではないのか?という声もあるでしょう。しかし、全員に同じ金額で売るのであればそもそも値引きをしている時点でアウトです。このお客様からの問いかけに対し、「いえ、私は絶対に値引きをして売りません」と心の中で示す必要があるのです。
あるお客様には260万円で売り、あるお客様には300万円で売るのです。たとえ同じ商材であってもです。
しかし、本来は値下げを1円でもする必要はないのです。見積額として会社が設定したものを売るだけですので、値下げは営業の勝手な心理によるものと固い意志を持ちましょう。
値下げを断る方法
値下げを要求してきたお客様に対して、どのように接すれば値下げをせずに成約することができるでしょうか。
お客様の心理と、営業側の態度とフレーズについて考えてみましょう。
■値下げをしてくるお客様の心理3つ
1、
お客様は、基本的に値下げに慣れていないと考えましょう。*一部地域では、値下げが文化としているところもあります。
つまり、値下げをしてくるお客様は、「とりあえず勇気を出して言ってみよう。運が良ければ値下げしてくれるかも」といった心理です。
2、
または、予算があらかじめ決まっており、どうしてもその予算以上を出せないというお客様もいらっしゃいます。この場合には、実質値下げを行わないと成約になりません。この状況を理解せずに、営業が一方的に値段を押し付けても意味はありません。
3、
相見積もりがある場合に、値下げ要求が過度になる場合もあります。そもそも相見積もりをしている理由が、価格競争であり相場を把握して値切るために行っているお客様も多いです。
■値下げをうまく断る態度とフレーズ
1、
営業側が、「値下げは難しいのですが、この金額でよろしいでしょうか?」と一言言うだけでそのまま成約になることも多いです。そしてこのとき、営業がいかに値下げをしないことが当たり前かを態度で示すことが必要です。下手に演技をしている営業は、この時点でお客様から「高くしようとしている」と思われてしまうこともあります。
2、
予算が決まっている場合には、値下げを断るのではなく、価格調整をしましょう。この際に、単純に値下げをするのではなく、原価を下げるために条件をつけるようにしましょう。値下げは簡単にはできないということを、営業自身が習慣をつけるためです。
3、
競合他社がいる場合に、値下げをしないのは難しいことが多いです。相見積もり時には、契約を取るためには、値下げをせざるを得ないこともあります。この場合には、値下げは基本的には競合他社の値段が出揃ってから行いましょう。最初に値下げを提示してしまうと、その金額は値下げ交渉の道具になってしまうだけのためです。
値下げは当たり前ではない
値下げをするかしないかを決めるのは、営業です。営業自身が値下げをしないと決めれば、たとえ会社で値下げが許容されていても、正規の価格で販売可能です。
値下げをせずに、しっかりと利益を確保すれば、お客様に対してより高品質で満足のいくサービスを提供できます。