戸建て住宅が完成したとき、建物の印象を決定づける最大の要素といえば外観になるでしょう。
とくに外壁仕上げ材にこだわりを持つ建築主も多く、カラーやデザインをどうするのかという点は、住宅建築において重要なポイントとなります。
現在、戸建て住宅の外壁で主流となっているのは「サイディング」です。
「サイディング」とは板状に成型した外壁仕上げ材のことで、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
住宅業界で働くなら、「サイディング」に関することは基礎知識として備えておく必要があるでしょう。
そこで本記事では、戸建て住宅の外壁の主流「サイディング」について、徹底解説したいと思います。
外壁の主流「サイディング」は4種類
現在、戸建て住宅の外壁仕上げ材といえば、サイディングが最も多く採用されています。
とくに新築戸建て住宅においては、全体の9割程度と圧倒的なシェアを占めていることが大きな特徴です。
サイディングには、以下の通り大きく4つの種類があります。
- 窯業サイディング
- 金属サイディング
- 樹脂サイディング
- 木質サイディング
それぞれの種類について、その特徴を簡単にご紹介いたします。
■窯業サイディング
窯業サイディングは、セメントと木質繊維をおもな原料とする外壁仕上げ材で、4種類のなかで最も普及しているものです。
「一般社団法人日本窯業外装材協会」のデータによると、平成30年の戸建住宅市場における外壁材素材別シェアは全体の78.3%となっています。
防火性に優れることや耐久性が高いこと、そしてデザインのバリエーションが豊富であることなどがおもな特徴となります。
日本窯業外装材協会(NYG協会)は住環境の向上に寄与するべく、防耐火性、耐久性、施工性、意匠性に優れた外壁材の開発・改良および普及促進に努めております。
■金属サイディング
金属サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミニウムなどを板状に成型し、断熱材を裏打ちして一体にした外壁仕上げ材です。
新築住宅の市場では窯業サイディングが主流であることに対し、リフォーム市場では金属サイディングが多く採用されています。
非常に軽量で、耐久性や断熱性に優れることなどがおもな特徴となります。
■樹脂サイディング
樹脂サイディングは、塩化ビニール樹脂を原料とした外壁仕上げ材です。
日本では取り扱うメーカーも少なくあまり普及していませんが、アメリカの戸建て住宅では主流の外壁仕上げ材となっています。
非常に軽量であることや、製造過程で顔料を練り込むため色褪せや変色がないことなどがおもな特徴となります。
■木質サイディング
木質サイディングは、天然木を板状に成型した外壁仕上げ材です。
防火法による規制の影響もあり需要は限定的ですが、近年では防火構造などの認定を取得したものも登場しています。
天然木という素材が持つ断熱性や特有の風合いが大きな特徴です。
戸建て住宅の寿命を延ばした通気工法
現在、サイディングの標準工法といえば通気工法となっていますが、過去には直貼り工法で施工されていた頃がありました。
通気工法とは、下地面に防水シートと胴縁材を設置し、その上にサイディングを張ることで空気の通り道となる通気層を設ける方法です。
サイディングの裏側に水分が入り込んでも通気層から自然に排出されるため、躯体を傷めにくい点が大きな特徴となります。
一方、直貼り工法とは、下地面に防水シートとサイディングを直接貼り付ける方法です。
サイディングの裏側に水分が入り込むと、そのままとどまってしまい、カビの発生や木材の腐れなどを起こすことがあります。
場合によっては、水分が建物内部へと徐々に侵入し、雨漏りや耐久性を低下させる原因になるなど非常にリスクの高い方法です。
水分は木造住宅にとってさまざまな悪影響を及ぼしますが、通気工法に変わったことで建物寿命は飛躍的に延びたといわれています。
まとめ
戸建て住宅の外壁はサイディングが主流となっていますが、とくに建物のイメージを決定づける最大の要素となっています。
デザイン性に優れる点も特徴となりますが、建物を守る機能性にも注目し、正しい施工が行われることが重要なポイントとなるでしょう。
※この記事はリバイバル記事です。