災害リスクを考慮すると住宅を買うのは損か?
災害リスクから住宅を買うのが損かというと、必ずしもそうではありません。なぜなら、持ち家だろうが、賃貸だろうが、必ず住む場所はあるため、災害に遭遇するリスクは同じです。
また、資産損失についてですが、賃貸の方が一見リスクが少なく見えます。しかし、持ち家と同等の住宅を賃貸することは、同等レベルのものがなかったり、金銭的にも割高になるため、同じ住宅環境を維持した条件で考えれば、確率的にはどちらも同じ程度のリスクでしょう。持ち家の場合には、損害を被った際には保険により保障が効くので金銭面の負担は少ない場合もあります。保険に加入せずに、大きな損害を被った際には、持ち家住宅は資産として大きなダメージを受けます。しかし、火災保険は加入義務があり、これから家を建てる方は加入することがほとんどですので、これもリスクとしては少なくなります。
以上のことから、災害リスクは持ち家でも賃貸でも、同じくらいのリスクがあります。持ち家の方が、被害を被った際に、精神的にも肉体的にも労力が必要になり大変ですが、それまでの暮らしの質や保険による補填があれば、そこまでのリスクは考える必要はあまりないでしょう。
災害リスクはハザードマップで調べる
災害リスクは、ハザードマップで調べることができます。ハザードマップとは、洪水・津波・土砂災害などの災害についての想定される被害状況を示した地図のことを言います。災害時の被害を最小限にすることを目的として作られており、避難場所や避難経路についても示されています。
例えば水害の場合、河川が近ければそれだけ水害のリスクは高まりますが、その河川のどちら側の方に氾濫して水が流れ込んでくるのか、どの部分で土砂災害が起きる可能性があるかというのは、素人では判断つかない場合もあります。地盤状況(昔田んぼであったなど)や、高低差を詳しく調べている情報から、水害について被害予想をしているので、ハザードマップを知ることは非常に有用です。
■日本は住めるところがないほど災害だらけ!?
災害の可能性が高い地域というのは、実はハザードマップを見ると、ほとんどのところが当てはまってしまっているのが日本です。日本は山と川が多く、地震も起きやすいため、今まで一度も大きな災害がない地域でも、危険な状況になる可能性があります。ハザードマップでは、1000年に1度の大雨が降った時の、水害状況も予測していますが、想像以上の範囲で水害が起きることがわかります。
これでは、日本で住めるところはほとんどない!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、災害の被害はあるかもしれませんが、人命に関わるほどではなく、床下浸水などもマップには記載されていますので、それを読み取りましょう。
営業は、お客様から災害リスクについて聞かれた際には、適切にその地域のハザードマップから情報を伝え、どの程度の被害が起きる可能性があるのかは、事前にお伝えした方が良いでしょう。それと同時に、どのような対策を取れば安全かを教えてあげればお客様も安心できます。
■災害の可能性が比較的高い地域の住宅の売り方
営業は、災害の可能性が比較的高い地域にも、住宅がある限り、お客様に売らなければいけません。お客様も、そのようなことを気にせずに購入される方もいらっしゃいます。しかし、災害リスクについては、あとあとのわだかまりを無くすために、事前に伝えておくことが望ましいです。
また、災害の可能性が高かったとしても、どのくらいの災害が起こる可能性があり、どの場所で土砂災害が起きるかなど、予想される被害状況をお客様自身が把握できるように、教えてあげましょう。このように詳しく教えてあげることで、お客様は意外に、このくらいなら問題ないと判断される方も多いです(どの地域も似たようなリスクがあるため)。
間違っても、災害リスクを隠したりせず、お客様には正確に状況を知ってもらいましょう。
■災害に備えて、適切な対処を取れるようにすることが一番の対策
実際に住んでいると、雨が多少多く降っても、慣れているため、何も考えずに過ごすようになってきてしまいます。しかし、災害に備えるためには、どのようなリスクがあるのかを知ることは非常に重要です。
そのため、どの程度の雨が降れば、住宅のどこが河川の氾濫を起こし、どこに被害があるのか、土砂災害はどこで起きる可能性があるのかなどについていつも考えるように促しましょう。避難場所についても、大雨が降った際には、考えるという癖をつけるだけでも対策になります。
営業は、お客様にここまで真摯に接することで、しっかりとリスクを把握し住宅に安心して住むことができます。