住宅の印象を決定する要素として塗装があります。
住宅の外壁は、現場塗装が行われるケースもありますが、サイディングなど製造の段階で塗装が施された外壁材を使うことが多くなっています。
また、これら外壁塗装に使われる塗料にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や期待できる耐久年数が異なることは知っておくとよいでしょう。
そこで本記事では、住宅の外壁塗装について、使用する塗料の種類や特徴などを解説したいと思います。
住宅の外壁材について
戸建て住宅の外壁材として、主流となっているのは「サイディング」です。
「サイディング」には、以下の通り大きく4つの種類があります。
- 窯業サイディング
- 金属サイディング
- 樹脂サイディング
- 木質サイディング
これらのうち、新築住宅で最も多くのシェアを占めているのは「窯業サイディング」であり、また、リフォームにおいては、軽量な「金属サイディング」が多く使われています。
これらは、いずれも表面に塗装を施して仕上げていることが特徴となります。
なお、「サイディング」に関する詳しい内容は「【住宅建築の基礎知識】外壁の主流「サイディング」を徹底解説!」の記事を参考にしてください。
住宅の外壁塗装に使用する塗料について
住宅の外壁塗装に使用する塗料にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や耐久性が異なります。
つまり、使用している塗料の種類によって、メンテナンスサイクルをどの程度設定すればよいのか予測できるということです。
そして、塗料の耐久性は含まれる成分によって変わります。
塗料を構成する成分は大きく以下の4つです。
- 樹脂
- 顔料
- 添加剤
- 希釈剤
■樹脂
樹脂は、塗料の性能を決める成分になります。
代表的な樹脂の種類は以下の通りです。
- アクリル
- ウレタン
- シリコン
- フッ素
■顔料
顔料は、塗料の色を決める成分になります。
顔料を含まない塗料は透明となり「クリヤー塗料」と呼ばれます。
■添加剤
添加剤は、塗料に一定の機能を付加させる成分になります。
■希釈剤
希釈剤は、その他成分を希釈する液体成分になります。
希釈剤として水を使うものを「水性塗料」、シンナーやうすめ液など有機溶剤を使うものを「油性塗料」といいます。
住宅の外壁塗装に使う塗料の種類と特徴
住宅の外壁塗装に使う塗料の種類は、おもに樹脂成分の種類、または性能強化のために加えた成分などによって分類されます。
おもな塗料の種類と特徴について簡単にご紹介いたします。
■アクリル塗料
アクリル塗料は、成分にアクリル樹脂を使っているものになります。
非常に低コストで、過去には多くの住宅で使われていました。
ところが、耐久性が低く、またその他に高性能な塗料が多く登場したことから、現在では外壁塗装としてあまり使われていません。
耐久年数は5~7年程度です。
■ウレタン塗料
ウレタン塗料は、成分にウレタン樹脂を使っているものになります。
アクリル樹脂に代わって使われるようになった塗料ですが、さらに高性能な塗料の登場により、需要は大きく減少しています。
耐久年数は8~10年程度です。
■シリコン塗料
シリコン塗料は、成分にシリコン樹脂を使っているものになります。
コストと性能のバランスがよい塗料であることから、住宅の外壁塗装では最も多く使われています。
耐久年数は10~15年程度です。
■フッ素塗料
フッ素塗料は、成分にフッ素樹脂を使っているものになります。
「東京スカイツリー」の鉄部塗装に使われるほど非常に高性能な塗料ですが、コストが高く、まだ需要は限られています。
耐久年数は15~20年程度です。
■無機塗料
無機塗料は、従来の樹脂塗料にセラミックやケイ素などの無機物を成分として加えたものになります。
つまり、有機物と無機物を組み合わせたハイブリッド塗料ということです。
外壁塗装の塗料のなかでも、とくに耐久性が高いものになりますが、コストもトップクラスに高い高級塗料となります。
耐久年数は20~25年程度です。
■ラジカル制御型塗料
ラジカル制御型塗料は、顔料の劣化因子の発生を抑制する特殊成分を成分として加えたものになります。
登場してまだ歴史が浅い塗料ですが、主流のシリコン塗料と同様にコストと性能のバランスがよく、メンテナンス時で採用されることが多くなっています。
耐久年数は12~15年程度です。
まとめ
住宅の外壁は、建物を雨や熱から守る重要な役割があります。
そのため、外壁塗装は、建物寿命を左右する存在でもあります。
よって、外壁塗装に使用する塗料選びは、建物性能を考えるうえでも重要な要素となるのです。