住宅のベランダは、雨水の侵入を防ぐために必ず防水処理を施しています。
工事中においても、雨仕舞が完了しないと内部の工事ができないことから、ベランダ防水工事は非常に重要な工程となります。
また、ベランダ防水にはいくつかの種類があり、住宅会社の仕様によってどの種類を使っているのか異なるため、それらの特徴は知っておくとよいでしょう。
そこで本記事では、ベランダ防水の種類とそれぞれの特徴について、詳しく解説したいと思います。
ベランダ防水の工程について
ベランダ防水工事は、下地面に対し防水層を設ける工事のことをいいます。
床面に勾配をつけることで雨水を排水ドレンへ集め、適切なルートで外部へと排出する役割を担います。
ベランダ防水は、建て方工事が完了した後、屋根工事および防水工事など一連の雨仕舞に関連する工事のタイミングで行われることが一般的です。
そして、防水工事により雨水が侵入しない状態を確認できたら、内部の工事が可能となります。
ベランダ防水の種類と特徴について
防水工事にはいくつかの種類がありますが、住宅のベランダで使われる防水工事といえば、大きく以下の3つが挙げられます。
- FRP防水
- ウレタン防水
- シート防水
■FRP防水
まず、FRPとは(Fiber Reinforced Plastics)の略で、繊維強化プラスチックのことを意味します。
そしてFRP防水とは、シート状に加工したFRPと液体状のポリエステル樹脂を一体化し、トップコートを塗装して仕上げる防水層です。
液体状の防水材を用いて塗膜を形成する防水層であることから、このような工事を「塗膜防水工法」といいます。
FRP防水のおもな特徴は、軽量で高強度、そして耐摩耗性に優れることなどです。
そのため、人が歩行することの多い住宅のベランダに適しており、とくに新築工事で多く採用される種類となっています。
■ウレタン防水
ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗り重ね、トップコートを塗装して仕上げる防水層です。
この方法もFRP防水と同様に「塗膜防水工法」となります。
ウレタン防水のおもな特徴は、流動性があるため障害物のある床面でも施工できることや継ぎ目のないシームレスな仕上がりができることなどです。
そのため、経年劣化にともなうメンテナンスなどで非常に多く採用される種類となっています。
また、ウレタン防水は、以下の通り大きく2種類の施工方法があります。
- 密着工法
- 通気緩衝工法
密着工法
ウレタン防水の密着工法は、床面へ直接防水層を設ける工事です。
通気緩衝工法
ウレタン防水の通気緩衝工法は、床面へ通気緩衝シートを敷き、その上へ防水層を設ける工事です。
下地が水分を含んでいる場合、直接施工すると完成後に蒸気となって膨れの原因となることがありますが、通気緩衝工法はそのような影響を受けることがありません。
■シート防水
シート防水とは、シート状の防水材を床面へ貼り付けてつくる防水層です。
シート状の防水材には、ゴムシートや塩ビシートなどがあり、シートどうしの継ぎ目は熱溶着により固定します。
シート防水のおもな特徴は、耐久性や耐候性に優れることや、一度に広い面積に対応できるため短い工期で施工できることなどです。
そのため、ベランダだけでなく、屋上などの防水にもよく使わる種類となっています。
また、シート防水は、以下の通り大きく2種類の施工方法があります。
- 密着工法
- 機械固定工法
密着工法
シート防水の密着工法は、防水材を床面へ直接貼り付け、継ぎ目を熱溶着して防水層を設ける工事です。
機械固定工法
シート防水の機械固定工法は、まず絶縁シートを床面に敷き込んで固定ディスクを取り付けます。
その上にシート状の防水材を敷き、継ぎ目を熱溶着して防水層を設ける工事です。
既存の床面から防水層が浮いた状態を確保できるため、下地が濡れていても影響を受けることがありません。
まとめ
住宅の防水工事は、建物を雨水から守るためのきわめて重要な工事です。
ベランダ防水に不具合が起こると、雨漏りが起こる可能性があるばかりか、建物の寿命を縮めてしまう原因にもなってしまいます。
建物にとって、水分は大敵となります。
それだけに、防水工事は住宅づくりにおいて重要なカギとなるのです。