【簡単理解】土地・住宅の契約は、問題があった時どうなるの?

【簡単理解】土地・住宅の契約は、問題があった時どうなるの?

土地・住宅といった不動産は、数千万円もする高額の契約となります。しかし、その契約書の内容を全て理解して、不動産を購入している方はほとんどいません。また、売る側の不動産屋、住宅販売会社であっても、理解しているのは、宅建士の資格を持っている者や、一部だけであったりします。そこで、契約について、一番知っておくべきことは、問題が生じたときです。販売側の立場こそ、この問題が生じたときについて知っておくことは非常に重要です。この記事では、簡単に契約について、知っておくべきことをご紹介いたします。


契約について、大前提をまず知っておこう

契約するという行為について、まず大前提として、契約は両者間で自由に行われ、その取り決めに従うことです。商取引を行なっている個人事業主や、契約書を取り交わす営業などでない限り、契約書を扱う方はほとんどいないです。そのため、お客様はもちろん契約書についての知識がないと考え接するべきです。また、住宅営業であっても、契約書についての理解をしていないと、問題があった際にトラブルになりますので、注意しましょう。

契約は、原則自由

契約というものは、基本的には自由に行われるものであり、両者間で話し合いのもと締結されるものです。自由であっても、法令に違反する内容のものであれば、効力を失うこともあります。しかし、そのような場合であっても契約という行為を、破棄するためには多大な労力を要することもあります。法整備で全てをカバーできるものではないため、契約は、自己責任の伴う重要なものという認識を持ちましょう。

不動産会社などには契約に制限がある

不動産会社などが売主となる契約の場合、宅地建物取引業法により、不動産会社に制限が定められています。これは、不動産についての専門知識がある売主が、買主(知識のない者)に対して、不利益な契約を一方的に結ばせないためです。

このような法規制がない場合、不動産会社によって契約の取り決めに違いがあり、買主は専門知識もないため、不利益な契約内容に気づくことができません。このような制限について、売主側は熟知しておく必要があります。

*事業者と消費者の契約法
一般的に、事業者と消費者の間の契約(消費者契約)には、消費者保護を目的とした契約のルールがあります。消費者側は、専門知識を有していないためになります。
例えば、消費者が誤認するものや、不利益なものがあれば無効にすることができます。

契約における、3種の手付金とは?

不動産売買契約では、「手付金」を買主が売主に支払うことが一般的です。
・証約手付
 契約の締結を証して授受される。
・解約手付
・違約手付
 契約違反の際に、損害賠償とは別の支払いが発生する。
の3種類があります。

一般的には、解約手付が不動産契約では授受されます。買主は、解約手付を放棄することにより、その売買契約を破棄することができます。一方売主は、解約手付の倍額を買主に返すことにより、その売買契約を解除することができます。

契約解除は、簡単にはできない

解約手付などの制度があるように、契約の解除は簡単にできるものではありません。

「主な契約解除方法」
・クーリングオフ
 一定の条件(契約後8日以内など)を満たしていれば、無条件で契約を買主側は解除できます。
・手付解除
 契約履行着手まで、手付金の放棄や倍額変換により、契約解除ができます。
・危険負担による解除
 天災による物件の損失などにより、契約の目的履行がなされないとき、買主は無条件で契約解除できます。
・契約不適合責任に基づく解除
 物件が契約内容に適合しないとき、買主は契約解除ができます。
・特約による解除(ローン特約など)
 ローン特約は、住宅ローンがおりなかった際に、買主は無条件で契約解除できるものです。
・合意による解除
 両者間の合意に基づいて契約の解除ができます。

お客様(消費者)都合の際には、手付金を払って、損をして契約解除となってしまいます。売主側の適切な説明を行なったのちに、契約を行いましょう。

契約不適合責任|契約に問題があったとき

令和2年4月に、瑕疵担保責任という名称から、「契約不適合責任」という名称に変更され、内容も大きく変わりました。売主は、「種類、品質、量」において契約内容に適合した物件を引き渡す義務があります。これらに不適合である場合には、債務不履行責任が売主に課せられます。

例えば、雨漏り、白アリなどの腐食された建物を引き渡した場合には、債務不履行になります。このような場合には、買主は補修の請求を行うことができ、補修負荷の場合には、売買代金の減額請求が可能です。また、損害賠償請求も別途可能です。

中古住宅の場合には、特約をつけることも多いです。。経年劣化などにより、住宅の状態を正確に把握できないため、売主が責任を負う範囲を限定したり、期間を短縮することもできます。また、一切責任を負わないという契約も可能です。

新築住宅の場合には、住宅の主要構造部分等には10年間の契約不適合責任を売主側が負います。売主が倒産した場合などに備えて、売主は保険加入か保証金の供託が義務付けられています。

法令に関しては、難しい言葉が並んでいますが、基本的な考え方、問題があったときにどのような対策が取られるのかなど、基本的なことは理解しておきましょう。

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