省エネ住宅ってなに?今更聞けない基礎知識

省エネ住宅ってなに?今更聞けない基礎知識

省エネ住宅が推奨されており、2030年には6割の新築住宅には太陽光発電を載せたものを建設するというような目標も設定されています。国として省エネ住宅を進めているため、住宅事業関係者やこれから住宅業界に転職を考えている方は省エネ住宅について知っておかなければいけません。この記事ではわかりやすく簡単に、省エネ住宅ってそもそも何なの?というところからご紹介いたします。


省エネ住宅のメリット

省エネ住宅は、二酸化炭素の排出抑制や持続可能な環境の実現に役立つことはもちろんですが、生活する人々にとってメリットがあります。

・快適な生活
冷暖房設備をあまり使用せずに快適な室内温度を維持できる

・経済メリット
エネルギーを使用した冷暖房機器をあまり使用しないため、経済的にも負担が少なくなります。

・健康衛生
結露によるカビの発生がない、ヒートショックのリスクがないというメリットがあります。

・耐久性が高い
省エネ性能が高まることで、住宅性能も上がっています。換気性能や外装材の性能UPによって住宅として寿命も長くなります。

省エネ住宅は、単純にエネルギーを使う量が減るというメリットだけでなく、人々にとっても生活が快適になるというメリットがあります。住宅性能は日々向上しており、国による省エネ推奨によりさらに性能は急速に高まってきています。

省エネ性能ってなに?

省エネとは、様々な意味がありますが、住宅にとっての省エネは、断熱・遮熱・機密の3つがメインになります。
家庭の消費エネルギーの約30%を冷暖房器の使用が占めています。つまり冷暖房のエネルギー消費を抑えた住宅が、省エネ住宅ということになります。

断熱性能

断熱とは、外気と室内温度の影響を少なくすることです。例えば、冬に外が寒い時に住宅が寒くなるのは、屋根、外壁、窓、床などを通して室内の暖かいエネルギーが分散されてしまうためです。
夏は外が暑く、室内に熱エネルギーが入ってくるため冷房を使い続ける必要があります。

断熱性能を上げることで、これらの熱の移動を妨げることができ、室内温度が外気温の影響を受けにくくなり冷暖房器の使用を減らすことができます。断熱性能はUA値(外皮平均熱貫流率)で表され、数値が小さいほど性能が高いことを示します。

遮熱性能

遮熱とは、日射による熱を反射することを言います。夏の室内温度上昇は、日射熱により屋根・外壁・窓から熱が入ってくることによります。遮熱性能を上げることで、冷房の使用エネルギーを減らすことができます。

住宅の日射遮蔽性能はηAC(イータエーシー)によって表され、数値が小さいほど性能が高いことを示します。

気密性能

住宅に隙間があると、そこから空気が移動し熱も移動します。気密性能を上げることで熱の移動を抑制することが省エネ対策になります。

しかし気密性能を上げることで、湿気が多くなり結露などが深刻な被害をもたらすこともあります。住宅の内部構造は、湿気により腐食してしまうためです。気密性能を上げる際には、換気性能も上げる必要があります。

省エネ住宅の基準によって名称がある

省エネ住宅には、いくつかの基準があり、それらを満たしたものが省エネ住宅として認定されます。

それぞれの基準を満たした住宅性能は、認定を受けることで補助金や助成金の恩恵を受けることができます。これらの補助金事業が多く行われており、国から省エネ推奨されていることがわかります。

長期優良住宅

長期優良住宅は、9つの性能項目があり基準が設定されています。劣化対策、耐震性、バリアフリーなどがあり、その中で省エネルギーの項目があります。
省エネルギー対策基準として、住宅性能表示の等級4(UA値0.87以下)が、改正により等級5(
UA値0.60以下)かつ等級6(BEI0.80以下)となる予定です。

認定低炭素住宅

認定低炭素住宅は、二酸化炭素の排出を抑制した住宅のことです。省エネ法の省エネ基準に比べて、一次エネルギー消費量が10%以上削減されていることが認定条件になります。

ZEH(ゼッチ)

ZEHとは、1戸の住宅でエネルギー循環を完結させるという方針で建てられる基準になります。断熱性能を高め、省エネ設備を導入することで消費エネルギーを抑えます。その上、太陽光発電などのエネルギー創出を行うことで、外部からのエネルギー供給をほとんど必要としない住宅になります。

ZEHにもその基準ごとに様々な種類があり、太陽光発電を導入しない場合の基準も設定されています。

関連するキーワード


住宅

関連する投稿


住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅ローンの定番「フラット35」とは?特徴や銀行ローンとの違い

住宅を購入する際、多くの人が利用する住宅ローンですが、なかでも定番といえるのは「フラット35」になるでしょう。 「フラット35」の最大の特徴は「固定金利型」であることです。 「固定金利型」であることで、借り入れの時点で返済金額がわかり、また計画も立てやすくなります。 また、この他にも民間銀行が取り扱う住宅ローンとは異なる特徴があるため、知識として理解しておくとよいでしょう。 そこで本記事では、「フラット35」の特徴や銀行ローンとの違いについて徹底解説したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

【住宅建築の基礎知識】セメント、モルタル、コンクリートの違いとは?

住宅建築においては、非常に多くの建材が使われています。 なかでも「セメント」「モルタル」「コンクリート」については、必ず使用されるポピュラーな建材となります。 しかし、これらがどのような建材なのか、またそれぞれの違いがよくわからないという人もいるのではないでしょうか? そこで本記事では、「セメント」「モルタル」「コンクリート」について、それぞれの特徴の違いなどを徹底解説したいと思います。


プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

プレハブ住宅とはどんな住宅?種類や特徴を解説

戸建て住宅はいくつかの種類に分けられますが、建築するときの工法によっても分類することが可能です。 代表的な工法といえば「木造軸組工法」や「木造枠組壁式(ツーバイフォー)工法」、「プレハブ工法」などが挙げられます。 そして、この「プレハブ工法」で建てられた住宅が「プレハブ住宅」です。 また「プレハブ住宅」は、さらにいくつかの種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。 そこで本記事では、「プレハブ住宅」とは具体的にどのような住宅のことをいうのか、そしてどのような種類や特徴があるのかなど、徹底解説したいと思います。


住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅業界で働く人のリフレッシュ方法まとめ

住宅営業や、現場監督など非常に忙しく接客業でもあるためクレームやトラブルも多くストレスを溜めがちです。そこで、休日はどのようにリフレッシュしているのでしょうか?ストレスをうまく発散できない方も、他の方のリフレッシュ方法を真似してみましょう!1人で休日を過ごす方も、友達と遊ぶというものまで、それぞれご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

【住宅建築の基礎知識】住宅の耐震性能はどこでわかる?

家づくりに携わるうえで知っておきたいことのひとつに「耐震性能」があります。 というのも、日本は地震大国であり、住宅の「耐震性能」を高めることは暮らす人たちの命を守ることにつながるためです。 しかし「耐震性能」の高さはどうすればわかるのでしょうか? 住宅の「耐震性能」には目安となる基準があり、満たしているかどうかで判断することが可能となります。 そこで本記事では、住宅の「耐震性能」がわかる目安について、解説したいと思います。


最新の投稿


住宅会社の事務書類は複雑!見積書・請求書・完工書など

住宅会社の事務書類は複雑!見積書・請求書・完工書など

住宅会社は工事を行う上で、メーカーや施工業者など複数の取引業者がいるため、事務書類も複雑になります。今まで事務職を経験していた方でも、どの書類が何に使用されているのか、全体の流れも把握していない新人は、何がなんだかわからない!という方も多いです。この記事では、住宅会社の取引関係から、まず何を把握すれば良いのかについてご紹介いたします。また、完工書などの書類についてそれぞれご紹介いたします。


【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

【今さら聞けない】事務に必須の「印鑑」まとめ

住宅会社の事務に限らず、どこの事務でも印鑑を使用します。社内文書だけでなく、社外との取引関係で契約書、見積書、様々な場面で使用されます。印鑑は法的な効力がありますが、どの印鑑をいつ使えば良いのか、なぜその印鑑を使うのかについて知らないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、会社で使う印鑑の種類や、どの場面で使用すれば良いかについてご紹介いたします。


【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

【体験談】住宅会社の事務職はツラいよ?良いところ辛いところ

住宅会社の事務員として、実際に働いた感想としては、普通の会社の事務より辛かったです。住宅会社は建設業界であり、建設業の仕事は非常に専門的で、なかなか難しいと言えます。ただ、事務員のスキルが高い女性は少なく、それでいて事務の求人は多いため、スキルを身につければ職に困らないとも言えます。体験した内容から少しでも皆様の参考になれば幸いです。


住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

住宅会社における事務職の種類(総合・技術・営業)

事務職はどの会社でも必要な業務を担う重要な仕事です。事務がいることで他の実務が円滑に進みます。住宅会社での事務は、実は様々な業務があります。住宅工事がとても複雑であるだけでなく、営業、施工外注、不動産など様々な業者、お客様とやりとりをするため、連絡だけでも煩雑になります。住宅会社での事務はどのような仕事を行なっているのでしょうか?この記事では大きく3つに分けてご紹介いたします。


【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

【おすすめ資格5選】住宅会社の事務員に役立つ資格はどれ?

事務員が有能であれば、仕事も非常に捗ります。住宅会社の事務としてレベルアップを図りたいという方も多いと思います。しかしただ建築士の免許を取っても、設計士や施工管理技士になるわけではないため、あまり実務では必要とされないかもしれません。そこで、事務として取得してレベルアップになる資格についてご紹介いたします。