【住宅建築の基礎知識】ベランダ防水の種類や特徴とは?

【住宅建築の基礎知識】ベランダ防水の種類や特徴とは?

住宅のベランダは、雨水の侵入を防ぐために必ず防水処理を施しています。 工事中においても、雨仕舞が完了しないと内部の工事ができないことから、ベランダ防水工事は非常に重要な工程となります。 また、ベランダ防水にはいくつかの種類があり、住宅会社の仕様によってどの種類を使っているのか異なるため、それらの特徴は知っておくとよいでしょう。 そこで本記事では、ベランダ防水の種類とそれぞれの特徴について、詳しく解説したいと思います。


住宅のベランダは、雨水の侵入を防ぐために必ず防水処理を施しています。
工事中においても、雨仕舞が完了しないと内部の工事ができないことから、ベランダ防水工事は非常に重要な工程となります。

また、ベランダ防水にはいくつかの種類があり、住宅会社の仕様によってどの種類を使っているのか異なるため、それらの特徴は知っておくとよいでしょう。
そこで本記事では、ベランダ防水の種類とそれぞれの特徴について、詳しく解説したいと思います。

ベランダ防水の工程について

ベランダ防水工事は、下地面に対し防水層を設ける工事のことをいいます。
床面に勾配をつけることで雨水を排水ドレンへ集め、適切なルートで外部へと排出する役割を担います。

ベランダ防水は、建て方工事が完了した後、屋根工事および防水工事など一連の雨仕舞に関連する工事のタイミングで行われることが一般的です。
そして、防水工事により雨水が侵入しない状態を確認できたら、内部の工事が可能となります。

なお、住宅の新築工事の工程に関する内容は「【住宅の新築工事】着工から完成までの工程の流れとは」の記事を参考にしてください。

ベランダ防水の種類と特徴について

防水工事にはいくつかの種類がありますが、住宅のベランダで使われる防水工事といえば、大きく以下の3つが挙げられます。

  • FRP防水
  • ウレタン防水
  • シート防水

FRP防水

まず、FRPとは(Fiber Reinforced Plastics)の略で、繊維強化プラスチックのことを意味します。
そしてFRP防水とは、シート状に加工したFRPと液体状のポリエステル樹脂を一体化し、トップコートを塗装して仕上げる防水層です。

液体状の防水材を用いて塗膜を形成する防水層であることから、このような工事を「塗膜防水工法」といいます。
FRP防水のおもな特徴は、軽量で高強度、そして耐摩耗性に優れることなどです。

そのため、人が歩行することの多い住宅のベランダに適しており、とくに新築工事で多く採用される種類となっています。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を塗り重ね、トップコートを塗装して仕上げる防水層です。
この方法もFRP防水と同様に「塗膜防水工法」となります。

ウレタン防水のおもな特徴は、流動性があるため障害物のある床面でも施工できることや継ぎ目のないシームレスな仕上がりができることなどです。
そのため、経年劣化にともなうメンテナンスなどで非常に多く採用される種類となっています。

また、ウレタン防水は、以下の通り大きく2種類の施工方法があります。

  • 密着工法
  • 通気緩衝工法

密着工法

ウレタン防水の密着工法は、床面へ直接防水層を設ける工事です。

通気緩衝工法

ウレタン防水の通気緩衝工法は、床面へ通気緩衝シートを敷き、その上へ防水層を設ける工事です。
下地が水分を含んでいる場合、直接施工すると完成後に蒸気となって膨れの原因となることがありますが、通気緩衝工法はそのような影響を受けることがありません。

シート防水

シート防水とは、シート状の防水材を床面へ貼り付けてつくる防水層です。
シート状の防水材には、ゴムシートや塩ビシートなどがあり、シートどうしの継ぎ目は熱溶着により固定します。

シート防水のおもな特徴は、耐久性や耐候性に優れることや、一度に広い面積に対応できるため短い工期で施工できることなどです。
そのため、ベランダだけでなく、屋上などの防水にもよく使わる種類となっています。

また、シート防水は、以下の通り大きく2種類の施工方法があります。

  • 密着工法
  • 機械固定工法

密着工法

シート防水の密着工法は、防水材を床面へ直接貼り付け、継ぎ目を熱溶着して防水層を設ける工事です。

機械固定工法

シート防水の機械固定工法は、まず絶縁シートを床面に敷き込んで固定ディスクを取り付けます。
その上にシート状の防水材を敷き、継ぎ目を熱溶着して防水層を設ける工事です。
既存の床面から防水層が浮いた状態を確保できるため、下地が濡れていても影響を受けることがありません。

まとめ

住宅の防水工事は、建物を雨水から守るためのきわめて重要な工事です。
ベランダ防水に不具合が起こると、雨漏りが起こる可能性があるばかりか、建物の寿命を縮めてしまう原因にもなってしまいます。

建物にとって、水分は大敵となります。
それだけに、防水工事は住宅づくりにおいて重要なカギとなるのです。

関連する投稿


【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

年間5日間の有給休暇取得が義務付けられました。これにより建築業における、有給が取れない部署として名高い、現場監督も例外なく有休取得が義務付けられています。しかし、現状なかなか有給休暇を取得させることができていない企業や、不正を行ういわゆるブラック企業などもまだまだ存在しています。現場監督が有給を取りづらい現状について、そしてどのような企業であれば有給が取りやすいのかご紹介いたします。


【住宅建築の基礎知識】外壁の主流「サイディング」を徹底解説!

【住宅建築の基礎知識】外壁の主流「サイディング」を徹底解説!

戸建て住宅が完成したとき、建物の印象を決定づける最大の要素といえば外観になるでしょう。 とくに外壁仕上げ材にこだわりを持つ建築主も多く、カラーやデザインをどうするのかという点は、住宅建築において重要なポイントとなります。 現在、戸建て住宅の外壁で主流となっているのは「サイディング」です。 「サイディング」とは板状に成型した外壁仕上げ材のことで、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。 住宅業界で働くなら、「サイディング」に関することは基礎知識として備えておく必要があるでしょう。 そこで本記事では、戸建て住宅の外壁の主流「サイディング」について、徹底解説したいと思います。


新人現場監督が取り組むべき仕事【5選】

新人現場監督が取り組むべき仕事【5選】

現場監督の仕事は未経験でも始められますが、新人の段階でどのようなことをすればよいのか不安に感じている人も多いのではないでしょうか? 実際のところ、新人にとってはわからないことばかりであり、仕事を覚えることで精いっぱいといった部分もあるでしょう。 とはいえ、1日も早く戦力として活躍するには、効率よく仕事内容を理解していかなくてはなりません。 そこで本記事では、新人現場監督が効率よく仕事を理解するうえで取り組むべきことについて、とくに重要な5つをご紹介したいと思います。


【住宅業界の現場監督】職人とコミュニケーションをとる3つのコツ

【住宅業界の現場監督】職人とコミュニケーションをとる3つのコツ

住宅の工事現場には、多くの業者がそれぞれ担当する専門工事を行っています。 実際に施工するのは、いわゆる「職人」と呼ばれる人たちであり、その仕事はそのまま工事の品質に影響するなど、最も重要なカギを握っているといっても過言ではありません。 当然ですが、現場監督はコミュニケーションをとりながら、工事を工期内に完成へと導く必要があります。 とはいえ「職人」にもさまざまなタイプの人が存在するため、いつも順調に進むのかといえばそういうわけにもいきません。 そこで本記事では、住宅の現場監督が「職人」たちとうまくコミュニケーションをとるコツについてご紹介したいと思います。


【住宅建築の基礎知識】地盤改良工事を徹底解説!

【住宅建築の基礎知識】地盤改良工事を徹底解説!

住宅を建てるうえで、まず行うのは地盤調査です。 地盤調査の結果、地盤が軟弱で建物の重量に耐えられず沈下する可能性があると判定された場合に地盤改良工事を行います。 地盤改良工事にはいくつかの種類があり、地盤の状況によってどの方法を選択するのか決定することになります。 住宅を新築する際に地盤調査は実質的に必要となることからも、住宅業界で働きたいと思う人であれば理解しておく必要があるでしょう。 そこで本記事では、住宅の新築工事における地盤改良工事について、調査方法や工事の種類などをご紹介したいと思います。


最新の投稿


リフォームの種類まとめ|転職先の専門を知ろう

リフォームの種類まとめ|転職先の専門を知ろう

一口にリフォームと言っても、工事内容、その範囲によって全く異なる工事になります。リフォーム会社といっても、屋根、外装、外構、内装、風呂、設備など、得意としているもしくは受注が多い工事種は会社ごとに異なります。一戸建てではなく、ビルやマンションのリフォームを専門としている会社もあります。 転職の際にどのようなリフォーム工事を取り扱いたいかを考えて求職活動をしましょう。この記事では、リフォーム工事の種類についてわかりやすくまとめてご紹介いたします。


リフォームの提案営業とは何?施主の理想を形に!

リフォームの提案営業とは何?施主の理想を形に!

住宅業界の営業職の求人情報を見ているとき、リフォーム会社の求人について見たことがある方も多いのではないでしょうか?その際に、ただの営業職ではなく、提案営業職という言葉を見たことがあるかと思います。 この提案営業とはいったい何のことでしょうか。リフォームの営業は、決まった商品だけを売るのではなく、様々な組み合わせの提案を行います。この記事では、リフォーム営業の提案について、また、実際の施主とのやり取りについてご紹介いたします。


建築物省エネ法とは?戸建住宅の省エネの取り組み

建築物省エネ法とは?戸建住宅の省エネの取り組み

建築物省エネ法が令和3年4月に改正されました。住宅業界従事者でも、設計士、建築士以外の方は、あまりこの法律について知らない方も多いのではないでしょうか?また、家電でも省エネ性能について全面に出した新製品が多く出ていますが、なぜなのだろうと感じている方もいるかと思います。 建築物において省エネ法が施行され、どのような取り組みがなされているのか、この記事ではわかりやすくご紹介いたします。営業や、事務の方もこれだけ知っていれば、自分の扱っている住宅について理解が深まる内容になります。


【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

【有休5日取得義務】現場監督の現実。なぜ取れない?

年間5日間の有給休暇取得が義務付けられました。これにより建築業における、有給が取れない部署として名高い、現場監督も例外なく有休取得が義務付けられています。しかし、現状なかなか有給休暇を取得させることができていない企業や、不正を行ういわゆるブラック企業などもまだまだ存在しています。現場監督が有給を取りづらい現状について、そしてどのような企業であれば有給が取りやすいのかご紹介いたします。


【転職に有利】木造建築士とは?取得するとできる仕事とは?

【転職に有利】木造建築士とは?取得するとできる仕事とは?

建築士資格には、「一級建築士」と「二級建築士」、そして「木造建築士」の3種類があります。 なかでも「木造建築士」とは、その名の通り木造建築を中心に取り扱える国家資格となります。 しかし、資格を取得後にどのような仕事ができるのか、また一級や二級とどのような違いがあるのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、「木造建築士」試験の概要や受験資格について、また取得することでできる仕事内容などをご紹介したいと思います。


最近話題のキーワード

ハウジングインダストリーで話題のキーワード


新築工事 現場監督 施工管理 住宅 利益 営業 風水 現場監理 コンクリート